3 / 293
第一章 初心者の躍動
第三話 学校での一幕 (後編)
しおりを挟む
開いた扉の先にいたのは綺麗に並んで頭を下げている男女が3人。
そんな3人を確認した渚はとても楽しそうにニコニコと笑みを浮かべ首を傾げながら近寄っていく。
「それで、なんでおまえらは隠れていたのかな?教えてみ?」
ニコニコと笑みを浮かべながら話す渚だっが近寄りがたい威圧を放っていて、それを感じ取った3人は怯えたように体を震わせながら顔をゆっくりと上げる。
顔を上げた三人は誰が一番最初に話し出すのか視線だけで押し付け合いをはじめた。
しかし全員が渚を待たせすぎてもマズイ!と気が付き…3人はその場で小さくジャンケンを始め。その結果一番左に居た、中性的な見た目の小柄な男子生徒が最初に話す事になった。
負けてしまった小柄な男子生徒は、ものすごく嫌そうに渋々と言った様子で話し出した。
「そ、それじゃぁぼ、僕が説明します…」
小柄な男子生徒が小さな声でそう話すと他の2人より少し前に出た。その怯えた様子に笑顔で3人が話し出すのを待っていた渚は、更に楽しそうに笑みを浮かべて話を促す。
「ふふふっ!それじゃぁ、どんな理由だったのか説明してもらおうかな?篠崎 桜花くん?」
ニヤニヤと意地の悪そうな笑みを浮かべながら渚がそう言うと、目の前で話を聞いていた桜花と後ろの2人はより怯えを強くして体を固くした。だが桜花と呼ばれた少年は黙っていても結果は最悪、そう思いなんとか立ち直ると顔を少し引きつらせながら何とか説明を再開した。
「は、はい!それでは説明させていただきますです!今回先輩をゲームに誘うにあたって竜悟先輩が「一人だと怖いから一緒に頼んでくれないか?」とのことで、助けを求められまして合図があるまでドアの前で待機していました!」
なぜか桜花は姿勢を正してビシッ!と綺麗な敬礼をしながら、一切の躊躇なく先輩である竜悟を売るような内容を説明した。
その説明を聞いた渚はニコニコと笑みを浮かべたまま、後ろでこっそりと逃げようとしていた竜悟の肩を捕まえて楽しそうに顔を覗き込む。
「こらこら!何処へ行こうとしているのかなぁ~?」
それはもう心底楽しそうに満面の笑みを浮かべて渚は詰め寄るように竜悟へと顔を近づける。
逃げようとした竜悟は今まで以上に怯えた様子で体を震わせて絶望の表情を浮かべていた。
しかし竜悟や周りの見ていたクラスメイト達が思っていたようなことにはならなかった。
なぜなら渚は、竜悟が諦めきった顔になったのを確認すると満足そうに頷いて掴んでいた手を放したのだ。
いきなり手を離された竜悟はほとんどつるされたような状態だったため落とされ、床に座り込みながら状況が理解できていないのか混乱した様子で渚を見上げた。
周りにいたクラスメート達も先ほどの渚の様子を見て竜悟が酷い目に合う事を想像していたようで、少しビクビクと怯えたようにしながら見ていたのだが…、渚の空気が変わったのに気が付くと竜悟と同じようにポカーン…っとした表情で渚の方へと視線を向けた。
その場の全員から注目されている渚は特に気にした様子も無く、もしろ今まで以上に心底楽しそうな笑顔で笑い出す。
「はははっ!別に、そんなに驚くこと無いだろ?いつもいつも人に聞かないでいろいろ勝手に決めるから、ちょっとお灸をすえてやろうかな~と思って…ね?」
渚は意地の悪そうな笑みを浮かべて首を傾げてそう言った。
その渚の話を聞いた竜悟や桜花達は心当たりがあるようで気まずそうに表情を引きつらせ、冷や汗を大量に流し顔を逸らした。周りで渚と竜悟達の話を聞いていたクラスメイト達は竜悟と桜花達の反応を観て、あぁ!こいつらか…と納得した様子で頷いていた。
そんな周りの反応を確認した渚は更に楽しそうに笑みを浮かべて話し出した。
「まぁ…でも、今回はこれで許してあげるよ。元々そんなに、嫌ではないしね?ただし、今後は最低限でいいから確認してくれればっ!だけどな。ちゃんと分かったか?竜悟、桜花君。それに、そこで顔を下げたままの愚妹と愚弟…」
