18 / 46
二章 嫉妬
2−6
しおりを挟む
「あー、ちょっと違うか。今は誰とも付き合う気がないが正しいかな」
「今は?」
「そう。だって俺たち受験生だぞ? 恋愛してる暇ないだろ? だから、今は、誰からの想いも受け入れないし、俺も誰かに想いを伝えるつもりもない」
今は……それなら受験が終わったら……告白を受けるかもしれないと言うこと。
卒業のタイミングで奏くんに告白する子は沢山いると思う。誰にも取られたくない……どうしよう。
「なぁ、俺も勝手なこと言っていいか?」
「ん? なんでもどうぞ」
「茉莉絵も今は受験に集中して、誰とも付き合わないで」
「え……?」
そんなこと言われたら、期待してしまう。
受験が終わったら、奏くんから何か聞けるのかと……
「ダメか?」
「だめ……じゃない。でも、それってまるで奏くんが」
「ストップ。俺がさっきなんて言ったか覚えてるだろ?」
「誰からの想いも受け入れないし、誰かに想いを伝えることもない」
「正解。今は何も言わないよ。俺たちは受験生だからな?」
「うん。私たちは受験生だからね」
「それでも、こうやって息抜きは必要なわけで」
「必要だね」
今はまだ付き合うことはできないけれど、私のことが好きだと伝わってくる。
友達以上恋人未満という微妙な関係だけど、今はそれで十分だと思った。
「浴衣デート楽しみだな?」
「デ、デート……うん、楽しみ」
奏くんの口からデートなんて言葉が出てくると思わなかったからドキドキしてしまう。
これで付き合ってないって言って誰が信じてくれるんだろうというくらいには、彼の視線が甘かった。
さっきまで地獄に突き落とされたような気分だったのに、今はお花畑の中にいるようで、感情の起伏の激しさに思春期だからかなーと漠然と思った。
「もう俺のことで泣くなよ?」
「えっと、それは……」
泣くなと言われて、わかったと言えるほど、私は強くない。
また今回みたいに女の子と遊んだと聞けば、心乱されて涙が溢れてしまうかもしれない。
「茉莉絵以外の女子に興味がないって言ってんの。これでもまだ不安か?」
「えっ⁉︎ いや、え、あの」
これは、想いを伝えた内には入らないの⁉︎
急にデレられて、なんて返せばいいか分からないけど、嬉しい……
あっ、一応これは言っといたほうがいいかな。
奏くんも気にするかもしれないし……
「奏くん……うちの親、二人とも身長が高いんだよね」
「うん?」
「だから、もしかしたら……奏くんの身長超えちゃうかもしれない」
自分より大きい女子は嫌かな……
でも、身長止まらないんだよね……
「はっ、俺だって成長期だっての。自分だけ伸びると思ってんじゃねーよ」
そういうと、奏くんは私のおでこを人差し指で軽く弾いた。
「痛っ」
思わず反射で「痛っ」と言ってしまったけれど、実際は本当に軽くだったから、痛みなんてなかった。
そうだよね。奏くんもまだこれから伸びるよね。私だけじゃないんだよね。
お母さんが言っていたみたいに、奏くんの成長期に期待しようかな。
家に帰ると、ちょうどお兄ちゃんが出かけようと靴を履いているところだった。
「行ってらっしゃい」
一声かけて、靴を脱ごうとしたところで、お兄ちゃんと目が合い、腕を強く掴まれる。
「おいっ! どうしたっ!」
「痛っ、お兄ちゃん落ち着いて」
「例の男か? あいつに泣かされたのか?」
「えっ、違っ、奏くんが悪いわけじゃ……」
どうしよう、お兄ちゃん怒ってる。
奏くんのこと悪く思わないでほしい。私が勝手に勘違いして泣いただけだから……
「ちょっと、何大きな声出してるの?」
「お母さん……」
「あらあら、目が真っ赤ねぇ。お兄ちゃんも茉莉絵ちゃんが心配なのはわかるけど、そんなに大きな声出したら、驚いて何も言えないでしょ?」
「……悪かったな」
そういうと、掴んだ腕を話してくれたが、理由を聞くまでは出かける気もなさそうな雰囲気にどうしたものかと思った。
「ほら、あなたは出かけるところだったんだから、もう行きなさい。茉莉絵ちゃんは、お母さんと女子会しましょうね。ちょうど、ケーキを買ってきたところだったから、お茶入れるわね」
「はぁ、分かったよ。行ってくる。茉莉絵も何かあったら言えよ」
「うん、お兄ちゃんありがとう」
心配してくれてるんだろうなと思いながらも、お兄ちゃんには話しにくいと思っていたので、引いてくれてよかった。
お母さんにも感謝しないと。
もうたくさん泣いて、奏くんの気持ちもしっかりと知ることが出来た。
今はもう大丈夫だって、説明しないとね。
