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25、やっぱり思ってたんと違う
しおりを挟むお昼の生徒会長さんのお話は俺と春日井くんがメンバーに加えられ、詳しい内容やメンバーの顔合わせは後日行うとの事で後は一緒にランチをして解散となりました。
午後は午後で、お腹いっぱい食べ過ぎた弊害・睡魔に襲われつつ授業を受けたせいで全く内容が頭に入ってきませんでした。
その為放課後である現在、俺は再び職員室へ足を運び数学担当の桐生先生にご指導いただいている訳ですが……。
先生、俺が問題を解く度に笑顔で頭を撫でてくれます。
モブキャラ仲間の佐藤くんの情報と全くもって違うのですが…。
「正解です。良く出来ました」
ほら、また頭を撫でられました。
あれですかね、撫で回しやすい頭の形でもしてるんですかね、俺の頭…。
「あの、先生……」
「ん?分からない所でもありますか?」
「いえ、そうではなくてですね……」
思わず声を上げてしまいますが、どう言ったものか…。
頭を撫でるのを止めてくれ、と素直に言うべきか。でも先生だって悪気があるわけじゃないですし。困りました……。
「その、髪がぐしゃぐしゃになるんです……」
ちょっと遠回しに言ってみます。
伝われ!この思い!!
「あぁ…すみません。田中くんが素直に問題を解くのでつい…。今まではこんな風に質問をしに来なかった部分もありますし、分からない部分を分からないままにしないできちんと勉学に励む姿に嬉しく思ってしまいまして…」
今までは自我なんてなかったですしね。毎日同じ事の繰り返しで、何の疑問も持ってなかったですから。
「最近、勉強が楽しいなと思いまして。分からなかった所が分かると達成感と言いますか…。自分がやりたい事や、やれる事を一生懸命やりたいと思って、まずは勉強をって感じですね」
ちょっと照れます。
俺は所詮モブキャラです。主人公が転校してきたら俺はその他大勢になってしまいます。
ぼやける背景の一部。
顔も名前も出ない。
ただのモブキャラ。
だからせめて、ゲームが始まるまでは普通の学生らしく過ごしたい。
やれる事を一生懸命やりたい。
そう思ってしまうのは我が儘でしょうか…。
「そういう考え方はとても素晴らしいですね。私はそんな田中くんを好ましく思いますよ。……なので、そんなに悲しそうな顔をしなくても大丈夫ですからね」
おっと。
感情に浸ってしまってました。
俺は誤魔化すように笑みを浮かべて桐生先生に次なる質問を投げかけます。
分からない数式が多くて、今まで送ってきた人生が勿体なく思ってしまいます。
俺があれこれ聞くものだから、先生も困ってしまいましたかね?
そっと様子を窺うと、先生はこの上なく嬉しそうに教えてくれてます。
やっぱり、思ってたんと違う。
生徒想いのとてもいい先生ではないですか!
よし。これからもどんどん分からない所を聞いていきましょう!!
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