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第2章【三日月が満ちるまで】
32 火曜日の火種と、物陰のモニター | 疑心暗鬼、枯れ尾花見る【宇佐美】
昼食を終えて社内へと戻る最中も、川口の噂話は止まらない。
「そう言えば、営業の田口さんの話、聞きました?」
「いや、聞いていないが」
「田口さん、経理の的場さんとゴールインするらしいっすよ」
まるで自分の手柄のように話を続ける川口。
「うちの男性社員の未婚率って高いし、内心みんな焦ってるんじゃないですかね。僕たちが知らないだけで、フリーな女の子の争奪戦が開催されてたりして」
冗談めかして笑う川口の隣で、俺の脳内は三井さんを狙っている『競合他社』の特定で埋め尽くされていった。
「未婚なら、佐藤や高山たちもいるだろう」
佐藤はミスが多く、高山にいたっては「広告代理店で働く自分」というブランディングに心血を注いでいるだけで、実務の精度は極めて低い。
だが、その「キラキラしたパッケージ」に騙される男性社員は多いはずだ。
むしろ、三井さんを狙うリソースがそちらにスイッチしてくれないかという、身勝手な願いを込めて口にする。
「佐藤さんは関連会社の人と付き合ってるって前に聞いたし、高山さんは理想が高すぎてうちの社員は論外って言ってたっすわ」
川口はエレベーターの上ボタンを連打しながら、さも当然といった風に肩をすくめる。
「起業家とかインフルエンサーみたいな、雑誌の表紙を飾るようなハイスペックがいいって。そういう意味では三井さん、ブルーオーシャンなんですよ」
(……三井さんがブルーオーシャンだと?)
短い電子音が到着を告げ、滑らかに開いたエレベーターの扉。
ブルーオーシャン――競合のいない未開拓市場。
つまり、三井さんはまだ誰にもその価値を気づかれていない「掘り出し物」だと言いたいのか。
鏡面のように磨き上げられた扉に、ひどく動揺した自分の顔が映り、俺は慌てて視線を逸らした。
***
デスクに戻ると、午前中からまったく進捗のない企画書の続きを始める。
資料をスクロールしながら案を練ろうとするが、一瞬でも思考のリソースが空くと三井さんを狙っているのが誰なのか、そればかりを考えてしまう。
(結婚願望を持っているかはパブリックな振る舞いでは判断出来ない。ここは独身というタグで仕分けしてみるしかない……)
総務席に目をやると、三井さんと吉田さんの間に営業の岩谷が立っているのが見えた。
楽しそうに話をしているのはわかるが、何を話しているかまではここからは受信できない。
(業務において、あれほどエンゲージメントの高い笑顔になる話題は考えられない……とすると、プライベートな話をしているのか!?)
色々なパターンをシミュレーションするが、それはあくまでも仮説であって事実ではない。
いつまでも総務席を定点観測しているのも不自然だと気づき、仕事モードへと無理やり切り替えようとした。
資料を読み込み、もう一度最初のページへと戻して企画の骨子を練る。
「そうなのよー。お似合いだと私も思ってたんだから!」
総務席の吉田さんの甲高い声が響いた。
思いの外大きな声に周囲から視線が集まったことに気づいた吉田さんは、さっと両手で口を押さえる。
隣の三井さんも朗らかに笑っている。
(お似合い? もしかして、三井さんと岩谷がマッチングしていると吉田さんは言っているのか!?)
資料をめくる手が止まる。
(吉田さんが仲介となって、あの二人を成約させようとしているのか!?)
