忘れられたJ28、色とりどりの傷痕

融解犯

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メモリー1「傷ついたんだ」

31「すれちがい」

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「じゃあ、早速聞いていくね。最初の襲撃のとき、君たちは俺たちを『極上のカモ』と言った。そのくせなぜか俺を襲うことを避けている節があった。......『取り決め』って言っていたよね? つまり、君たちにはこの襲撃にあたってあるルールが敷かれていた。内容は、確信できる範囲でこの二つ」

 一つ、俺を除く六人を殺すこと。二つ、俺だけは絶対に傷つけないこと。

「そこは多分、合っているよね? 肯定か否定か、ほしいんだけど」
「あ、合ってる......」
「うん、ここは俺の予想通りだね。そしたら、さっきの解答を踏まえたうえで答えてほしい。俺以外の六人を殺す目的は? 君たちにどんなメリットがある? それから、君たちにこんな指示を出した黒幕はいるかいないか。いるなら正体は......いや、正体は予想がつくからいい。難しい問いじゃないはずだ。答えてほしい」
「ま、待て! 聞くなら一つずつ聞いてくれ! 一気に言われるとわかんねえよ!! 六人を殺すことで黒幕にどんなメリットがあるか、だったか?」
「混ざってるよ。でも、それもたしかに気になるね。......彼が黒幕なら、むしろ俺を徹底的に狙うはずだ」

 質問に答える男と考え始めた青年――突如現れた怜とはよそに、林太郎たちは完全に蚊帳の外だった。今はまだ気を失っている桜子を引っ張って三人で壁際で固まりつつ、彼らの問答に耳を傾けていた。

「俺以外の六人を殺す目的は?」
「お、オレたちは報酬をもらうためだ。オレたちはここで目覚めてから自然とこの学校に集まってたんだが、そこに急に謎の二人組が来て......あんたらの特徴を教えられて、あんた以外の六人を殺したらここで安全に暮らせる約束をしてもらったんだ。それがオレたちの報酬だ」
「なるほど。目的とメリット、黒幕の有無が同時にわかったね。じゃあ、黒幕側の目的は? その彼らは今どこに?」
「それは......教えてもらってねえよ。この学校のどこかにボスはいるはずだが、連絡手段があるだけでどこにいるかまでは......」
「ボス......ここに残っているのは一人......その連絡手段、見せてもらえる?」

 黙って男はポケットからスマホを取り出すとそれを怜に渡す。怜はしばらく無言でじっと画面を見ていたが、やがてそれを自分のポケットにしまうと、パッとアイスピックを手から離した。

「え......あぐうっ!? ゲッ、うがッ!?」
「ありがとう、君のおかげでいろいろわかったよ。......決心もついたしね」

 怜が言い終えると同時にガクリと男の首が垂れる。腕を離した怜はそのまま雑に男の身体を横たえらせると、「ニャー太」と猫の名を呼んだ。するとフードの中からぴょこっと白猫の顔が現れる。ニャー太はそのままフードの中から飛び出すとテテテと歩き出し、なぜか三人の前でお行儀良く座った。

「陽介くん」

 急に名を呼ばれた陽介がビクッと肩を強張らせるが、怜は彼の方を見ないまま話す。

「この壁裏にある階段下に倉庫があるから、彼らを運ぶのを手伝ってほしい。中で縛ってしばらく閉じ込める」
「わ、わかりました。けど、鍵は......」
「ニャー太が持っている」

 よく見れば、ニャー太の首輪からビニール紐で括りつけられた鍵がぶら下がっていた。

「いつ誰が来るかわからないから、スピード作業でよろしく。林太郎くんは誰か来ないか見張っていてほしい。ニャー太、先頭お願い」

 言われるがまま林太郎は見張りを行い、陽介は運ぶのを手伝う。かなりのスピードでその作業は行われ、林太郎は状況を整理する暇もなかった。
 最後の一人が運ばれてから少しして、怜だけが戻ってきた。

「林太郎くんもこっちに移動してほしい。君にも話しておきたいことがあるんだ。桜子ちゃんは俺が運ぶから」

 その言葉に心が大きく鳴った。やはり、ただ助けるために現れたわけじゃないのだろう。何を言われるのか予想がつくようでつかない。怜の顔は相変わらず無表情で何を考えているのか読み取れない。
 だが、これは報いだ。責められるのなら責められるべきだ。決心し、林太郎は無言のまま立ち上がって倉庫へ向かう。後ろから桜子を抱えた怜が続く。
 倉庫の前まで来た林太郎は足を止めた。作業が完了して完全に閉じられた倉庫。その扉の前で尻尾をゆらゆらさせてこちらを見つめるニャー太、――倒れている陽介。

