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本編

指南書を読む

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 家に帰り、ベッドの上に座り込み、先程購入した物を広げていく。

 商品を買う所を、クマさんに見られているとは言え、ここで一緒にマジマジと見られるのは、なんとも気恥ずかしい。
 クマさんには、寝室から出て貰って、閨の指南書を読もうかなと考えていると・・・。

 あぁー!!クマさん!絵面が酷いよ!!
 どうしようか考えていると、クマさんが、ディルドを手に持っていた。
 手に持つというよりも、クマさんの大きさ的に、ディルドの方が大きいから、抱きついているみたいで・・・。
 本当に絵面が酷い・・・。

 このディルドは、お店を出る時に、店員のリンさんが、サービスですと言ってくれたものだ。

 「指3本で慣らせる様になったら、こちらを使って慣らしていってくださいね」との言葉と一緒に貰った物だけど・・・。
 大きいよね・・・。
 本当に、これが入る様になるのだろうか。

 「ク、クマさん。ちょっと、それは僕に渡そうか?クマさんには似合わないよ?」

 『話には聞いた事があったけど、実物を見るのは初めてだよ』

 「うん、僕も。これを使うのは、ちょっとまだ心の準備が必要そうかな」

 って、こんな話、クマさんとするのはどうなの!?

 「こほん。クマさん。ちょっと僕1人で勉強しようと思うんだ。だから、リビングで過ごしててくれる?」

 『分かったよ。流石に、クマさんの前で、これらを試すのはどうかと思うしね。クマさんも坊ちゃんのそんな姿はちょっとね』

 「う、うん。僕も流石に見せられないかな」

 『じゃ、坊ちゃん、頑張って』

 「うん、また後でね」

 クマさんが、ドアの隙間から、寝室を出て行くのを見送り、初心者用の指南書を開く。
 
 商品の使う順番から、慣らし方、口淫の仕方や、初めてで挿入出来なかった場合は、脚を使うと良いという事などが、事細かに書かれていた。

 挿入するだけが、全てではないので、お互いが気持ち良くなれる様に、リラックスして挑むのが良いとか。
 ふむふむ。初めは、緊張して体が固くなりがちなので、ゆっくり進めて行くのがいいのか。
 
 それとは、別に、視覚を刺激する為に、色っぽい夜着も効果的なのか。
 僕の夜着は・・・クローゼットの中を見るが、色っぽいとはかけ離れた夜着だ。
 僕の夜着は、使用人達がくれたもので、レースがついていたり、ヒラヒラした感じで、可愛い感じなので、色気とは何?という感じになっている。

 うーん・・・。
 家に帰ってくる前に、夜着も見に行ってくれば良かった。

 もう一度、指南書を読み直すと、ショートパンツで、足を出すのも良いと書いてあり、それなら、僕の夜着は、全てショートパンツだから、当てはまる。

 当てはまるけど・・・?
 足を出すだけで、色気なんて出るの!?
 そんなの、ガイルは毎日見てるから、見飽きてるよね。
 やっぱり、今ある夜着では、ガイルをその気にさせるのは難しい。

 あれ?
 僕、ガイルに気持ちを伝えてから、そういう雰囲気になった時の為に準備していたはず。
 それが・・・今は、自分からガイルをその気にさせて、口付けより先に進もうとしてる!?
 恥ずかしい・・・。

 思わず、指南書に顔を埋めて、身悶える。
 もう、一杯一杯で、周囲の気配に気付かないでいた。

 「イズ・・・?何をして・・・」

 「えっ!?」

 ガイルの声がして、すぐに指南書から顔を上げ、声のした方を向く。
 ガイルの視線は・・・ベッドに広げられた商品へ向いていた。

 「うわぁー!!!これはっ!なんでもない!」

 慌てて、マジックバッグにしまおうとしたところで、ガイルに手を掴まれて、動けなくなる。

 どうして、今日に限って、こんなに早く帰ってきちゃうのー!
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