脳内のデータベースが一気に動き始め、岩谷の個人スペックを探し出す。
俺よりは年下だが、川口よりも年上のはずだ。
そして独身。
学生時代はサッカーをやっていたという体育会系のバックボーン。
スポーツマンらしい爽やかさに加え、仕事も出来る。
彼氏――いや、結婚相手としての市場価値も文句の付け所がない人材だ。
その事実に居ても立ってもいられなくなり、適当な資料を手にコピー機へと向かった。
俺を見つけた吉田さんが手招きをする。
「宇佐美さん、宇佐美さん!」
俺は三人が揃っているのに初めて気がついたかのような顔をして、吉田さんたちのもとへ向かう。
「仕事上のトラブルか?」
内心わざとらしいと思いながら、ポーカーフェイスを崩さずいつも通りの口調で答える。
「違うわよー。岩谷さん、眼鏡からコンタクトに変えたんだけど、絶対コンタクトのほうが似合ってるって話してたところなの。宇佐美さんはどう思う?」
(眼鏡のことか……)
安堵した気持ちを悟られまいと、返答がいつもより冗長になる。
「コストパフォーマンスやメンテナンス性で考えれば眼鏡のほうが優位だが、クライアントに与える印象――視覚的ベネフィットという点ではコンタクトも悪くはない」
「ちょっと、また小難しいこと言って」
吉田さんの笑い声につられ、三井さんも笑っている。
なぜか急に恥ずかしくなり、そそくさとその場を去る。
***
(この俺が、『幽霊の正体見たり枯れ尾花』を体験するとは)
正体を知ればただの枯れススキ。
怪しく思えば、岩谷の眼鏡がコンタクトに変わった程度のことさえ、略奪の予兆に見えてしまう。
裏を返せば、それだけ疑心暗鬼に思考をハックされているということなのだろうが。
(今はとにかく仕事に集中すべきだ)
午前中から置いたままの紙コップに残ったコーヒーを一気に飲み干し、今度こそと資料を読み込んでクライアントの要望とそれに合致した企画を考える。
(今回の資料を精査する限り、ターゲットへの訴求ポイントは「爽やかさ」ではない。より成熟した大人の情緒を要求している……というわけか)
手元のメモに「大人、アダルト」と書き込み、手が止まる。
(アダルト……)
瞬時に脳裏へ強制投影されたのは、川口が放った無根拠な三井さんの下着に対するプロファイリングだった。
実証データなど何一つ存在しないというのに、俺の脳内は勝手にブラウスの数ミリ下を演算し、鮮烈な赤とTのレタリングを網膜に焼き付くほどの高解像度で描き出してしまう。
(……待て!)
慌てて『アダルト』の文字をペンで塗りつぶし、「シックで大人っぽい」と書き直すと、思考のノイズを振り払うべく席を立った。
フロア外の自販機で、微糖の缶コーヒーを無造作に選ぶ。
ガタン、と重い音を立てて落ちてきたスチール缶を手に取ったその時だった。
エレベーターホールへと消えていく、三井さんの後ろ姿が視界に飛び込んできた。
(……誰だ、隣にいるのは。……遠藤か!?)
缶コーヒーの冷たさが掌に伝わる。
マーケティング部の遠藤――2、3年前に離婚し、「女は懲り懲りだ」と触れ回っていたはずの男が、なぜ今、彼女と並んで歩いている?
(マーケティング部は総務と直接仕事をすることはない……ということは……)
今すぐにでも二人の間に割って入りたい。
しかし理由がない。
缶コーヒーを片手に、気持ちばかりが焦ってくる。
不意に遠藤がこちらを振り返った。
「宇佐美さん、お疲れ様です」
「あ……お疲れ」
俺が手にした缶コーヒーを見つめる遠藤。
「それ新商品ですよね。この商品のコピー、今ちょっとした話題になってるんですけど、C社が手掛けてるんですよ」
「そうだな。うちはコンペで負けたが、C社のコピーは秀逸だった」
仕事の話がしたいわけではない。
二人はどんな話をしていたんだと、今すぐにでも深掘りしたい。
だが、それを口にすることは出来ない。
「今ね、三井さんと話してたんですが、コンペの案を社内から募ってみるのもありかなーと」
遠藤はエレベーターホールで足を止め、三井さんと視線を合わせて快活に笑った。
その屈託のない様子に、俺の胸の奥で得体の知れない焦燥が膨らむ。
「この缶コーヒーのコピーみたいに、俺たちが気づかない着目点が出てくるんじゃないかと思いまして。宇佐美さん、どう思います?」
遠藤の視線が、俺の右手に握られたままの缶コーヒーに注がれる。
「あ……。ああ、社内コンペか。多角的な視点を取り入れるという意味では、悪くない判断だな」
平静を装いながら、俺は冷えたスチール缶を指先に力を込めて保持した。
手の中の温度が、俺の動揺を吸い取ってくれることを期待しながら。
内心では、この二人がいつからどの程度の頻度でこうした意見交換を行っているのかを割り出すことに全リソースを割いていた。
「決まったメンバーだと、どうしても案が定型化して死に筋の企画ばかり残るんですよね。うちらも今、ちょうど行き詰まってるとこなんです」
(コンペの話をしてただけなのか)
ホッとするが、また次の疑問が沸いてくる。
(いや、そもそもなんで二人はこんなところで話をしている? もしかして、これはとっさの嘘で、実は違うことを話していて俺が通りかかったから話題を変えたのか?)
止まらない思考のバグ。
「あ、佐藤さん。遅いよ。会社出る時間、伝えてたでしょ?」
エレベーターホールに何枚もの資料をファイルからはみ出させた佐藤が、ヒールの音を響かせて駆け寄ってきた。
「すみません! 用意する資料が多くて手間取ってしまって……」
息を切らしながら謝る佐藤を、遠藤は「しょうがないな」と苦笑しながら受け流す。
「宇佐美さん、ありがとうございます。じゃあ、失礼しますね」
二人は連れ立って、到着したエレベーターの中へと吸い込まれていった。
残る俺と三井さん。
「企画やマーケティングって大変なんですね。コピー用紙を取りに行ったら、難しい顔をした遠藤さんに『社内コンペって他の会社でもやってた?』って聞かれて」
他社での職歴がある三井さんに、サンプリングしたかっただけか。
一気に安心する。
だが、一度生じたバイアスを完全にリセットするのは、容易なことではなかった。
「そう言えば、営業の田口さんの話、聞きました?」
「いや、聞いていないが」
「田口さん、経理の的場さんとゴールインするらしいっすよ」
まるで自分の手柄のように話を続ける川口。
「うちの男性社員の未婚率って高いし、内心みんな焦ってるんじゃないですかね。僕たちが知らないだけで、フリーな女の子の争奪戦が開催されてたりして」
冗談めかして笑う川口の隣で、俺の脳内は三井さんを狙っている『競合他社』の特定で埋め尽くされていった。
「未婚なら、佐藤や高山たちもいるだろう」
佐藤はミスが多く、高山にいたっては「広告代理店で働く自分」というブランディングに心血を注いでいるだけで、実務の精度は極めて低い。
だが、その「キラキラしたパッケージ」に騙される男性社員は多いはずだ。
むしろ、三井さんを狙うリソースがそちらにスイッチしてくれないかという、身勝手な願いを込めて口にする。
「佐藤さんは関連会社の人と付き合ってるって前に聞いたし、高山さんは理想が高すぎてうちの社員は論外って言ってたっすわ」
川口はエレベーターの上ボタンを連打しながら、さも当然といった風に肩をすくめる。
「起業家とかインフルエンサーみたいな、雑誌の表紙を飾るようなハイスペックがいいって。そういう意味では三井さん、ブルーオーシャンなんですよ」
(……三井さんがブルーオーシャンだと?)
