COLD LIGHT ~七美と愉快なカプセル探偵たち~

つも谷たく樹

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第一章 ようこそ坂之上商店街へ

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 都会の喧騒けんそうからやや離れた住宅街の一角に、地元住民によって栄えつづけているアーケードがある。
 いまだ昭和の香りを色濃く残すこの商店街は、坂之上さかのうえと呼ばれる通りにあり、道沿いには古くからある店がのきを連ねていた。
 鮮魚店では氷をかき混ぜる音が聞こえ、古い蛍光灯がちらつく肉屋からは揚げたてのコロッケの匂いが漂っている。
 八百屋では段ボールに盛られた野菜が積まれ、ときおり吹かれる豆腐屋のラッパも日常の一部として息づいている街。
 そんな時間さえ置き去りにしてきたような小店こみせ通りの片隅に、眼鏡屋の跡地を改装した事務所がある。

『坂之上アーケード警備隊』

 もとは特撮系のテレビ番組で、ヒロインを演じていた俳優、七美七美ななみななみ、二十五歳が代表を務める警備会社であった。

 季節は梅雨。やわらかな風に混じって、じめじめとした湿気が肌をまとわりつく、とある日の夕暮れどき。
 その絶対に家賃は安いであろういたみ切った建物の一室で、七美は時計を眺めていた。カップラーメンを両手にもったまま。

「よーしっ、二分経過」

 遠くペルシャの血を引く彼女は、エメラルドにも似た瞳をしている。
 褐色の肌と、やわらかな栗色の髪を背中で遊ばせる姿は、どこか砂漠の踊り子を彷彿とさせる、エキゾチックな女性であった。

「うっわ。しまった。スープ温めるのを忘れてた」

 慌てて液体の小袋を蓋に乗せるも時すでに遅し。
 ややパニックとなり、なぜか脇の下に挟んだところに事務所の扉が叩かれる。
 姿を現したのは、白髪頭をオールバックにした高齢の男性で、左手には五寸釘ごすんくぎ、右手には金槌かなづちを持っていた。

「じゅてーむじゃ、ナナちゃん」

 髪と同じ色をした立派な髭をたくわえ、ブランド物の三つ揃えを身に着けている。
 手にしたアイテムさえなければジェントルマンテイストなこの男性は、地元警察署、捜査一課を退職後、またしても新人の教育係として同署内に臨時採用された、高橋刑事、六十九歳。
 
 七美が出演していた便秘薬のCMを見てファンになり、引退後、この近くで警備会社を設立したと聞いて以来、足繫あししげく通うようになっていた。

「なに? あたしを殺しに来たの」

 軽く一瞥いちべつをしたあと、脇の下で温めていた液体スープを入れる。
 予想以上にガーリックの効いたトンコツの香りが室内を満たし、不覚にもむせ返った。

「厄介な事件が起きたんじゃ。ちょーっとばかし警備に協力してくれまいか」
「ケヘケヘ。あー、すんごい匂い。もちろん正式な仕事でいいのよね。ズルズルズルー」

 七美は小気味よくすすりながら質問をする。
 なぜ警備会社にもかかわらず、刑事が依頼をしてくるのかといえば、理由はひとつ。
 ここは身辺警護のみを取り扱う特殊任務専門の会社であり、民間委託もされていたから。

「もちろんじゃ。控えおろうー」

 いったん五寸釘を足元に置き、内ポケットから『着手金』と書かれた薄い封筒を取り出す。
 高橋が言うには使途不明金にならないよう、かならず自身のポケットマネーから捻出しているらしく、まさに身銭みぜにを切っての警護依頼だった。

「残念だけど今は任務中なの。明後日には終わる予定だけど、それからでもいい?」
「ぐぬぬ、それだと困るのじゃ。わしも教育係として雇われておるから、ひとりで動くには限界があってのぉ――」

 今の雇用は臨時であり、あくまで補助的な立場との話。
 だが現役時代は、鬼の高橋として地元のヤクザからも恐れられていたのもあり、まだまだ第一線で捜査をしたいと述べた。

「まずは対象者と事件の概要がいようを教えてくれない? ズルズルズルー」
「よっしゃ、よっしゃ、しからば説明をばするかのぉ」

 高橋は満足げに白髭を撫で、またも五寸釘を拾い上げる。
 謎のアイテムを使えるのがうれしいのか、やたらと張り切っていた。

「どうも、へんちくりんな轢き逃げ事件が起きてしまってのぉ――」

 一昨日の深夜、市内の工業団地内にある食品加工会社の門前で、白装束姿の女性が倒れていた。
 第一発見者は早朝の五時に搬入をするトラックの運転手で、『植木に誰か倒れている』との通報により、機動捜査員が駆けつけた次第であった。