渚は少し疲れたように話していたが、すぐに真面目な表情になると竜悟と桜花には少し優しく諭すように言い、反対に今まで顔を上げる事もなくその場で固まっていた他の2人には冷たく睨みつけて厳しく言い放った。
そう言われたと同時にうつむいていた2人は観念したようにゆっくりと顔を上げる。
顔を上げた2人は双子で似た顔だちをした男女だった。2人とも小柄ではあったが男女の違い。
更に男子の方は髪型が坊主・女子の方がツインテールと言ったように見た目でも分かりやすい違いがあって見分けは非常につきやすかった。
そして渚が言ったように2人は渚の弟妹でもあるため、外見のレベルも周りのと比べて圧倒的に高い。
しかし綺麗に整った顔も今は恐怖によって引きつっていた。
その上2人は怯えているためか一向に話し出そうとはしないのだ。
渚は2人の態度に最初はそこまで本気で怒ってはいなかったようだが、今は少しイラついた様子で睨みつけていた。
「はぁ…ねぇ?聞こえてるかなぁ?夏輝・夏帆、2人とも話しかけられたら…すぐ返事‼」
「「ハイ‼ちゃんと聞こえています!」」
渚が少しイラついた様子でちょっと強めに言うと夏輝と夏帆の2人は瞬時に姿勢を正して元気よく返事をした。
それを見て渚は満足気に何度も頷き楽しそうに笑みを浮かべて改めて話し出した。
「そうだよ、最初からちゃんと返事すれば俺もそこまで強く言ったりしないんだからさ。まったく、お前らも態々こんなことに手を貸していないで、俺にちゃんと確認しに来ればよかっただろ。まぁ今回はそこまで怒ってないからいいけど、次からは本当にっ!気を付けろよ?」
「「はい、次からは気を付けます……」」
注意する厳しいもの言いに夏輝と夏帆はさすが双子と言うべきなのか、息を合わせたように少しのずれも無く反省した様子で答えた。
それを聞いた渚は今度こそちゃんと反省したと確信したようで、納得した表情になると静かに疲れたように小さく一息ついた。
「ふぅ…まぁ注意はこのくらいにして、本題だけどさ?結局のところ話をようやくすると『今話題になってるゲームをみんなでやるから。機械とかソフトはこっちで用意するしお前もやろうぜ!』ってな事でいいのか?」
渚はここまでの話をもの凄くコンパクトにして確認するように少し首を傾げながら聞いた。
その質問に竜悟や桜花達はいきなり質問されたのと、まさかここまで短く話を纏められると思っていなかったようで少しの間ポカーンっとしてしまっていた。だが、すぐに正気に戻ると少し動揺しているようだったがゆっくりと答えた。
「あ、あぁ…簡単に言うと、そう言う事だよな?」
「は、はい。一応そう言う事で大丈夫だと思います…」
竜悟と桜花の二人が何とか頑張って答えると、その横で夏輝と夏帆の二人も特に話す事はなくただ何度も頷いていた。
しかしその様子だけで渚は少しやりすぎたかなぁ?と苦笑いを浮かべて少し気まずそうに頬を掻いた。
「あぁ…とりあえず話の内容は分かったが、何度も言うが俺は基本的にゲームやらないから。お前ら程上手くはないぞ?」
「大丈夫だって、そんな事ちゃんと俺達も分かってるよ。ただ、どうせ全員で同じゲームやるなら渚も巻き込んで、みんなでやった方が楽しそうだからな!それに今回のゲームは体を動かす感覚でプレイすることが出来るからな。そう言うのだったら得意だろ?」
渚の質問に竜悟はようやく落ち着いてきたようで最初のような軽いノリで少し挑発するように笑みを浮かべて答える。
それを聞いた渚は竜悟の切り替えの速さに少し呆れたように溜息をついていたが、すぐに何時も通りに戻っただけだと思い出したようで、疲れたようにうつむきながら溜息を吐き出した。
「はぁー…、まぁその事は帰る時にでも詳しく教えてくれ。それよりもお前たちいいのか?ここに居て」
渚が竜悟から視線を桜花達に移して少し時計を気にしながらそう言った。
桜花達は何故そんな事を聞かれたのか分からないようで不思議そうに首を傾げていた。
「?渚先輩、どうしてそんなこと聞くんですか?」
「ん?そりゃぁ、もうすぐ授業始まる時間だからな?」キン!コン!カン!コーン!
