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◇出逢い編
◇予想外*浩人
しおりを挟む翌朝。
教室でクラスメートと話しながら、類を待っていたオレは。
類が現れて、机に座ったと同時に、類の前の席に座った。
「おはよ、類」
類は、ふ、とオレを見つめた。
目を逸らされないの、珍しい。
「昨日の、考えてくれた?」
「……」
「迷惑かだけでも、聞ける?」
オレは。
――――……ちょっと、油断していた。
本も読まず。
ちゃんと話を聞いてくれていたし。
最後、どう見ても動揺して、何なら照れてるみたいな感じで、瞬きを繰り返していたし。
ちょっと可愛い顔して、立ち去って行ったし。
オレの迷惑にならないように、絡まない方が良いと言ってくれたり。
類は、オレの事を、嫌いではないだろうと油断、していた。
迷惑とは言われないだろうと、思っていた。
「――――……」
類が、何か言った。
迷惑じゃない、そう言ったんだと、思いながら、もう一度言って?と聞いたら。
「……迷惑。だから、寄らないで」
そう言って。
類は、ふっとオレから目を逸らし、立ち上がると、どこかに行ってしまった。
…………ちーん……。
ちょっと、今入ってきた言葉に、ついていけず。
人の席に座って、その相手が消えたまま、しばし、呆然。
少しして。ぷ、と笑い出してしまった。
「……佐原??」
「……浩人ー??」
類の所に久しぶりに行ったと思ったら、アッという間に類本人は消え、しばらく固まった挙句、笑い出したオレを。クラスメート達は、大丈夫かなと思ったらしい。
遠巻きに名前を呼んでくる。
とりあえず返事はせずに、は、と息を付いた。
――――……はーほんと、全然、思う通りにはいってくれない。
昨日のじゃ、だめか。
……ていうか。オレの事。信じられないんだろうなあ、類。
どうすりゃ信じるんだろ。
嫌われてるとは思わない。
類は、嫌いな奴の話は聞かないだろうし。
絡まない方が良い、なんて言わないだろうし。
でも、きっと、オレの気持ち、信じられないんだ。
じゃあ、どうしたらいいんだろ。
にしても。
すげーな、類。
ほんっと、予想外。
――――……おもしろいなあ、類。
警戒心Maxの。
猫なのか……もうちょっと強敵な、虎とか、かな?
――――……それを、どうにか、警戒心解かせて。信じてもらって。
優しくして可愛がって、ずーっと、オレの側に居て欲しいとか。
正直、自分にこんなに強い気持ちが生まれるなんて、思わなかった。執着とか、無縁だと思ってたのに。
迷惑って言われちゃったしなー。
迷惑じゃないなら、そばに居させてって言ったから、
迷惑って言われたら、居ちゃいけないってことだよなあ。
でも諦めたくはないしな。
――――……考えよ。
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