【完結】その夏は、愛しくて残酷で

Ria★2巻発売中『簡単に聖女に魅了〜』

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二章 思い出作り

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 「美月、忘れ物はない?」

 「うん。あっ、危ない危ない。充電器忘れるところだった」

 急いで部屋にスマホの充電器を取りに戻ると、そばには香織から貰ったパンダのぬいぐるみがちょこんと座っていた。
 可愛い……これも持っていこうかな。
 沖縄の海をバックにこの子の写真を撮って香織に送るのもいいかも。

 よしっ、この子も連れていこう。小さいから手持ちのバッグに入れられるのもいいよね。

 「美月、母さん、タクシー来たぞ」

 「はーい」

 空港までは、電車移動だと疲れるだろうからとタクシーで移動することになった。
 向こうではレンタカーを予約してるって言ってたから、お父さんが運転してくれるみたい。

 私の体力を考慮して、予定は詰め込まず、のんびり楽しもうということになった。
 昔から船が苦手ですぐ吐いちゃうので、離島へ行くことは諦めた。ホエールウォッチングとかもあるみたいだけど、船だからなぁー……

 船だけじゃなくて、飛行機もあまり得意じゃないんだよね。
 離陸する時のふわっと浮く感じが気持ち悪くなる。それでも少しの間だから我慢できるけど、船はずっと揺られてるから無理なんだよね。

 朝早かったこともあり、飛行に乗ったら音楽を聴きながらすぐ眠ってしまった。
 
 「美月、そろそろ着くわよ」

 お母さんに肩を叩かれて目を開けると窓の外には、海が広がっていた。
 海が綺麗で、釘付けになった。本当に色が全然違う。早く近くで見てみたいな。

 「とりあえず、レンタカー借りてホテルいこうか」

 「そうね。美月は体調大丈夫?」

 「うん、大丈夫だよ」

 お父さんとお母さんがキャリーケースを引いてくれてるお陰で、私は身軽だ。
 本当にうちの両親は過保護なんだからと思うものの、それも仕方ないことかと納得する。

 今回の旅行は四泊五日なため、初日は移動で疲れるだろうからと、近場のお店で食事をしたり、海を散歩することになった。
 夜早めに寝て明日は念願だった水族館に行く。
 よくテレビのCMとかで流れてきてたからあの巨大な水槽を見てみたかったんだよね。
 ジンベイザメが悠々と泳ぐ姿が本当に綺麗で、そして気持ちよさそうで、実際に見てみたいと思っていた。

 「お昼は、このお店を予約したのよね。せっかくだから郷土料理を食べたいなって思って」

 「そうだね。せっかくなら沖縄料理食べてみたいって思ってた」

 「あっちと沖縄だと味付けとかもだいぶ違うと思うから、美月も好きだといいけどな」

 そっか。郷土料理ってなると、独自な味付けとかがあるから合う合わないがあるか。
 食べてみないとなんとも言えないけど、楽しみだな。

 「とりあえず、ゴーヤと海ぶどう頼みましょうか。やっぱり沖縄といえばこれじゃない?」

 「ゴーヤは定番って感じだけど、海ぶどう……見た目がちょっと……これ美味しいのかな」

 海藻らしいけど、小さなプチプチがいっぱいでなんかちょっと気持ち悪いと思ってしまったのは申し訳ないですー!
 でも、食わず嫌いも良くないよね……せっかく旅行に来たんだから、挑戦してみないと……駄目だったら残りはお母さんとお父さんに食べて貰おう。

 「プチプチした食感で美味しいって聞くわよ? 新鮮なうちじゃないと食べられないから沖縄きたら食べたほうがいいって聞いたけど」

 「そうなんだ。じゃー、ちょっと頑張ってみようかな」

 「何事も経験ね」

 そうして料理がテーブルに並べられると、とりあえずゴーヤから手を出すことにした。
 っと、その前に写真撮らなくちゃ。

 「あーっ、お母さん待って! 写真撮りたいから、まだ触らないでー!」

 「え? あ、そうね。せっかくだから、お母さんも写真撮るわね」

 美味しかったら、おすすめとして手帳に貼りたいから、角度とかも気にして綺麗に撮りたいな。
 んー、とりあえず、三枚ほど撮ったから十分かな。
 お母さんも写真撮れたかな? と見ると、写真を撮っていた私を撮っていた。
 もー、料理を撮ってると思ったのに……まぁ、旅行中はたくさん写真撮られるかなって思ってたからいいけどね。

 そこにちょうど店員さんが通りかかったため声をかける。

 「すみません。写真撮ってもらえますか?」

 「大丈夫ですよー。こちらのスマホで大丈夫ですか?」

 「ありがとうございます」

 私のスマホを渡し、三人で寄り添い家族写真を撮ってもらった。
 この旅行を振り返れるように、たくさん写真を撮るから、私が居なくなったあとも楽しかった日々を思い出してね。

 「さぁ、いただきましょうか」

 「いただきます」

 苦味が凄そうだなと気合を入れてゴーヤを口に運ぶと思ったより苦味が抑えられていて、食べやすかった。
 それに、なんかこのシャキッとした食感が癖になりそう。
 これは、おすすめとして手帳に書いておこう。

 さて……次は海ぶどう。
 うー、ウニといい、海ぶどうといい、どうして海のものって見た目が微妙なんだろう……
 意を決して口に運ぶと、海藻らしい塩気のある味とプチプチとした食感が意外と悪くないと思った。
 見なければ普通に食べられると思い、目を閉じていくつか食べてみる。
 うん、これもありかもしれない。これも一応おすすめとして書いておこうかな。

 飲み物は、シークワーサーを注文した。柑橘系が好きな私にはピッタリで、すっきりとした飲み味が気に入り、お土産に持って帰りたいなと思った。
 
 
 
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