渚がそう言った瞬間一時間目のチャイムが鳴り始め教室のドアがガラガラ‼と大きな音を立てて担任が入って来た。
それに気が付いた桜花達はもっと早く言えっ⁉というように少し渚を見たが、そんな余裕はすでになく慌てて教室から出て行き自分達の教室へと走って行った。
「おはよう!お前ら今日も元気よく一日を過ごすぞ‼」
担任が少し暑苦しいくらい元気よくそう言うと、今まで渚達の会話を聞いていたクラスメイト達は急いで自分達の席へと戻って行った。
その間にしれっと渚と竜悟は既に自分の席へと座って授業の支度まで終わらせていたのだった。
そんな3人を確認した渚はとても楽しそうにニコニコと笑みを浮かべ首を傾げながら近寄っていく。
「それで、なんでおまえらは隠れていたのかな?教えてみ?」
ニコニコと笑みを浮かべながら話す渚だっが近寄りがたい威圧を放っていて、それを感じ取った3人は怯えたように体を震わせながら顔をゆっくりと上げる。
顔を上げた三人は誰が一番最初に話し出すのか視線だけで押し付け合いをはじめた。
しかし全員が渚を待たせすぎてもマズイ!と気が付き…3人はその場で小さくジャンケンを始め。その結果一番左に居た、中性的な見た目の小柄な男子生徒が最初に話す事になった。
負けてしまった小柄な男子生徒は、ものすごく嫌そうに渋々と言った様子で話し出した。
「そ、それじゃぁぼ、僕が説明します…」
小柄な男子生徒が小さな声でそう話すと他の2人より少し前に出た。その怯えた様子に笑顔で3人が話し出すのを待っていた渚は、更に楽しそうに笑みを浮かべて話を促す。
「ふふふっ!それじゃぁ、どんな理由だったのか説明してもらおうかな?篠崎 桜花くん?」
ニヤニヤと意地の悪そうな笑みを浮かべながら渚がそう言うと、目の前で話を聞いていた桜花と後ろの2人はより怯えを強くして体を固くした。だが桜花と呼ばれた少年は黙っていても結果は最悪、そう思いなんとか立ち直ると顔を少し引きつらせながら何とか説明を再開した。
「は、はい!それでは説明させていただきますです!今回先輩をゲームに誘うにあたって竜悟先輩が「一人だと怖いから一緒に頼んでくれないか?」とのことで、助けを求められまして合図があるまでドアの前で待機していました!」
なぜか桜花は姿勢を正してビシッ!と綺麗な敬礼をしながら、一切の躊躇なく先輩である竜悟を売るような内容を説明した。
その説明を聞いた渚はニコニコと笑みを浮かべたまま、後ろでこっそりと逃げようとしていた竜悟の肩を捕まえて楽しそうに顔を覗き込む。
「こらこら!何処へ行こうとしているのかなぁ~?」
それはもう心底楽しそうに満面の笑みを浮かべて渚は詰め寄るように竜悟へと顔を近づける。
逃げようとした竜悟は今まで以上に怯えた様子で体を震わせて絶望の表情を浮かべていた。
しかし竜悟や周りの見ていたクラスメイト達が思っていたようなことにはならなかった。
なぜなら渚は、竜悟が諦めきった顔になったのを確認すると満足そうに頷いて掴んでいた手を放したのだ。
いきなり手を離された竜悟はほとんどつるされたような状態だったため落とされ、床に座り込みながら状況が理解できていないのか混乱した様子で渚を見上げた。
周りにいたクラスメート達も先ほどの渚の様子を見て竜悟が酷い目に合う事を想像していたようで、少しビクビクと怯えたようにしながら見ていたのだが…、渚の空気が変わったのに気が付くと竜悟と同じようにポカーン…っとした表情で渚の方へと視線を向けた。
その場の全員から注目されている渚は特に気にした様子も無く、もしろ今まで以上に心底楽しそうな笑顔で笑い出す。
「はははっ!別に、そんなに驚くこと無いだろ?いつもいつも人に聞かないでいろいろ勝手に決めるから、ちょっとお灸をすえてやろうかな~と思って…ね?」
渚は意地の悪そうな笑みを浮かべて首を傾げてそう言った。
その渚の話を聞いた竜悟や桜花達は心当たりがあるようで気まずそうに表情を引きつらせ、冷や汗を大量に流し顔を逸らした。周りで渚と竜悟達の話を聞いていたクラスメイト達は竜悟と桜花達の反応を観て、あぁ!こいつらか…と納得した様子で頷いていた。
そんな周りの反応を確認した渚は更に楽しそうに笑みを浮かべて話し出した。
「まぁ…でも、今回はこれで許してあげるよ。元々そんなに、嫌ではないしね?ただし、今後は最低限でいいから確認してくれればっ!だけどな。ちゃんと分かったか?竜悟、桜花君。それに、そこで顔を下げたままの愚妹と愚弟…」
渚は少し疲れたように話していたが、すぐに真面目な表情になると竜悟と桜花には少し優しく諭すように言い、反対に今まで顔を上げる事もなくその場で固まっていた他の2人には冷たく睨みつけて厳しく言い放った。
