【ひみつの巣作り】💖書籍化進行中です✨

星井 悠里

文字の大きさ
189 / 231

第189話 殿堂入り

しおりを挟む


 話しにきた内容は、今日追加で買い出しに行くかどうか。昨日思ってた以上に売れたから、足りなくなった材料があるかとか、そんな話だったんだけど。

 ……カッコいいなあ。颯。
 頭の端っこに、ずっとそれがある。

 オレと二人でいる時の、甘い甘い感じの話し方とは違うんだけど。
 ほんとカッコいい。

 上司に居て欲しいなあ、なんて思うと、また颯が社長だったら、とかいうあの妄想がよみがえってくる。

「慧のとこは?」
「あ、うん。十一時くらいの時点でどれくらい出てるかで、買い出しに行くか決める。駅前のスーパーで買っちゃうから、大丈夫。昼すぎまではもつようにする」

 まっすぐオレを見つめてる颯に、そう答えると、「分かった」と微笑んで、昴に視線を向ける。

 ――――……運命の番、かぁ。

 まだ良く分かってないらしいもんね。めったにないから、研究もそこまで進んでないって。……なんでそんなものがあるのかも分かんないし。

 でも、お互いだけは、検査しなくても分かるってすごいよな。
 しかもオレなんて、変性しての運命。
 ……颯と番うために変性したのかな。そう想ってしまうくらいに。
 オレは今、颯が好きだと思う。

 目に映るだけで、嬉しいし。
 声が聞こえるだけで、心が、ふわっと浮く。

 オレを見てくれて、優しく笑ってくれたりすると、
 甘い甘い、トキメキが。
 なんか体中を走る、みたいな。

 触れられて、抱き締められると、体中の血が、湧く。
 大好きで。

 カッコいいなあって、思ってしまうのも。
 ……運命とか。関係あるのかな。


「売り切って、さっさと片付けて、後夜祭のイケメンコンテスト、だな」

 孝紀が言うと、颯が苦笑した。

「そっちは気にしなくていいよ。こっち、最後まで楽しんで、終わったらって感じでいいし」
「無理でしょ。だって、慧は絶対最初から見たいだろうし。オレ達も見たい」
 孝紀がオレを見るので、オレは、うんうん、と頷くと、隣で匠が笑った。

「そうですよ。オレは来年出るかもですから、参考に見たいし」
「――今年出ればよかったのにな?」

 颯がニヤ、と笑うと、匠は肩を竦めて見せる。

「オレは、二位じゃなくて、一番になりたいんで」

「――はは。じゃあ、来年、オレが前回優勝者として祝いに行けるように頑張れよ」
「てか、優勝する気満々ですよね……」
「まあ頑張るつもりだから」

 颯と昴の会話に首を傾げて、「何、花束って、どゆこと?」と聞くと。

「今年の優勝者が、来年の優勝者に花束渡すから」
 颯がクスクス笑いながら説明してくれる。

「そうなんだ! あ、じゃあ颯に今年花束渡すのは誰なの?」
「まだオレがもらうか決まってないけど。もしオレが勝ったら、今回は運営の人なんじゃないかな。本当に優勝できたら、今年で殿堂入りするし」
「ふふ~そうなんだ。ていうか、颯が負ける姿が想像できないけど……」
「まあでも――最後のステージで、誰かがなにかすごいことしたら、最終投票で負けるかもだし」
「そっか。まあノリでどうなるか分かんないか……」

 んーそっか、と考えて、でもやっぱり颯が負けるなんて想像できない。この人よりカッコいい人、居ますか?? いえ、居ません。自分の中で、即否定して、オレは颯を見上げた。

「って言っても、やっぱり殿堂入りしてほしいですか?」
 匠がそう聞いてくるので、えー……としばし考えてから。

「うん、まあ。でも、オレの中では、ダントツで殿堂入りしてるからなぁ……もういいかなあ……」

 考えながらぽそ、と呟いた時。「慧くーん! ちょっと相談ー!」と、焼きそば担当の子たちに呼ばれた。

「あ、はーい。颯、もう行って良い?」
「――良いけど。慧」
「ん?」

 振り返って、颯を見上げると、ぽふ、と頭に手を乗せられた。
 なんか、可笑しそうに笑ってる。

「?」

 くしゃ、と撫でられて。

「オレの中でも殿堂入りしてるから」

 くくっと、楽しそうに笑われて言われる。なんだか颯の瞳はキラキラして見える。あ。これ、ちょっと照れるかも……と思ったら、周りで、やれやれ、みたいな反応してる皆に余計に、今更ながらに恥ずかしくなりつつ。


「う、うん。じゃあ、行ってきますー」
「ん」

 なんかオレ、全部のろけてるみたいな、とかさっき言われたけど、こういうことかな……なんて、思った。



 



しおりを挟む
感想 453

あなたにおすすめの小説

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

一軍男子と兄弟になりました

しょうがやき
BL
親の再婚で一軍男子と兄弟になった、平凡男子の話。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

最強βの俺が偽装Ωになったら、フェロモン無効なのに狂犬王子に求愛されました~前世武道家なので物理で分からせます~

水凪しおん
BL
前世は日本の武道家、今世は平民β(ベータ)のルッツ。 「Ωだって強い」ことを証明するため、性別を偽り「Ω」として騎士団へ入団した彼は、その卓越した身体能力と前世の武術で周囲を圧倒する。 しかし、その強さと堂々とした態度が仇となり、最強のα(アルファ)である第一王子・イグニスの目に止まってしまった! 「お前こそ俺の運命の番だ」 βだからフェロモンなんて効かないのに、なぜかイグニスの熱烈な求愛(物理)攻撃を受ける日々に突入!? 勘違いから始まる、武闘派β×最強王子のドタバタ王宮BLファンタジー!

運命よりも先に、愛してしまった

AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。 しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、 2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。 その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

処理中です...