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しおりを挟む第三、第四、第五騎士団、総勢500名。
これをバランス良く3つに分ける。
1つの部隊は陣営で待機しつつ討ち漏らし、森から逃げる魔物の駆除。見張りを兼ねる。
1つの部隊は連絡や負傷者の運搬、戦力が低下した場合の予備部隊。
1つの部隊は森へ侵入し、魔物を討伐する部隊。
それぞれの部隊に団長、副団長達が付き指示を出す。
主戦力は主に森へ侵入する部隊に組み込まれるが、回復魔法が使える者も多く組み込まれる。
勿論、俺も森へ侵入する部隊に組み込まれる。ギル、レイドも同様だ。
ヒースは予備部隊だ。
準備を整え終えた俺達はそれぞれが気配察知の能力を最大限発動しつつ結界の前に立つ。
結界の傍には魔物の気配はない。
誰もがそれを確認し合い俺はギルの指示の元、結界を解除する。
薄いベールのように上に伸びていた結界は、淡い光と共に徐々に消えていく。
途端にぽっかりと口を開ける岩山。
今は日が昇り太陽の光が森までの道を照らしていたが、周りを岩山に囲まれた森はその太陽の光さえも届かず薄暗い。
周囲を警戒しつつ森へ足を踏み入れていく。
長年放置されただけあり道はなく、あるのは魔物が踏み荒らした跡ばかり。
獣の気配さえ感じない静かな森は薄暗く、奥から殺気を感じる。
至るところで魔素溜まりが出来つつあり、それを魔法で風を送って散らしていく。
殺気は感じるものの、気配察知にはなんの気配も感じない。
「団長、ちょっといいですか?」
俺は部隊の中心部で指示を出すギルへ近付く。
ギルも殺気は感じていたようだが、一向に気配が感じられない事を疑問に思っていたようだ。
俺は自分の能力をフル活用して森全体の様子を確認する旨を伝えた。
初めて試す事だが、このまま警戒しつつ進むのも部隊の機動力に影響すると考えた。
俺の提案にギルはしばし思案する様子を見せ、頷く。それから進行していた部隊を周囲を警戒しつつも一時的に停止してくれた。
俺は急いでイメージを練り上げる。
レーダーのように魔物を感知出来る魔法…。
索敵…?
森全体だから…恐らく数キロ範囲。
まだ森の中心部ではないから…更に倍の距離。
「索敵」
意識を集中して魔法を使う。
頭の中にイメージした通りの映像が浮かび、自分達がいる場所から遠く離れた3カ所に数匹単位で固まる魔物の反応を捉えた。
数はそこまで多くはない。
昨夜襲撃を受けた際に、大半を討伐出来たのだろう。
判明した事をギルに伝えると、ギルは予備部隊へ主戦力を増援で寄越すように伝令を飛ばす。
合流する増援を交えた部隊を更に3部隊に分け、それぞれ魔物を討伐しに向かう事を決めた。
伝令を飛ばしてから1時間も待たずに増援が合流する。
その間も索敵魔法は絶えず使い、魔物の動きを逐一報告している。
魔物も魔物で、昨夜大幅に仲間が倒された事で警戒しているのか殺気を飛ばすだけで大きな動きはない。
3つに分けられた部隊のそれぞれに魔物までの正確な位置を伝える。
ギル、レイド、俺はそれぞれに分かれる事になった。
全員に身体強化の魔法を施してそれぞれがそれぞれの魔物の元へ歩を進める。
恐らく、3カ所全てに岩山を破壊した魔物がいる。
でなければ魔物がこんなに分かりやすく固まる訳がない。
強い者の近くにいるのだ。
それぞれに分かれた仲間達の無事を祈りつつ、俺が倒さなければならない魔物へと意識を集中していく。
今、ここで倒さなければ。
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