そう言われたと同時にうつむいていた2人は観念したようにゆっくりと顔を上げる。
顔を上げた2人は双子で似た顔だちをした男女だった。2人とも小柄ではあったが男女の違い。
更に男子の方は髪型が坊主・女子の方がツインテールと言ったように見た目でも分かりやすい違いがあって見分けは非常につきやすかった。
そして渚が言ったように2人は渚の弟妹でもあるため、外見のレベルも周りのと比べて圧倒的に高い。
しかし綺麗に整った顔も今は恐怖によって引きつっていた。
その上2人は怯えているためか一向に話し出そうとはしないのだ。
渚は2人の態度に最初はそこまで本気で怒ってはいなかったようだが、今は少しイラついた様子で睨みつけていた。
「はぁ…ねぇ?聞こえてるかなぁ?夏輝・夏帆、2人とも話しかけられたら…すぐ返事‼」
「「ハイ‼ちゃんと聞こえています!」」
渚が少しイラついた様子でちょっと強めに言うと夏輝と夏帆の2人は瞬時に姿勢を正して元気よく返事をした。
それを見て渚は満足気に何度も頷き楽しそうに笑みを浮かべて改めて話し出した。
「そうだよ、最初からちゃんと返事すれば俺もそこまで強く言ったりしないんだからさ。まったく、お前らも態々こんなことに手を貸していないで、俺にちゃんと確認しに来ればよかっただろ。まぁ今回はそこまで怒ってないからいいけど、次からは本当にっ!気を付けろよ?」
「「はい、次からは気を付けます……」」
注意する厳しいもの言いに夏輝と夏帆はさすが双子と言うべきなのか、息を合わせたように少しのずれも無く反省した様子で答えた。
それを聞いた渚は今度こそちゃんと反省したと確信したようで、納得した表情になると静かに疲れたように小さく一息ついた。
「ふぅ…まぁ注意はこのくらいにして、本題だけどさ?結局のところ話をようやくすると『今話題になってるゲームをみんなでやるから。機械とかソフトはこっちで用意するしお前もやろうぜ!』ってな事でいいのか?」
渚はここまでの話をもの凄くコンパクトにして確認するように少し首を傾げながら聞いた。
その質問に竜悟や桜花達はいきなり質問されたのと、まさかここまで短く話を纏められると思っていなかったようで少しの間ポカーンっとしてしまっていた。だが、すぐに正気に戻ると少し動揺しているようだったがゆっくりと答えた。
「あ、あぁ…簡単に言うと、そう言う事だよな?」
「は、はい。一応そう言う事で大丈夫だと思います…」
竜悟と桜花の二人が何とか頑張って答えると、その横で夏輝と夏帆の二人も特に話す事はなくただ何度も頷いていた。
しかしその様子だけで渚は少しやりすぎたかなぁ?と苦笑いを浮かべて少し気まずそうに頬を掻いた。
「あぁ…とりあえず話の内容は分かったが、何度も言うが俺は基本的にゲームやらないから。お前ら程上手くはないぞ?」
「大丈夫だって、そんな事ちゃんと俺達も分かってるよ。ただ、どうせ全員で同じゲームやるなら渚も巻き込んで、みんなでやった方が楽しそうだからな!それに今回のゲームは体を動かす感覚でプレイすることが出来るからな。そう言うのだったら得意だろ?」
渚の質問に竜悟はようやく落ち着いてきたようで最初のような軽いノリで少し挑発するように笑みを浮かべて答える。
それを聞いた渚は竜悟の切り替えの速さに少し呆れたように溜息をついていたが、すぐに何時も通りに戻っただけだと思い出したようで、疲れたようにうつむきながら溜息を吐き出した。
「はぁー…、まぁその事は帰る時にでも詳しく教えてくれ。それよりもお前たちいいのか?ここに居て」
渚が竜悟から視線を桜花達に移して少し時計を気にしながらそう言った。
桜花達は何故そんな事を聞かれたのか分からないようで不思議そうに首を傾げていた。
「?渚先輩、どうしてそんなこと聞くんですか?」
「ん?そりゃぁ、もうすぐ授業始まる時間だからな?」キン!コン!カン!コーン!
渚がそう言った瞬間一時間目のチャイムが鳴り始め教室のドアがガラガラ‼と大きな音を立てて担任が入って来た。
それに気が付いた桜花達はもっと早く言えっ⁉というように少し渚を見たが、そんな余裕はすでになく慌てて教室から出て行き自分達の教室へと走って行った。
「おはよう!お前ら今日も元気よく一日を過ごすぞ‼」
担任が少し暑苦しいくらい元気よくそう言うと、今まで渚達の会話を聞いていたクラスメイト達は急いで自分達の席へと戻って行った。
その間にしれっと渚と竜悟は既に自分の席へと座って授業の支度まで終わらせていたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
956
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる