18 / 33
三章 束の間
3−4
しおりを挟む
『ただいま。今帰ってきたところなんだけど、お土産買ってきたから後で会えるか?』
『おかえり。暇してたところだから大丈夫だよ』
私が旅行から帰ってきた翌日の午後、柊真から帰宅の連絡を貰い、早く会いたいなとスマホをぎゅっと握りしめた。
五日ぶりにあった柊真は少し焼けたように見えた。GW結構楽しめたのかな。
「お待たせ。いつも柊真が先に来てるね」
「まぁ、美月を待たせるのは何かな。これ、お土産な。何がいいか悩んだんだけどさ……」
袋を開けてみると、クッキー缶が入っており、蓋の部分に骨がちょこんと乗っていて可愛かった。
私が好きそうなのを選んでくれてるんだね。
「ありがとう。この蓋の部分が可愛いね。お菓子食べ終わった後も何か入れたりして使えそう」
「美月なら食べた後も缶使いそうだよなって思って、可愛いっぽそうなのを選んだんだよな。気に入ってくれたなら、悩んだかいがあるな」
「柊真は、本当に私のことがよく分かってるね。はい、私からのお土産はこれだよ」
「お、ラーメンじゃん。やっぱ北海道っていったらラーメンだよな! 誰にも分けたくないから、明日の昼にでも作って一人で食べるか」
「ふふっ、もっといっぱい入ってるの買ってくれば良かったね」
「いや、いいって。俺だけ食べれればそれで」
「もー」
久しぶりに柊真に会えただけで、笑顔になれる。
もっと柊真と触れ合いたいな……ぎゅってして欲しいな。
そう思い、また両手を差し出す。
「おまっ、また……」
そう言いながらも、すでに同じようなやり取りをしたからか、すんなりと抱きしめてくれた。
「なぁ、美月」
「ん?」
「少し痩せたか?」
「……んー、どうだろう。体重測ってないから分からないや」
「ちゃんと食べてるのか?」
「食べてるよ。旅行だって北海道だったから沢山食べて来たんだからね」
「そうだよな……」
こんな嘘すぐバレちゃうかな? 夏に向けてダイエットしてるって言えば良かったかもしれないと後になって思った。
家に帰り、リビングに入ると新しい写真が壁に貼られていた。
リビングの壁には日に日に家族写真や私一人だけの写真などが増えていっている。
その写真に写っている自分をみると、徐々に痩せていっているのが見てとれた。
楽しい家族写真のはずなのに、なぜか私の命が徐々に削られていっているのを見ているようで、見ていられず目を逸らした。
部屋に戻り、クッキーを一つ摘むと、缶に何を入れようか悩む。
食べ終わって、空になったら考えようかな……あっ、そうだ。ちょうどいいかもしれない。
缶に入ったお菓子を全て机に出し、空にすると、小さなメモ帳を取り出し一枚びりっと破った。
これに、声に出せない気持ちを書き込んでいってこの缶の中に隠していこう。
ずっと心の中に溜め込んでいるより、書き出した方が少しは気持ちが晴れるかもしれない。
そう思い、一言書き込むと、言えなかった言葉が溢れるように出てきて、また一枚また一枚とメモ帳を破った。
『死にたくない』
『痛い』
『忘れないで』
『誰とも付き合わないで』
『なんで私が……』
『何が悪かったの』
『何のために生まれてきたんだろう……』
紙をグシャリと握り締め缶へと押し込み蓋をする。
すっきりすると思ったのに、感情がぐちゃぐちゃで涙がポタポタと机を染めていく。
苦しい……どうしたらいいの。
みんなの記憶には良い子として残りたいのに、今にも叫び出したくなる衝動を抑えるのが苦しい。
どうして、どうして、どうして……
まだ16歳なのに……
……神様、私は何か悪いことをしたのでしょうか?
