【ひみつの巣作り】💖書籍化進行中です✨

星井 悠里

文字の大きさ
166 / 231

第166話 ぐるぐる



「オレね、先輩」
「ん?」

 匠が、オレをまっすぐ見ながら、言うことに。

「……先輩って、ほんとなんか、隙だらけ過ぎて、ほんとに元α?とか、すっげー思うんだけど」
「……んん?」

 なんか、失礼なこと、言われてる??
 眉を寄せたまま、聞いていると。

「でも――――」

 じ、と見つめられる。

「神宮司さんの気持ちは、なんかすごく分かります」
「――――……」

 颯の気持ち?
 ……って???

「先輩、もし、神宮司さんと別れたら」
「は?!」

「はい、そこまで」

 オレが匠のとんでもない言葉に目を剥いた瞬間。
 脇から唐突に出てきた手に、匠はオレの前から消えた。

「お前は馬鹿か」

 匠に向かって、そう言ったのは、昴だった。
 ……そういえばさっきから何か言いたげな顔でこっちを見ていたのはなんとなく感じていたような。


「そんなことより、慧」
「そんなことって何ですか!」

 匠が昴にくいついてるけど、昴は完全にガン無視しで、オレを見つめる。

「昨日からちょこちょこ皆が言ってたんだけど」
「うん?」
「颯の指輪。イケメンコンテストまでは取ってた方が有利なんじゃない? って意見があるんだよなぁ」
「え、そうなの?」
「学内の奴には結婚してるのは結構知られてるけど、外から来てる外部からの票入れるやつ。特に今日は売り子して顔を売ってる時は外した方がいいんじゃねえのって。せっかく応援するからには、優勝した颯が見たいってことみたいだけど」
「あー。……あれか、アイドルに彼女居ない方がいいって感じのやつ?」

 オレは自分の左手の薬指を見ながら、そっかぁ……と頷く。

「先輩、そんなのでそんな悲しそうな顔しないでくださいよ」
「なっ。してないし、オレ。別に、しょうがないなって思ってるし。二日間指輪外すくらい別に……」

 匠のムカつくツッコミに、即座に言い返してるところに、颯がやってきた。

「慧」
「うん?」
「なんか今変な話聞いて……指輪外した方が有利なんじゃないかとか」
「あ、うん。オレも今聞いた」

 その方がいいならしょうがないよね、と言おうとした瞬間。

「絶対外さないから、んなこと言う奴が居たら、そう言っといて」
「――――……」

 ぽけ。と、颯を見上げる。

「いいの? でも確かに、外部の票は、結婚なんかしてない方が、はい」

 途中で、颯の手に、ぶにっ、と両頬を潰される。


「つか、そんなの聞いたら、俄然このままで勝つからって、思ったし」
「――――……」

「売り歩くついでに宣伝とか、しなくてもいいと思ってたけど、顔は売りに行ってくるから」
「――――……」

「指輪、つけたままで、な。――――つか、当然」

 颯は自分の左手の薬指を見つめつつ。

「むしろ、結婚してるから応援しようって思わせる感じで行ってくる」

 そんなの、どうやって??? と、思うのだけど。
 目の前の超絶カッコいい人は、ふ、とやる気の笑みを浮かべている。

「――――……」

 あーもうなんか颯は。
 ……ほんとにカッコイイ。

 ていうか。


「しょうがないかなって、思ったんだけど……」

 言いながら、颯の顔をじっと見つめる。


「すっごい、嬉しいかも」

 もうなんか、抑えるのなんか、無理で。
 なんかすっごく笑ってしまった。

「――――……」

 そしたら。なんと。

「――――……」

 顎に手が触れたと思ったら、くい、と引き寄せられて。
 突然。……キス、された。

 触れるだけ、みたいな。キスだったけど。

 周りに居た皆のうち、ちょうどその一瞬、オレ達を見てた人達だけ、ざわついて。その後、見てなかった皆が、何々? とざわついたのだけど、誰も説明しなくって。学祭準備で忙しくてうるさい雰囲気の中、オレ達の周りだけ、しーん、とした。


「――――あとで、一緒に祭り回ろうな?」

 なんだか、とても綺麗に。鮮やかに笑った颯は。
 よしよし、とオレの頭を撫でて。「ちょっと運営に呼ばれてるからいってくる」と、オレを置いて、立ち去って行った。



 なんか頭ンなか、ぐるぐるする……。
 好きすぎて。


 




 
(2024/6/3)
感想 457

あなたにおすすめの小説

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

【本編完結済】巣作り出来ないΩくん

こうらい ゆあ
BL
発情期事故で初恋の人とは番になれた。番になったはずなのに、彼は僕を愛してはくれない。 悲しくて寂しい日々もある日終わりを告げる。 心も体も壊れた僕を助けてくれたのは、『運命の番』だと言う彼で…

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。 完結しました!ありがとうございました。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。