短い電子音が到着を告げ、滑らかに開いたエレベーターの扉。
ブルーオーシャン――競合のいない未開拓市場。
つまり、三井さんはまだ誰にもその価値を気づかれていない「掘り出し物」だと言いたいのか。
鏡面のように磨き上げられた扉に、ひどく動揺した自分の顔が映り、俺は慌てて視線を逸らした。
***
デスクに戻ると、午前中からまったく進捗のない企画書の続きを始める。
資料をスクロールしながら案を練ろうとするが、一瞬でも思考のリソースが空くと三井さんを狙っているのが誰なのか、そればかりを考えてしまう。
(結婚願望を持っているかはパブリックな振る舞いでは判断出来ない。ここは独身というタグで仕分けしてみるしかない……)
総務席に目をやると、三井さんと吉田さんの間に営業の岩谷が立っているのが見えた。
楽しそうに話をしているのはわかるが、何を話しているかまではここからは受信できない。
(業務において、あれほどエンゲージメントの高い笑顔になる話題は考えられない……とすると、プライベートな話をしているのか!?)
色々なパターンをシミュレーションするが、それはあくまでも仮説であって事実ではない。
いつまでも総務席を定点観測しているのも不自然だと気づき、仕事モードへと無理やり切り替えようとした。
資料を読み込み、もう一度最初のページへと戻して企画の骨子を練る。
「そうなのよー。お似合いだと私も思ってたんだから!」
総務席の吉田さんの甲高い声が響いた。
思いの外大きな声に周囲から視線が集まったことに気づいた吉田さんは、さっと両手で口を押さえる。
隣の三井さんも朗らかに笑っている。
(お似合い? もしかして、三井さんと岩谷がマッチングしていると吉田さんは言っているのか!?)
資料をめくる手が止まる。
(吉田さんが仲介となって、あの二人を成約させようとしているのか!?)
脳内のデータベースが一気に動き始め、岩谷の個人スペックを探し出す。
俺よりは年下だが、川口よりも年上のはずだ。
そして独身。
学生時代はサッカーをやっていたという体育会系のバックボーン。
スポーツマンらしい爽やかさに加え、仕事も出来る。
彼氏――いや、結婚相手としての市場価値も文句の付け所がない人材だ。
その事実に居ても立ってもいられなくなり、適当な資料を手にコピー機へと向かった。
俺を見つけた吉田さんが手招きをする。
「宇佐美さん、宇佐美さん!」
俺は三人が揃っているのに初めて気がついたかのような顔をして、吉田さんたちのもとへ向かう。
「仕事上のトラブルか?」
内心わざとらしいと思いながら、ポーカーフェイスを崩さずいつも通りの口調で答える。
「違うわよー。岩谷さん、眼鏡からコンタクトに変えたんだけど、絶対コンタクトのほうが似合ってるって話してたところなの。宇佐美さんはどう思う?」
(眼鏡のことか……)
安堵した気持ちを悟られまいと、返答がいつもより冗長になる。
「コストパフォーマンスやメンテナンス性で考えれば眼鏡のほうが優位だが、クライアントに与える印象――視覚的ベネフィットという点ではコンタクトも悪くはない」
「ちょっと、また小難しいこと言って」
吉田さんの笑い声につられ、三井さんも笑っている。
なぜか急に恥ずかしくなり、そそくさとその場を去る。
***
(この俺が、『幽霊の正体見たり枯れ尾花』を体験するとは)
正体を知ればただの枯れススキ。
怪しく思えば、岩谷の眼鏡がコンタクトに変わった程度のことさえ、略奪の予兆に見えてしまう。
裏を返せば、それだけ疑心暗鬼に思考をハックされているということなのだろうが。
(今はとにかく仕事に集中すべきだ)
午前中から置いたままの紙コップに残ったコーヒーを一気に飲み干し、今度こそと資料を読み込んでクライアントの要望とそれに合致した企画を考える。
(今回の資料を精査する限り、ターゲットへの訴求ポイントは「爽やかさ」ではない。より成熟した大人の情緒を要求している……というわけか)
手元のメモに「大人、アダルト」と書き込み、手が止まる。
(アダルト……)
瞬時に脳裏へ強制投影されたのは、川口が放った無根拠な三井さんの下着に対するプロファイリングだった。
実証データなど何一つ存在しないというのに、俺の脳内は勝手にブラウスの数ミリ下を演算し、鮮烈な赤とTのレタリングを網膜に焼き付くほどの高解像度で描き出してしまう。
(……待て!)