『おかえり。暇してたところだから大丈夫だよ』
私が旅行から帰ってきた翌日の午後、柊真から帰宅の連絡を貰い、早く会いたいなとスマホをぎゅっと握りしめた。
五日ぶりにあった柊真は少し焼けたように見えた。GW結構楽しめたのかな。
「お待たせ。いつも柊真が先に来てるね」
「まぁ、美月を待たせるのは何かな。これ、お土産な。何がいいか悩んだんだけどさ……」
袋を開けてみると、クッキー缶が入っており、蓋の部分に骨がちょこんと乗っていて可愛かった。
私が好きそうなのを選んでくれてるんだね。
「ありがとう。この蓋の部分が可愛いね。お菓子食べ終わった後も何か入れたりして使えそう」
「美月なら食べた後も缶使いそうだよなって思って、可愛いっぽそうなのを選んだんだよな。気に入ってくれたなら、悩んだかいがあるな」
「柊真は、本当に私のことがよく分かってるね。はい、私からのお土産はこれだよ」
「お、ラーメンじゃん。やっぱ北海道っていったらラーメンだよな! 誰にも分けたくないから、明日の昼にでも作って一人で食べるか」
「ふふっ、もっといっぱい入ってるの買ってくれば良かったね」
「いや、いいって。俺だけ食べれればそれで」
「もー」
久しぶりに柊真に会えただけで、笑顔になれる。
もっと柊真と触れ合いたいな……ぎゅってして欲しいな。
そう思い、また両手を差し出す。
「おまっ、また……」
そう言いながらも、すでに同じようなやり取りをしたからか、すんなりと抱きしめてくれた。
「なぁ、美月」
「ん?」
「少し痩せたか?」
「……んー、どうだろう。体重測ってないから分からないや」
「ちゃんと食べてるのか?」
「食べてるよ。旅行だって北海道だったから沢山食べて来たんだからね」
「そうだよな……」
こんな嘘すぐバレちゃうかな? 夏に向けてダイエットしてるって言えば良かったかもしれないと後になって思った。
家に帰り、リビングに入ると新しい写真が壁に貼られていた。
リビングの壁には日に日に家族写真や私一人だけの写真などが増えていっている。
その写真に写っている自分をみると、徐々に痩せていっているのが見てとれた。
楽しい家族写真のはずなのに、なぜか私の命が徐々に削られていっているのを見ているようで、見ていられず目を逸らした。
部屋に戻り、クッキーを一つ摘むと、缶に何を入れようか悩む。
食べ終わって、空になったら考えようかな……あっ、そうだ。ちょうどいいかもしれない。
缶に入ったお菓子を全て机に出し、空にすると、小さなメモ帳を取り出し一枚びりっと破った。
これに、声に出せない気持ちを書き込んでいってこの缶の中に隠していこう。
ずっと心の中に溜め込んでいるより、書き出した方が少しは気持ちが晴れるかもしれない。
そう思い、一言書き込むと、言えなかった言葉が溢れるように出てきて、また一枚また一枚とメモ帳を破った。
『死にたくない』
『痛い』
『忘れないで』
『誰とも付き合わないで』
『なんで私が……』
『何が悪かったの』
『何のために生まれてきたんだろう……』
紙をグシャリと握り締め缶へと押し込み蓋をする。
すっきりすると思ったのに、感情がぐちゃぐちゃで涙がポタポタと机を染めていく。
苦しい……どうしたらいいの。
みんなの記憶には良い子として残りたいのに、今にも叫び出したくなる衝動を抑えるのが苦しい。
どうして、どうして、どうして……
まだ16歳なのに……
……神様、私は何か悪いことをしたのでしょうか?
45
あなたにおすすめの小説
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
カモフラージュの恋
湖月もか
恋愛
容姿端麗、文武両道、しかも性格までよし。まるで少女漫画の王子様のような幼馴染な彼。
当たり前だが、彼は今年も囲まれている。
そんな集団を早く終わらないかなと、影から見ている私の話。
※あさぎかな様に素敵な表紙を作成していただきました!
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語
ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ……
リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。
⭐︎2023.4.24完結⭐︎
※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。
→2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる