荒野のオオカミと砂漠のキツネ

Haruki

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キツネなりの戦い

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ルナ帝国内のクーデター事件から1ヶ月が経った。
リサの兄であるキツネ族のリアドは、森の中でL16機関銃の手入れをしていた。

そこは森の中で、他にも大勢のキツネ族が集まっていた。
皆、オオカミ族の攻撃を逃れるために逃げて来たのだ。
そこはレジスタンスの拠点の一つであり、かつ最大のものであった。

「どこでルナ帝国製のマシンガンなんて手に入れたのよ」

仲間の一人のファイが彼にそう声を掛けた。

「この間オオカミ族の集団を襲った時があっただろ、その時の戦利品さ… ご丁寧に予備の弾とマガジンまできっちり揃えて置いて行ってくれたんだ」

そう彼女に得意げにそう説明すると、銃を構えるフリをした。

「敵の技術を褒めるなんてのは皮肉かも知れないが、なかなかに優秀な銃だ。構造の大部分が簡略化されていて軽くて携帯性に優れている。しかも命中精度は俺たちが使っているやつよりもブレが少ない」


一方オオカミ族は、
大量のキツネ族が森に隠れていて、攻撃しようと森へ踏み入れると待ち伏せ攻撃を喰らうことに手を焼いていた。

「どういうことだ! コレは!」

長官が部下を叱りつけ、書類の束を机に叩きつけた。

「なぜこれほどにキツネ族の始末に時間がかかるのだ! 相手が軍人ではないただの市民にも関わらず!」

「そのキツネ族のほとんどが森の中に隠れておりまして…」

「森がどうしたと言うのだ、追い詰めれば良いではないか」

長官は怒り浸透の様子だ。

「それが… キツネ族の待ち伏せ攻撃に手を焼いておりまして、我々の損害も日に日に増すばかりです」

「…そうかそうか、森のせいか…なら森を無くせば良いのだな?」

「ええ、それが出来るのなら… しかしとてつもない規模の大きさですよ、どうやってすると言うのですか?」

「答えは簡単だな、奴らは空を飛べない、ならば空から一方的に蹂躙すれば良いのだよ」

数日後、
この日は、パトロールが禁止された。
ヒラリー空軍基地には4期の大型爆撃機が飛来して、修復された滑走路に降り立った。

爆撃機はヒラリー基地で燃料を補給し、爆弾を積み込んだ。
ロバートはその様子を眺めていた。

「爆撃機が爆弾を積んでいますね、どこを攻撃するつもりなのでしょうか?」

「…焼夷弾も積んでいるようだな、森にキツネ族が潜んでいるっていう噂を聞いたことがあるから、あの機体はおそらく森を焼くのが目的だろう… いいや、それ以外には考えられないな」

夕方になり、日はもうすぐ地平線に差し掛かろうとしている時刻、
そんな中爆撃機はエンジンを始動し、出撃体制に入った。

ちょうどその頃、
森の中ではリアド達は、森の中を流れる川で捕まえた魚を調理するために、いつも通りに焚き火の準備をしていた。

しかし、どうしてもリアドには嫌な予感がしてならなかった。

「どうしたのよ? 浮かない顔しちゃって」

ファイにそう聞かれるほど、彼の顔色は悪かった。

「今日は敵と接触した奴が1人も居ないんだ」

「別に悪いことでは無いんじゃないの?」

「いや… 今まで連日のように攻めて来ていたにも関わらず、今日になって…こうピタッと止むのは不自然だと思わないか?」

「う~ん… 確かにそうかも知れないわね」

日は間も無く沈もうとしている。
話しを聞いていた女性のオオカミはリアドと大体同い年か、彼よりも少し若いくらいの雰囲気だった。

「この1ヶ月ほど、敵が攻撃の手を緩めたことはない… だから徐々に敵の数が減っていって、そのまま攻撃が止むのなら分かるんだがここまで急に攻撃が止むと、逆に不安になるんだよなぁ」

「オオカミ族の作戦じゃない? ほら、例えば私たちを油断させるためにやったとか」

「その線も考えられるな」

夕闇に紛れて飛び立った爆撃機は、ヒラリー基地上空で旋回し森のある方向を目指した。

「見えました、目印が」

爆撃手がそう言った。
目印とは焚き火のことだ、
夜間ならば上空からその姿はよく見えるため、目標にするにはピッタリだったのだ。

もちろん、地上の彼らは上空から見られていることなど気づく余地もなかった。

ようやく爆撃機がその森の上空に進入しようとした時、リアドや他の仲間は空から響く低い音に気がついた。

「なんだこの音は? 地鳴りか??」

キツネ族の間に混乱が巻き起こる。

「ねえ、あなたもこの音が聞こえるでしょ?」

「ああ、風の音とも違う…  分からない」

一番先頭を飛行していた1爆撃機が目標上空で爆弾を切り離し、そのまま離脱した。

次々と爆弾が着弾し、一体は火に包まれた。

「爆撃だ! 全員逃げろ!」

誰かが叫んで、第一波の直撃を免れたキツネ族が散り散りになって逃げ出した。

爆撃から逃れようとリアドはファイの手を引いて、他の仲間が逃げる方向とは逆を目指して走り出そうとした。

「早く逃げるぞ!」

「でもみんなあっちへ逃げてるわ!」

「火災から逃げるんだ、だから川へ向かう」

「でも他の仲間と逸れることになるわ!」

そう言ってリアドに引っ張られる彼女は、移動する集団を指差した。
しかしその集団の付近に爆弾が着弾して、激しい火柱が上がった。

ファイがその悲惨な光景を呆然と見つめていた。
第一波の爆撃で辺りは明るく照らし出され、
その光を目標に他の爆撃機も次々に爆弾を投下した。

「立ち止まるな! 今は俺を信じろ、行くぞ!」

次々と爆弾が着弾し、木々が燃えて付近は火の海と化した。

どうにか2人は川まで逃げ切ったものの、他のキツネ族とは逸れてしまった。

その頃リサは燃え盛る森を山の上から唖然と眺めていた。

「兄さん… どうか無事でありますように」

リサは兄の身の安全を心配した。

その頃2人は川を渡り終え、どうにか対岸へ逃れることができた。
そこで夜が明けるまで待った。
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