「溺愛ビギナー」◆幼馴染みで相方。ずっと片想いしてたのに――まさかの溺愛宣言!◆

星井 悠里

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第16話

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 イントロが流れたところ。蒼紫のアップ。
 カッコいいな。ヤバいくらい。強烈にスポットライトを浴びても、全然負けない。輝いてるみたいに見える。オレを、その世界に引き上げてくれてるのは、蒼紫の絶対的なスター性、だと思う。
 オレには無いもんな。それ。

 蒼紫が最初のフレーズ。
 ――声が響くと、ぞく、とする。
 低くて、力強くて――でも歌声に包まれる、ような。

 蒼紫の歌は、好きだ。
 ――ずっと隣で歌っていきたいなと思うくらい。
 オレの番。まあなんとか――いけてるかな。動揺は、声には出てなかったみたい。とりあえず、よかった。

 蒼紫とオレ、一緒に歌うフレーズ。

 ――黒い衣装のジャケット。カッコいいな。王子さまみたい。
 この映像を見て、女の子たち、きっとまたSNS大騒ぎなんだろうな。

 ……この人と、キス、したのか。オレ。
 なんか。嘘みたい。って、隣に居るんだけど。今は蒼紫の方は見れない。
 
 蒼紫とキスしたり。
 好きって、言ってくれたり。

 ……ずっと好きだったって。
 ――ずっとって。

 オレ、蒼紫は女の子が好きなんだと思ってた。
 だけど、さっきの蒼紫は、嘘はついてなかった。

「……涼」

 つん、と手をつつかれて、画面に視線を戻すと。さっきの――。

「……うわ、やば」

 蒼紫が微笑んで、オレが、ちょっと蒼紫を睨んで、蒼紫がまた笑った時。
 なんかばっちり撮られてる……。ひーえーーー。
 カメラマンさん、プロすぎる。なんで撮られてんのこれ……!

「そんな顔しなくても、平気だって」
 蒼紫がクッと笑いだす。

「笑い事じゃないし……ステージで何してんの……」
 はぁぁとため息。

「ああ。見た?」
 うろたえてるオレに、智さんが笑いながら、少しだけ後ろを見た。

「すいません……これ」
「それ、可愛いとか、仲良し、で騒がれてた」
「え゛っ……」
「ね、謎だよね」
「……ほんと、謎ですね。あー、でも、次から気を付けます」
「うん。まあ。多分大丈夫」

 智さんのセリフに、少しだけホッとして、でもため息をついてしまう。
 蒼紫と反対の窓からずっと外を眺めていたら、とんとん、と蒼紫につつかれた。


「寮に帰ったら、時間取れる?」

 静かな声で、そう聞かれて、オレは、うん、と頷いた。


 なんかすごく、気持ちが逸るというのか。
 早く、話したいような。
 ……少し、怖い、ような。

 寮に近付くにつれて、すごく、ドキドキして。
 ただひたすら、窓の外を見つめていた。


 寮の前で智さんと別れて、中に入る。受付で、寮長の斉藤さんに会って、「ただいまかえりました」と挨拶する。「お疲れ様、さっきテレビ見たよ」と言われて、軽く会話をして別れてからは、二人共、無言で廊下を歩く。

「寝る準備終わったら、来て?」
「……うん。シャワー浴びたら、行く」
「待ってる。聞きたいこと、あるだろ、いっぱい」
「……うん」
「明日も早いから、そんなに遅くはならないようにするけど――でも、聞きたいことは、答えるから」
「うん。分かった」


 寮の部屋の前に立つ。蒼紫は、オレの隣、一つ奥の端の部屋だ。
 鍵を開けて、じゃあね、と顔を見ながら、中に入った。





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