世界は、君を愛したくて創られた

六紫

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第6章 世界樹の儀式

第6章 第5話目 契約の儀 ※※

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海生は私を囲う腕を片方だけ緩めて、テーブルの上に置いてあった桜桃を、一対手に取った。

そして、おもむろにその紅玉の片割れを私の口に押し込んで、自分はもう半分を私の目の前で喰む。

口の中に転がりこんだ桜桃に歯を立てれば、ぷつりとした感触がして、甘酸っぱい果汁が喉奥や鼻腔へと広がった。

「種を」

海生はそう言うと、今度は自分の唇を私のそれに合わせて、舌を差し入れて、器用に種を絡め取っていった。

「契約の前に少し…腹を満たしておいた方がいい。」

私の返事を待つこともなく、また赤い実が口の中へと運ばれて、海生の舌が種を掬いに口内へと侵入してくる。

そんなことを何度か繰り返すうちに、二人の果汁を滲ませた吐息がどんどん混じり合う。

海生の舌が歯列をなぞり、私の舌先を突くように擦り合わせ、ぬるりと角度を変えて奥へと入り込んでいく。

ーー甘酸っぱくて…目眩がしそう…

息も絶えだえに、ぎゅっと海生の胸元に縋りつけば、不意に唇が離れて青い魔素が濡れた口元を掠めた。

お腹の奥が甘く疼いて、切なくなる。

「もう…いいな?」

そのまま私は海生に抱き上げられて、ベッドへと、そっと横たえられる。

海生は私を跨ぐように覆い被さって、「リィナ」と低く囁きながら、耳朶を軽く食む。

シーツに広がる銀糸の波に指を差し入れて、一房弄びながら、「これは、俺だけが見れる景色だな」と満足そうに目元を緩めている。

「恥ずかしいよ…義兄さん…」

「リィナ、違う。俺の名を呼べ。」

耳奥に舌を差し込みながら囁かれると、私は骨の髄から、どんどん熱に浮かされていく。

「海生…?」

「違う」

「…カイゼル?」

「そうだ」

カイゼルは身を起こして、私を見つめる。青い瞳の奥に仄暗い情欲が揺らいでいるのが見えた。

「俺はもう、お前の義兄でも、幼馴染でもない。お前を守るためだけに存在している『男』だ。」

その嵐のような揺らぎに、私も溺れて呑み込まれていく。

「そして、お前に焦がれて…これからお前を抱く『男』だからな。」
 
その言葉は、これから交わす時間をはっきりと想像させて、私の身体が一気に火照る。

お腹の奥深くがずきりと疼いて…
私の中の『女』がゆっくりと目を覚ます。

「カイゼル…」

私もただの『女』として、その名を呼ぶ。

「ああ…」

カイゼルは、艶めかしく自身の唇を舐めて、また私の唇へと扇情的に濡れたそれを重ねた。

分厚い舌とともに青い魔素も、私の腔内を侵していく。カイゼルの舌先は、まるで快楽を教えこもうとするかのように、私の舌を絡めたりつついたりと動き回る。

甘くて芳醇な青い光が私の全身を蕩かし、漏れる吐息は熱を帯びて、紫の光が舞い上がる。

そして、その手は私の身体の輪郭を確かめるように撫で下ろされて、堪えきれないようにワンピースの裾を捲くり上げた。

素肌の上を自分のものではない角張った大きな手が這い上がってくる。

初めての感触に、恥ずかしさも相まって全身の皮膚が粟立つ。その感触には今まで味わったことのない「悦び」が混じっている。

思わず「んんっ」と身をよじれば、その手は私の胸の膨らみを下からそっと持ち上げて、やわやわと揉み始めた。

「柔らかいな…」

カイゼルは瞼を細めて満足そうに呟きながら、胸の先端をきゅっと摘んだり弾いたりして弄び始めた。 

「ああっん」

その刺激は、腹奥の泉に熱を注ぎ、堪らずに私は声を上げて腰を揺らした。

「気持ちいいのか?ここも色づいてきたな…」

嬉しそうにそう言いながら、胸の赤い実を口に含んで舌で転がし始めた。

「あっ…あ、なんかおかしくなっちゃう。カイゼル、お腹の奥が熱いの。」

胸からもとろとろと魔素と快楽が流れ込んでくる。体の芯がじわりと熱くなり、身の置きどころが分からずに、膝をもじもじとすり合わせてしまう。

縋るようにカイゼルの頭を両手で抱える。

「そのまま俺に溺れていればいい。好きなだけ乱れろ」

カイゼルはそのまま片手を離して、反対側の胸も弄り始める。私の口からはさらに嬌声が甘く上がる。

今度は、私の手を引き寄せて指一本一本にキスを落として、口に含む。その淫靡な感触と光景に目眩がして、腹奥の泉から、とろりと蜜が溢れるのが分かった。

「全部味合わないとな…」

その言葉のままに、カイゼルは私の体を優しく撫で、触れていない場所がないようにと、気が遠くなるほどの時間をかけて、私の体中に口付けて、魔素を流して、赤い痕を残した。

