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大した事はしていない!キリッ!
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「─────よっと!」
「あ、無事に帰れましたね~」
二人とシロ君がギルドの執務室の転移陣から中庭の陣にたどり着くと、そこにはお姫さん達がテーブルを並べ、お茶とお菓子を優雅に決めていた。
「リオさんお帰りなさい。その服装でよかったんですか?やっぱり私が‥‥‥‥」
「いやいや、これぐらいでいいのよっ!」
─────ほらっほらっ動きやすいし、多少汚れても大丈夫~。とぐいぐい腕を伸ばしお姫さんの面前でクルクル回って見せる。
お姫さんの用意してくれる服が悪いわけではないが、使われている素材にお高いものが使われているのは知識がなくても容易に想像できる。
故に、これからやるであろう土木工事に向かないのは明白。
日本人特有の、勿体ない精神が発動してしまうのである。
「でも‥‥‥‥」
「ほら、姫さんのは用事が済んだら、ちゃんと着るから」
誤魔化すようにそう言うと、お姫さんはわかり易くぱあぁぁと顔を輝かせた。
─────あ。自分いらないフラグを立てたかも。
「それで、向こうでは何も問題起こさなかったでしょうね?」
目元をクイッとしながら訪ねられたが。君、今や眼鏡ないじゃないか。
「失礼な。問題なんか、なにもなかったわよ」
─────ねぇ?とウィル少年に笑顔で同意を求めると
「はい、『勇者選別の武器』で、サガン領の領主を脅かしたぐらいですね~」
彼はとってもいい笑顔と共に報告した。
「『勇者選別の武器』ってアレか?岩にぶっ刺さった力自慢のやつ!」
「え、もしかして手に入ったって事?見たい!」
「いやいやいや、ちょっと待ってください!」
盛り上がるところそこじゃないでしょう─────。と突っこまれてしまった。
「その後のサガン領の領主とやり合ったって、どういう事ですか!?」
「ああ、あれね。なんか向こうからケンカ売られちゃってさ~。でも、そんな大した事してないよ?」
「そうですねぇ~。全力で逃げましたから~」
少年の同意に、一同納得した。
いま目の前で話半分ながら、アイテムボックスからギラギラ光る柄をずいずい引き出している人物が本気になったのなら、『全力』で『逃げる』という事は不可能なのは容易に想像できる。
本気で買ってしまったら、その人物はきっと今頃土の中で沈黙しているだろうから‥‥‥‥。
「フリート様。実はその件で陛下の耳に入れたい話があるのですが‥‥‥‥。というか、できれば僕の家の方に」
─────家、と聞きフリートはピクリと眉が上がった。
「‥‥‥‥ローエン家ですか?穏やかじゃないですね。そちらの方面の話ですか?」
「いえ、それほどでもないでしょう。父上と兄上が、ちょっとだけはりきってしまう、かな?てぐらいです」
にこ~っと悪気のない笑顔で少年は答えたが、ローエン家すなわち少年の実家がうすら恐ろしい事は、宮中では皆が知るところだ。
「姫様がいるので、王宮に連絡するのに隊長の許可はいらないのですが‥‥‥‥」
対して寒くも無いのに二の腕をさすりながら、「より早く、安全にとなると‥‥‥‥」とちらりと視線を送る先に、姫さんの手からお菓子を貰っている鳥型従魔の『ピーちゃん』‥‥‥‥。
前回、城への伝達に爆速で行き帰りを達成した、実に頼もしい個体。‥‥‥‥ただし
「‥‥‥‥いま、主人であるドルク様がおられませんから、あの子は使えない‥‥‥‥か?」
「‥‥‥‥どうでしょう。聞いてみます?」
二人の視線の先には、持って帰ってきたハンマーを地面にぶっ刺し、隊員達相手にホラホラ抜いてみ~と冷やかす人物であった。
~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~
ひと手間の「エールボタン」ありがとうございます。
