ハルといた夏

イトマドウ

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エピローグ

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 翌日。
 帰省日同様、朝は早かった。
 朝早いにも関わらず、叔父さんとハルは見送りに来てくれた。
 父さんと叔父さんが荷物を車に詰め込んでる間、
 僕はおばあちゃんとハルに別れの挨拶をした。
「ナッちゃん。楽しかったかい。また、おいでね」
「はい。ありがとうございました。おばあちゃん、体には気を付けてね」
 おばあちゃんへの挨拶が終わり、ハルの前に立った。
「また、来るんよ」
「うん」
 初日のように会話が続かなかった。
 僕は、何か言いたくて言葉を絞り出した。
「あの、色々ありがとう」 
 ハルは顔を近づけて小声で言った。
「東京でもガンバるんよ、ナツ隊員」
「うん。ハル隊長もガンバって」
 僕らはグーの形で手を合わせて笑顔を浮かべた。

 帰りの車の中で、僕は寝ることもYou tubeをみることもなく、流れゆく景色を眺めていた。
 徐々に田舎から都会へと変わってゆく景色は僕をいつもの日々へと戻すための準備に思えた。
 すると、助手席の母さんが僕に言った。
「めずらしく、あんたの考えていることがわかるわ」
 僕は驚いてバックミラー越しに母さんをみた。
「楽しかったんでしょ」
「そうだね。来てよかったよ。父さん、ありがとう」
 バックミラー越し父さん目があった。
 父さんの驚いた顔を見て僕は笑った。
「ナツ、どうしたんだ?」
 父さんが小声で母さんに話かけると母さんが答えた。
「別に普通でしょ。男子、三日合わざれば刮目してみよ。ってね」
 
 僕も少しは大人になったのかもしれない。
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