慌てて『アダルト』の文字をペンで塗りつぶし、「シックで大人っぽい」と書き直すと、思考のノイズを振り払うべく席を立った。
フロア外の自販機で、微糖の缶コーヒーを無造作に選ぶ。
ガタン、と重い音を立てて落ちてきたスチール缶を手に取ったその時だった。
エレベーターホールへと消えていく、三井さんの後ろ姿が視界に飛び込んできた。
(……誰だ、隣にいるのは。……遠藤か!?)
缶コーヒーの冷たさが掌に伝わる。
マーケティング部の遠藤――2、3年前に離婚し、「女は懲り懲りだ」と触れ回っていたはずの男が、なぜ今、彼女と並んで歩いている?
(マーケティング部は総務と直接仕事をすることはない……ということは……)
今すぐにでも二人の間に割って入りたい。
しかし理由がない。
缶コーヒーを片手に、気持ちばかりが焦ってくる。
不意に遠藤がこちらを振り返った。
「宇佐美さん、お疲れ様です」
「あ……お疲れ」
俺が手にした缶コーヒーを見つめる遠藤。
「それ新商品ですよね。この商品のコピー、今ちょっとした話題になってるんですけど、C社が手掛けてるんですよ」
「そうだな。うちはコンペで負けたが、C社のコピーは秀逸だった」
仕事の話がしたいわけではない。
二人はどんな話をしていたんだと、今すぐにでも深掘りしたい。
だが、それを口にすることは出来ない。
「今ね、三井さんと話してたんですが、コンペの案を社内から募ってみるのもありかなーと」
遠藤はエレベーターホールで足を止め、三井さんと視線を合わせて快活に笑った。
その屈託のない様子に、俺の胸の奥で得体の知れない焦燥が膨らむ。
「この缶コーヒーのコピーみたいに、俺たちが気づかない着目点が出てくるんじゃないかと思いまして。宇佐美さん、どう思います?」
遠藤の視線が、俺の右手に握られたままの缶コーヒーに注がれる。
「あ……。ああ、社内コンペか。多角的な視点を取り入れるという意味では、悪くない判断だな」
平静を装いながら、俺は冷えたスチール缶を指先に力を込めて保持した。
手の中の温度が、俺の動揺を吸い取ってくれることを期待しながら。
内心では、この二人がいつからどの程度の頻度でこうした意見交換を行っているのかを割り出すことに全リソースを割いていた。
「決まったメンバーだと、どうしても案が定型化して死に筋の企画ばかり残るんですよね。うちらも今、ちょうど行き詰まってるとこなんです」
(コンペの話をしてただけなのか)
ホッとするが、また次の疑問が沸いてくる。
(いや、そもそもなんで二人はこんなところで話をしている? もしかして、これはとっさの嘘で、実は違うことを話していて俺が通りかかったから話題を変えたのか?)
止まらない思考のバグ。
「あ、佐藤さん。遅いよ。会社出る時間、伝えてたでしょ?」
エレベーターホールに何枚もの資料をファイルからはみ出させた佐藤が、ヒールの音を響かせて駆け寄ってきた。
「すみません! 用意する資料が多くて手間取ってしまって……」
息を切らしながら謝る佐藤を、遠藤は「しょうがないな」と苦笑しながら受け流す。
「宇佐美さん、ありがとうございます。じゃあ、失礼しますね」
二人は連れ立って、到着したエレベーターの中へと吸い込まれていった。
残る俺と三井さん。
「企画やマーケティングって大変なんですね。コピー用紙を取りに行ったら、難しい顔をした遠藤さんに『社内コンペって他の会社でもやってた?』って聞かれて」
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