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71、本腰を入れる時

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お昼までしっかり休ませた身体からはすっかり怠さは消え失せ、代わりにエネルギー不足を報せる警告が鳴り響きます。
つまり、お腹の虫がうるさい。

保健室の先生は、俺の顔色が回復したのを見て無理はしないようにと保健室から送り出してくれました。
食欲があるという事は元気な証拠。

既に昼休みに突入していた為、俺は急いで教室へ向かいます。
購買で買おうか、混雑する食堂へ向かおうか考えながら自分の荷物から財布を取り出し、教室から出ようとしたところで呼び止められました。
理人先生と翔先輩、それに雅先輩です。

雅先輩の姿を視界に捉えた途端、無意識に警戒してしまい一瞬固まってしまいました。あのギラギラした目がどうしても恐いんですよね…。
今の雅先輩は、あのギラギラした目ではありませんがちょっと警戒してしまいます。


「もう体調は大丈夫そうですね」


俺の顔色が良くなっている事を確認した理人先生は安堵したように目元を和らげます。


「はい。お腹が空いたので今からお昼ご飯を食べるところです」


鳴りっぱなしのお腹を手で押さえつつ財布を持ち上げて見せると、どうやら3人もこれからお昼ご飯らしくどうせならと4人でのランチタイムになりました。

移動した時も、食堂で席取りをしていた時も、食事を始めた時も雅先輩への警戒は解けず、どこかよそよそしくなってしまってました。
理人先生と翔先輩はそんな俺の様子に気付いたのか、食べ終えたトレイをそそくさと片付けようと立ち上がった俺に声をかけてきます。


「ミノルくん、不破に何かされたの?」


接近禁止令対象の事はされました。が、人が大勢いるこんな場所で言うのも憚られ曖昧に笑って誤魔化し、その場を離れます。
チラリと振り返って3人の様子を見ると、理人先生と翔先輩が雅先輩に詰め寄っているのが見え、次いで2人からデコピン攻撃を受けていました。

キスをされた事に対して何か思うところがあるわけではなく、ただ寝込みを襲われた事とあのギラギラした目が怖くて警戒していただけです。
何となく言いにくかっただけです、と自分自身に言い訳していてふと思いました。

和馬くんと真一先輩、雅先輩にキスをされて驚きはしたものの、嫌では無かったな、と。むしろ、どこか嬉しく思っていた…?
それどころか、昨日は急激に進展しようとしないで、と思っていたはず。


トレイを返却口に返して3人の元へ戻る途中、和馬くんと真一先輩が2人で昼食を摂っているのを見掛け、更に戻ろうとしていた俺を待っている3人へ視線を向け。
俺は和馬くんと真一先輩へ近付いてとあるお願いをして3人の元へ戻りました。
席には座らず和馬くんと真一先輩にしたお願いを言うと、俺はそのまま教室へ戻ったのでした。



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