「ふぅーふぅー。被害者について、わかっていることはあるのかしら。あちちっ」
「女はスクーターで走行中だったらしく、ナンバーと所持品から身元は割れた。前川孝子まえかわたかこ、三十三歳、隣県にある美容院に勤務しておって、向かう途中、轢き逃げされたみたいじゃ」

 待っていましたとばかりに高橋は壁に釘を打つ真似を始める。
 さも苦しそうな表情を浮かべつつ、チラチラと七美の反応をうかがっていた。

「パチンコの釘調整?」
「なんでじゃ。丑の刻参りに行く道中だったらしいのぉ――」

 事故のあった現場は、比較的新しい工業団地で、長年かけて開拓をされた経済特区。
 すぐ近くには古くからある集落が存在し、そのもっとも奥地にある神社こそが、地元でも有名な丑の刻参りのメッカとの説明であった。

「むかーし、ニュースの報道番組で見たことあるわ。もう廃墟となった神社で、夜な夜な釘を打つ音が聞こえるとか」
「そうそう、その場所じゃ。ヘルメットも被らず、ロウソクを立てるための五徳ごとくを逆さまにして頭に被っておったし、鏡の付いた装飾品まで首からぶら下げておったのじゃ」
「ズルズルズルー。準備万端で向かっていたわけね」

 儀式を決行するのであれば、それら正装のほか、われのある巨木の前で七日七晩、挑まなければならない。
 事故の状況からかんがみると、その神社へと向かう道中で撥ねられた模様であった。

「手掛かりがないということは、防犯カメラにも映ってなかったわけね」
「そうじゃ。ゲート付近には猛スピードで走り去る自動車が映っておったが、なにぶん敷地内ではないから、よく見えんし、どこに行ったかもリレーで追えんかった」
「ふーん。でも、どこが奇妙なの? ただの轢き逃げ事件よね」
「さあさあ、それなのじゃ。丑の刻参りでひとつ重要なアイテムを忘れておるじゃろ」
「重要なアイテム? 藁人形かしら」
「正解じゃ。今いっこ正解が出たぞい」

 高橋は金槌を振る手を止め、内ポケットから一枚の写真を取り出す。
 そこには藁で編んだ人形のほかに一片のメモも映っており、手が震えていたのか、大きく波打った文字で書いてあった。

「えーと、なになに、『山田一夫やまだかずおはサギ師』って、なにこれ?」
「一般的な名前なので、なかなか絞り切れんのじゃ。いまだ捜査班たちは県内にいる同姓同名の人物にあたっておる最中さいちゅうじゃ」
「すると前川さんは、その男性を呪い殺そうとしていたのですかね」
「そのように見受けられるが、今のところ有力な情報を得られておらんのじゃ――」

 前川の通話記録やメッセージには、山田一夫なる人物とのやり取りもなく、本当に無関係であるとの見方が強い。
 唯一、被害者と頻繁ひんぱんに連絡を取っていた男性に事情を聞いてみるも、『前川くんとは、ただの女友人』と、返ってきたらしく、これまた事件性が見あたらない。
 七美はチャーシューをかじり、その男性のアリバイを尋ねると、会社の慰安旅行で遠方にいたとの話で、実行は不可能であった。

「ふーん。そうなんだ。ううう、気持ち悪い……」

 底に行くほど塩分が強くなり、七美はポットのお湯を入れる。
 さながら蕎麦湯の感覚で、スープを飲み干そうとしていた。

「わしはこのミミズがった字を、もしも轢き逃げ犯が書いていたらと考えたのじゃ――」

 メモの文字は大きく暴れ、筆跡の鑑定が困難とのこと。
 ゆえに轢き逃げをした犯人は、わざとありふれた名前を残すことで捜査を攪乱かくらんさせていると述べた。

「なるほど。現に警察は、この山田一夫を追っているしね」
「もしそうならば、犯人は最初から前川を狙っていた線も考えられるじゃろ――」

 本当にメモが陽動ようどうであったのなら、計画性が感じられる。
 前川が生きていると知った犯人は、今度こそ仕留しとめに掛かるかも知れず、その場合、入院中を狙う可能性もあると語った。

「警察で警護はできないの?」
「単なる事故として処理をしまったらしくてのぉ、わしが独断で被害者を張るとなれば、むずかしいんじゃ」

 七美は物盗りやトラブルによる行きずりの犯行との説を唱えてみたが、被害者の持ち物には、いっさい手を付けていないとの話。
 老刑事の言う通り、もしも計画的な犯行であれば、護衛の必要がありそうだと感じた。

「わかったわ。それで被害者の容体は?」
「意識は戻ったが、まだまだ取り調べに応じられん。わしとて担当ではなく、口を挟む権限がないんじゃ――」

 被疑者の身近な人間関係や交友関係を洗う、いわゆる『鑑取かんどり』をおこなっても、有益な情報は得られておらず、これ以上の捜査はお手上げ。
 ただ長年、刑事をやっていた高橋の勘では、単純な轢き逃げではないと言い切った。