気がつけば、青い魔素が天蓋のようにベッドを覆い、その中をずっと卑猥な水音と、私の喘ぐような吐息が響き続ける。

気が狂いそうな熱が体中を這い周り、どんどん私を昂らせるのに、一番触れて欲しいところには、まだ触れられていない。

「カイゼル…もう、お願い。お願い…」

自分でも驚くほどに、媚びた声が出た。

それでも懇願をやめることはできなかった。誘うように大きく腰を揺らせば、物足りなさに、両目から、一雫の涙がこぼれ落ちた。

「お前に求められるのは…たまらないな」

瞳に宿す青を情欲の色に染めて、カイゼルが浮かされたように呟いた。

そう言って泥濘む花芯を縦にゆっくりとなぞって、その上にある小さな粒をくるくると撫で始めた。

「ひゃあっっっ」

カイゼルの肌が擦れて合うだけで、繊細に刺激を拾うようになっていたのに、突然にむき出しの快楽に襲われて、腰がびくりと跳ねた。

目の前が真っ白になって息が止まる。

まだ、触れられていない蜜壺の奥が戦慄いて、収縮を繰り返す。

「いったか。」

「分かんない…何これ?」

「これは気持ちがいいってことだ。」

カイゼルは恍惚とした表情を浮かべながら、私の中から溢れた蜜を指先で掬う。

「やぁぁっ」

ほんの少し浅い所を撫でられただけで、悦びにまた隘路が戦慄く。

「指では刺激が強いか…?」

そう呟いて、唇がどんどんと下に降りていく。カイゼルは、私の両膝をぐっと開いて花芯にも口付けた。

「よく解さないとな…」

そんな声とともにまた背筋に甘い衝撃が走った。

カイゼルが私の陰核を舌で転がし始めたのだ。目の奥がチカチカとして、両膝がガクガクと細かく痙攣する。舐めながらも魔素も流してるみたいだ…大きな快楽の波に投げ出されそうになり、カイゼルの髪の毛を必死で掴む。

「ああんっ、やっおかしくなっちゃう!いってるのに。」

「何度でもいけばいい。ああやっぱり狭いな。ここは。」

今度は蜜壺の中に指が入ってきて、陰核の裏側をゆっくりと擦りあげられる。

なんとも言えない感覚に、また体中が痺れる。

「蜜がこぼれてしまってるな」

腟内を指ではない、柔らかいものが蠢き始めて、花芽からは指の強い刺激が絶えずもたらされる。

息もできないくらいの白い世界に飛ばされるのに、さらに魔素が流し込まれて訳が分からなくなる。

体の奥がやけに疼いて、もっと違う刺激を切なく求めてしまう。

「もう…もうダメ。お願い…お願い…」

息も絶え絶えに訴えるのに、「まだ解さないとだめだ」そう言われて、何度も何度も全身を震わせて私は白い世界に飛ばされる。

意識すら失いそうになって、「カイゼル、カイゼル」と泣きじゃくって、肩を叩けば、やっとその身を起こしてくれた。

「痛いかもしれないが…覚えていてくれ。これは、俺だけが与えられる痛みだ。」

その言葉とともに私を囲い込むようにカイゼルが覆いかぶさって、熱い塊が、私の中心をゆっくりと狭い道を抉じ開けるように貫いていく。

途中で無意識に蠕動する壁が狭まって、カイゼルの行く手を阻んだ。痛みが背骨を駆け上がり、ぎゅっと唇を噛みしめる。

「リィナ。噛むなら俺の指を…俺にもお前の痛みを分けてくれ。」

そう言って、くっと折り曲げた指を私の歯と歯の間に挟み込んだ。

「跡がつくくらい噛め。俺の体にもお前を刻みたい…」

言われた通りに歯を立てれば、そのままカイゼルはぐっと腰を押し立てて、一番奥深くへと分け入ってきた。

「ゔゔっっ」

内臓が引き攣られるような痛みに、強く指を噛みしめれば、即座に青い光が私の全身を包んで癒していく。

痛みが引いて、身体を熱杭が貫いている感覚だけが残った。

「ほら、最後まで入ったぞ。」

軽く腰を揺らされると、私はそれだけで達してしまって、身の内の怒張をわなわなと無意識に締め付けてしまう。

「くっ。」

カイゼルが堪えるように歯を食いしばるのが分かった。

「リィナ、すまない。俺も限界だ。」

カイゼルは堪えきれないようにそう呟くと、私の腰を両手で掴んで、大きく腰を引いて遠慮もなく奥を穿ち始めた。

一つ穿つ度に青い魔素が圧倒的な喜びと快楽を体の中心に運び込んで、私の紫の魔素と絡み合って溶け合う。私は声も上げられなくなり、ただ吐息を繰り返す。

やがて、それは魂までとも言えるほど、奥深くで蕩け合い一つの光になろうとしていた。

カイゼルの魂とも言える光が徐々に混じり合ってくるのが分かり、多幸感で全ての景色が光輝く。

「カイゼル…私、もう溶けちゃう…」

「俺もだ。一緒に混じり合おう。」

カイゼルの低い呻き声がして、熱い飛沫が体の奥に広がって、私はまた深く堕ちていく。

カイゼルと共に達した瞬間に二人の体から光の渦が迸り、魂が混じり合って、とても静かな場所に降り立つのが分かった。

それは、安らぎに満ちた祝福の場所だった。

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