これからも付き合ってくださると、連続ローリングをかまします。
「あ、無事に帰れましたね~」
二人とシロ君がギルドの執務室の転移陣から中庭の陣にたどり着くと、そこにはお姫さん達がテーブルを並べ、お茶とお菓子を優雅に決めていた。
「リオさんお帰りなさい。その服装でよかったんですか?やっぱり私が‥‥‥‥」
「いやいや、これぐらいでいいのよっ!」
─────ほらっほらっ動きやすいし、多少汚れても大丈夫~。とぐいぐい腕を伸ばしお姫さんの面前でクルクル回って見せる。
お姫さんの用意してくれる服が悪いわけではないが、使われている素材にお高いものが使われているのは知識がなくても容易に想像できる。
故に、これからやるであろう土木工事に向かないのは明白。
日本人特有の、勿体ない精神が発動してしまうのである。
「でも‥‥‥‥」
「ほら、姫さんのは用事が済んだら、ちゃんと着るから」
誤魔化すようにそう言うと、お姫さんはわかり易くぱあぁぁと顔を輝かせた。
─────あ。自分いらないフラグを立てたかも。
「それで、向こうでは何も問題起こさなかったでしょうね?」
目元をクイッとしながら訪ねられたが。君、今や眼鏡ないじゃないか。
「失礼な。問題なんか、なにもなかったわよ」
─────ねぇ?とウィル少年に笑顔で同意を求めると
「はい、『勇者選別の武器』で、サガン領の領主を脅かしたぐらいですね~」
彼はとってもいい笑顔と共に報告した。
「『勇者選別の武器』ってアレか?岩にぶっ刺さった力自慢のやつ!」
「え、もしかして手に入ったって事?見たい!」
「いやいやいや、ちょっと待ってください!」
盛り上がるところそこじゃないでしょう─────。と突っこまれてしまった。
「その後のサガン領の領主とやり合ったって、どういう事ですか!?」
「ああ、あれね。なんか向こうからケンカ売られちゃってさ~。でも、そんな大した事してないよ?」
「そうですねぇ~。全力で逃げましたから~」
少年の同意に、一同納得した。
いま目の前で話半分ながら、アイテムボックスからギラギラ光る柄をずいずい引き出している人物が本気になったのなら、『全力』で『逃げる』という事は不可能なのは容易に想像できる。
本気で買ってしまったら、その人物はきっと今頃土の中で沈黙しているだろうから‥‥‥‥。
「フリート様。実はその件で陛下の耳に入れたい話があるのですが‥‥‥‥。というか、できれば僕の家の方に」
─────家、と聞きフリートはピクリと眉が上がった。
「‥‥‥‥ローエン家ですか?穏やかじゃないですね。そちらの方面の話ですか?」
「いえ、それほどでもないでしょう。父上と兄上が、ちょっとだけはりきってしまう、かな?てぐらいです」
にこ~っと悪気のない笑顔で少年は答えたが、ローエン家すなわち少年の実家がうすら恐ろしい事は、宮中では皆が知るところだ。
「姫様がいるので、王宮に連絡するのに隊長の許可はいらないのですが‥‥‥‥」
対して寒くも無いのに二の腕をさすりながら、「より早く、安全にとなると‥‥‥‥」とちらりと視線を送る先に、姫さんの手からお菓子を貰っている鳥型従魔の『ピーちゃん』‥‥‥‥。
前回、城への伝達に爆速で行き帰りを達成した、実に頼もしい個体。‥‥‥‥ただし
「‥‥‥‥いま、主人であるドルク様がおられませんから、あの子は使えない‥‥‥‥か?」
「‥‥‥‥どうでしょう。聞いてみます?」
二人の視線の先には、持って帰ってきたハンマーを地面にぶっ刺し、隊員達相手にホラホラ抜いてみ~と冷やかす人物であった。
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ひと手間の「エールボタン」ありがとうございます。
これからも付き合ってくださると、連続ローリングをかまします。
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