「集中治療室にいるあいだは、外から警護するしかないわね。もうひとつカプセル隊員を残してあるから、その子と一緒に動くわ」

 身辺警護の専門だけあり、ここの隊員たちは、武術には覚えのあるスペシャリストたちばかり。
 だが頼もしくはある反面、七美の指示がなければ、なにをどう警護していいか今ひとつ判断できない脳筋集団でもあった。

「本当か。引き受けてくれるか」
「まぁ、仕方ないよね」

 現在、三倉寿美子みくらすみこという若き女性隊員が、女子大生のボディーガードにあたっているが、見張りから追跡に至るまで、ちくいちリモートで指示しなければならない。
 七美はすぐにミーティングに入るから資料を置いていくようにと高橋に言った。

「さんくすじゃ、ナナちゃん。今度、飯でも奢ってあげるぞい」

 またも五寸釘と金槌を持ってソファから立ち上がる老刑事。
 不審者として通報されはしないかと、少し心配にもなった。

「呪いの儀式か……たしか橋姫の伝説だったかな?」

 洗面台に立った七美は、電動ブラシに歯磨き粉をつける。
 自分でもニンニク臭いと感じながら、この手の伝承に詳しい友人から聞いた話を回想してみた。

「そうだ、最初はロマンチックな女性として書かれていたよね――」

 古今和歌集で語られているのは、愛らしい女性として描かれているのに対し、平家物語では嫉妬に狂う鬼女きじょとして収められている。
 
 もともとは『増女ぞうおんな』という格式の高い女性から、『泥眼でいがん』と呼ばれる、憎悪で歪んだ顔つきとなり、次に復讐を表す、『橋姫はしひめ』。
 やがて怒りのあまり角まで生やしたのが、鬼になる寸前の『生成なまなり』と言われ、そして一般的に有名な『般若はんにゃ』を経て、最後は鬼神と恐れられる『眞蛇しんじゃ』にまで変わり果てると伝えられている。

『念』とは『今の心』と書き、相手を呪うために吐き出された言葉であり、見えない性根しょうねより厄介なものはない。
 生半可なまはんかな気構えだと、自分自身も取り込まれてしまい、自暴自棄じぼうじき大願成就たいがんじょうじゅが、表裏一体ひょうりいったいとなって初めて達成される、怨念渦巻おんねんうずまく儀式と言われているのを思い出した。

「ひゃーれ、ひりをあはえていくはな」(さーて、指示を与えていくかな)

 七美はおろしたてのタオルで口を拭うと、三台のモニターが並ぶデスクへと向かう。
『LIVE2』と表記された中央のディスプレイだけがマンションの映像を捉えているが、なぜか上下に動いていたため急いでマイクをオンにした。

「あーあー、こちら隊長。聞こえるか? 三倉」
『はい。どうされましたでしょうか』

 インカメラへと切り替わり、現在、張り込み中の隊員、三倉寿美子(二十二歳・独身)の健康的な顔が大写しになる。沖縄生まれの彼女は、その道では有名な躰道たいどうの使い手であるも、滅多やたらとお目にかかれないほど、天然気質の持ち主だった。

「どうされましたかじゃない。あんたヒンズースクワットしていたでしょ」
『すみません。退屈だったもので』
「マンションの前でスクワットしていたら完全に不審者だろ。何度言ったらわかるの」
『すみません。回し蹴りの練習に変えますから』
「それもやめてちょうだい。もうすぐしたら水溜みずためを呼んで四時間ごとに交代。もしもストーカーが現れたならスマホに連絡してくれ。あたしは少し席を外す」

 通信を終えた七美は、LIVE3と書かれた右端のモニターへと向きなおる。
 いちおう申しわけなさそうに、眉を八の字に下げるとスイッチをオンにした。

「休日にゴメンねー。カモーン、大木場おおきば

 先ほどと同じく、マイクに口を近づけ応答を待つ。
 すると今度は小さなプランターの並ぶ映像となり、たのしげな鼻歌が聞こえてきた。

『ララララーン。フフフーン。どうしたっすか、隊長』

 カメラが内側に変えられ、三倉と同様、血色の良い肌艶をした青年のアップとなる。
 大木場アキラ、二十七歳、これまた独身。鋼鉄の鎧を着ているようなムキムキマッチョマンで、この会社における守備のかなめであった。

「すまない。急な依頼が入ったんだ。君とふたりでやっつけるぞ」
『えぇー、今からジャガイモ掘って、パンケーキでも作ろうとしてたのに』
「ならば飯を奢ってやる。ディナータイムなので混んでいるかも知れないが、いつもの店で作戦会議だ」

 七美はミント味のマウススプレーをひと吹きすると、買ったばかりのパンプスにつま先を通す。
 モニター越しの青年はガッツポーズを決め、その怪獣にも似た歓喜の咆哮ほうこうは、ビリビリとスピーカーを震わせていた。
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