「ようすッ......!?」

 後頭部に強い衝撃を受ける。ぐわんと脳が揺れた後、あっという間に林太郎の意識は闇の中へ引き込まれた。

 ――「ごめんね」という声だけ、残されたまま。




「どこ行ったんだよちくしょうッ!!」
「中に戻ったに決まってる!! おい、どうする!?」
「おまえらは中戻って他のやつらを探せ! 外は俺らが捜しとくから!」

 話がまとまったらしい集団は二手に分かれ、声が遠ざかっていった。だが、案外それは近くで聞かれているものだ。

「なるほど、これぞまさしく灯台モトグラシーってやつですね!」
「......おまえ、大正デモクラシーと何か勘違いしてねえか」
「え? 似たようなものじゃないんですか?」
「全然違うんだが......。いや、今はそんなこといい。おら、さっさと移動するぞ」

 植木の陰から出てきた空と梓は周囲を窺いつつ慎重に進み、どうにか裏門にいる連中の目を盗んで別当側の小さな入り口に入るとそのまま校舎の中を進んだ。

「......おまえ、これからどうするんだ」
「わかりません。とりあえず生きます」
「......そうか」
「「......」」

 ――......き、気まずーーッ! 会話が続かねえーーッ! おい梓、いつも何かと話題振ってたのおまえだろーが! 何か言えよ! 言えるわけねえか! 俺ら言い合って別れたもんな!!

 空は、内心挙動不審になっていた。それもそうだ。今となっては梓のおかげで荒んでいた心も落ち着いているが、あのときは結構言った。怒りに任せて大分言った。気まずくなるのも当然というものである。

 ――あ、謝るか? けどどっちかっつーと俺が謝るべきなのは林太郎のやつの方だし、そもそも俺は......。

『オレたちの積み上げてきた絆をめちゃくちゃにして、無意味なものにしようとしてるのはあんただよッ!!』

「......」

 めちゃくちゃ側にした自分が、何か言ったところで意味があるのだろうか。
 空の表情がかげったとき、半歩後ろを歩いていた梓が不意に口を開いた。

「オレ、何も周りみんな敵だったわけじゃないんですよ。少なくとも家族はオレの味方でしたし、頼ろうと思えば頼れたんですよ」

 「でも」とその声が一段暗くなる。

「オレの中で家族は守るべきもので、心配かけたくない相手でした。オレは家族を頼れなかった。そうなるともう、オレのこと救ってくれる人っていなかったんです。友達もいたし、先生とも仲良かったのに、彼らがオレの心を救えるとは思えなくて......。ぜいたく、ですよね。だからきっと、ここまで追い詰められたんですよ」

 黙って聞いていた空だが、何も返さなかった。梓も特に返事は期待していなかったのか、それっきり無言で空のあとをついていく。校舎の中は異様に静かだ、そのくせどこか張り詰めている気もする。まるで、この空間を統べる者がどこかを闊歩しているかのように。
 その数分後、ふと空は足を止めた。背後で梓が慌てて止まりつつも戸惑っている気配がした。

「空さん......?」
「ああ、贅沢ぜいたくだな。それだけ周りに人がいたってえのに、相手を選んで相談できず、そのまま自滅しかけるなんざ」
「......そう、ですよね。こんなんだからオレは――」
「けど、贅沢にもなるだろ」
「......え?」

 空は振り返らなかった。どこかをまっすぐ見つめたまま堂々と言い放つ。

「だって、代わりのきかない自分の心だぞ。傷痕一つ残さず救われたいって思うに決まってんだろ。だけど......相手を間違えれば傷は増える。そしてもっと怖くなる。それに恐れて、助けてくれる相手を見逃しちまう。俺は......俺たちはきっと、似たモン同士だったんだ。少しだけ不運で、そして......とてつもなく臆病者だったんだ」

 ようやくわかった気がした。自分たちはこの傷を忌み嫌いながらも、傷を理由に前へ進む勇気を捨ててしまっていた。踏み出したところで何も変わらないのが怖くて、それ以上にさらに傷つくのが怖くて。そうやって怯えた結果が、あの仲間割れを招いてしまっていた。
 でも、今なら。
 そのことに気づけた今なら、自分たちは先へ進めそうな気がする。もし、また怖くなって足が震えても、

『空さんはたしかに面倒臭がりでしたが、何をやっても無意味だなんてことはありませんでした』

 必ず引っ張ってくれるやつがいる。きっと怜には自分たちを繋ぎ止める明確な理由なんてなくて、それでも彼なりに自分を信じてそうしたのだろう。思えば林太郎たちを仲間にしたいのもそんな感じの動機からだった。理由を求めた自分が恥ずかしい。怜にも後で謝らなければ。

「......だったら、空さん――」

 何か言おうとした梓の声が、鈍い音とともに不自然に途切れた。

「......梓?」

 眉をひそめて振り返る。目の前に、見慣れた黒い瞳があった。

「れ、い......ッ!?」

 押し倒され、首を絞められる。急な圧迫感に喘ぎながらどうにか怜の顔を見上げるが、ぼやけていく視界でその表情はよく見えなかった。空は自分が怜に殺されるんのだと思った。怜の言葉を聞き入れなかった、その報いだと。
 すぐに現実を受け入れた空は、せっかく前へ進めそうだったのになと諦めを抱く。抱いたからこそ、空は遺すつもりで怜に告げた。

「れ、い......おま、え、を......拒絶、して......わる――」

 暗転。




 その部屋は他の教室と違い、黒板しか存在しない部屋だった。窓の外は上下左右ともに清々しいぐらいの青が広がっており、そのまま自分も青の一部になってしまいそうな錯覚に陥る。

 ――叶うのならば、このまま海に沈むか、空に昇るか。

 そう願うほどに、この青は悲しいぐらい綺麗だった。
 誰にも見つかりたくなかった。だからここまで誰にも出会わずにやってきた。それでももし、自分を見つけられる相手がいるのなら、その相手はきっと――

「見つけた」

 振り返る。いつのまに入ってきていたのか、白猫を肩に乗せた彼は部屋の中央からこちらをまっすぐ見つめていた。その顔に最後に別れたときのようは感情は見られない。捨てたか、あるいは隠したか。今となってはそんなこと、どうでもいいことだが。

「みんな、やっぱりいい人たちばかりだよ。自分だけ逃げることもできたのにそうしなかった」
「単に逃げられへんかっただけやろ。正門も裏門も連中が張っとるし」
「そんなことないよ。みんなならどうにかあの連中を欺くことができたはずだ。......そういうの、君が一番得意そうだけど」
「怜は希望的観測を披露しにきたんか? 手短に済ませてまおうや。目的は何や?」

 恒輔は、怜との会話を最期に死のうと考えていた。もう自分の人生には何の意味もない。この先の孤独に耐えられるような、かといって誰かに寄り添えるような勇気ある心を、恒輔は持ち合わせていなかった。持ち合わせるような強さがなかった。「死んだ方が楽」。この結論に達したのである。
 だからこそ最期に、唯一自分の心に手を伸ばしてきた怜と話がしたかった。自分の心に触れさせないように、けれど自分が後悔しないように。
 怜はしばらく無言のまま立っていたが、やがておもむろに口を開いた。

「お礼を、言いたくて」

 予想外の言葉に恒輔は目を瞬かせた。

「......お礼?」
「みんなにももちろん感謝しているけど、最初に俺の手を掴んでくれたのは君だ。たとえ君なりの考えがあったとしても、君は俺に感情を教えようとしてくれた。願いを持っていいと言ってくれた。そのおかげで、俺は怪物から人間に近づけた。......ありがとう、俺を変えてくれて」

 怜の淡々とした声は、その無表情は、どことなく穏やかにも感じられた。「そんなん......」と言いかけた恒輔は、その先を口にするのをグッと堪えた。口にすれば、自分の意志が揺らいでしまう。
 アホか。自分が変われたのは自分が踏み出せた人間やからや。むしろ自分がオレらを変えたんや。自分が居場所になるって言ったとき、誰も口にはせんかったけどその言葉に救われた。六人もの人の心に触れて、すくい上げたんや。自分、どれだけすごいことしたかわかっとるんか。

「......わからず屋。怪物のままでいた方が幸せになれるっちゅーのに」
「君が俺のことを想ってそう言ってくれているのはわかっている。それでも俺は人間になりたい。最初にみんながそうしてくれたように、みんなのことを理解して居場所になりたい。......わかったんだ、俺。ただ戦えるだけが、何にも動じないだけが強さじゃない。感情を乗り越えることが本当の強さなんだって。感情を取り戻して、それがどんなに苦しいものでも受け入れて乗り越えたい。そうして本当に強くなってみんなの居場所としてありたい。それが、俺が考えたみんなに『返せるもの』。だけど......」

 怜は、わずかに顔を伏せた。

「それももう、叶わない」

 そう、彼がそれを成す前に自分たちはバラバラになってしまった。彼が受け取ったものを返すべき相手はもういない。ゆえに願う。彼には自分たちのことなんて忘れて、一人でどうにか元の世界へ――

「でも......もしも俺が居場所になれなくても、みんなには生きてほしい。生きていればきっと、どこかで本当の居場所が見つかるはずなんだ」
「......怜?」

 流れが変わった。
 そう感じたときには遅かった。

「だから俺は願う。これが別れの言葉だ。恒輔くんの口からみんなに伝えてほしい」
「怜、何言ってッ......!」
「みんなは俺のことなんて忘れて、必ず生きてこの世界を出て。きっと居場所は他にも見つかるはず。それこそ俺がいなくたって互いがいる。......俺が最後にみんなを守るから、みんなはどこかで居場所を見つけて幸せになって。これが、怪物おれの願いだ」

 そう言って怜は大股で近づき、恒輔の腹部に拳を入れた。恒輔は声を上げる間もなくその場に倒れ込んだ。この馬鹿力と内心で罵るぐらいにはその一撃は強烈で、どう足掻いても起き上がれそうにない。

 ――あかん......! 今ここで寝てもたら、怜が......!!

 どうにか意識を保たせようとするが、視界は閉じていくばかりで。
 リストバンドをつけた腕が、力なく地面に落ちた。

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