「今は?」
「そう。だって俺たち受験生だぞ? 恋愛してる暇ないだろ? だから、今は、誰からの想いも受け入れないし、俺も誰かに想いを伝えるつもりもない」
今は……それなら受験が終わったら……告白を受けるかもしれないと言うこと。
卒業のタイミングで奏くんに告白する子は沢山いると思う。誰にも取られたくない……どうしよう。
「なぁ、俺も勝手なこと言っていいか?」
「ん? なんでもどうぞ」
「茉莉絵も今は受験に集中して、誰とも付き合わないで」
「え……?」
そんなこと言われたら、期待してしまう。
受験が終わったら、奏くんから何か聞けるのかと……
「ダメか?」
「だめ……じゃない。でも、それってまるで奏くんが」
「ストップ。俺がさっきなんて言ったか覚えてるだろ?」
「誰からの想いも受け入れないし、誰かに想いを伝えることもない」
「正解。今は何も言わないよ。俺たちは受験生だからな?」
「うん。私たちは受験生だからね」
「それでも、こうやって息抜きは必要なわけで」
「必要だね」
今はまだ付き合うことはできないけれど、私のことが好きだと伝わってくる。
友達以上恋人未満という微妙な関係だけど、今はそれで十分だと思った。
「浴衣デート楽しみだな?」
「デ、デート……うん、楽しみ」
奏くんの口からデートなんて言葉が出てくると思わなかったからドキドキしてしまう。
これで付き合ってないって言って誰が信じてくれるんだろうというくらいには、彼の視線が甘かった。
さっきまで地獄に突き落とされたような気分だったのに、今はお花畑の中にいるようで、感情の起伏の激しさに思春期だからかなーと漠然と思った。
「もう俺のことで泣くなよ?」
「えっと、それは……」
泣くなと言われて、わかったと言えるほど、私は強くない。
また今回みたいに女の子と遊んだと聞けば、心乱されて涙が溢れてしまうかもしれない。
「茉莉絵以外の女子に興味がないって言ってんの。これでもまだ不安か?」
「えっ⁉︎ いや、え、あの」
これは、想いを伝えた内には入らないの⁉︎
急にデレられて、なんて返せばいいか分からないけど、嬉しい……
あっ、一応これは言っといたほうがいいかな。
奏くんも気にするかもしれないし……
「奏くん……うちの親、二人とも身長が高いんだよね」
「うん?」
「だから、もしかしたら……奏くんの身長超えちゃうかもしれない」
自分より大きい女子は嫌かな……
でも、身長止まらないんだよね……
「はっ、俺だって成長期だっての。自分だけ伸びると思ってんじゃねーよ」
そういうと、奏くんは私のおでこを人差し指で軽く弾いた。
「痛っ」
思わず反射で「痛っ」と言ってしまったけれど、実際は本当に軽くだったから、痛みなんてなかった。
そうだよね。奏くんもまだこれから伸びるよね。私だけじゃないんだよね。
お母さんが言っていたみたいに、奏くんの成長期に期待しようかな。
家に帰ると、ちょうどお兄ちゃんが出かけようと靴を履いているところだった。
「行ってらっしゃい」
一声かけて、靴を脱ごうとしたところで、お兄ちゃんと目が合い、腕を強く掴まれる。
「おいっ! どうしたっ!」
「痛っ、お兄ちゃん落ち着いて」
「例の男か? あいつに泣かされたのか?」
「えっ、違っ、奏くんが悪いわけじゃ……」
どうしよう、お兄ちゃん怒ってる。
奏くんのこと悪く思わないでほしい。私が勝手に勘違いして泣いただけだから……
「ちょっと、何大きな声出してるの?」
「お母さん……」
「あらあら、目が真っ赤ねぇ。お兄ちゃんも茉莉絵ちゃんが心配なのはわかるけど、そんなに大きな声出したら、驚いて何も言えないでしょ?」
「……悪かったな」
そういうと、掴んだ腕を話してくれたが、理由を聞くまでは出かける気もなさそうな雰囲気にどうしたものかと思った。
「ほら、あなたは出かけるところだったんだから、もう行きなさい。茉莉絵ちゃんは、お母さんと女子会しましょうね。ちょうど、ケーキを買ってきたところだったから、お茶入れるわね」
「はぁ、分かったよ。行ってくる。茉莉絵も何かあったら言えよ」
「うん、お兄ちゃんありがとう」
心配してくれてるんだろうなと思いながらも、お兄ちゃんには話しにくいと思っていたので、引いてくれてよかった。
お母さんにも感謝しないと。
もうたくさん泣いて、奏くんの気持ちもしっかりと知ることが出来た。
今はもう大丈夫だって、説明しないとね。
32
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる