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第一章

25.「なぜ」*俊輔 ※

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 結局毎回、媚薬を使ってる。
 効果も弱いはずだし、常習性や副作用のないものだけれど、それでもそれは、真奈の理性を奪うきっかけにはなる。

「……っ」

 何だか苛ついて、乱暴にバスローブをはぎ取ると、真奈が一瞬目を見開いた。
 性急な愛撫には、まだ怯える。多分最初の頃の記憶が抜けないのだろうと分かってはいて、それも何だか、微妙な思いが胸に渦巻く。

「……待っ……」

 遮ろうとする手をベッドに押さえつけて、首筋にゆっくり、キスをした。

「……じっと、してろ」
「――――……っ……」

 静かに言うと、少しほっとしたみたいに、体から力が抜ける。
 首筋の弱い所を刺激しながら、指で胸の尖りを弄り、感じさせるところから始めていく。

「……っ……ん……ぅ……」
 愛撫を重ねて行くたび、オレの体の下で真奈が震える。

 ……オレを煽るのを知っていて、わざとこんな風に震えるのではないかと思ってしまう。
 仕草が声が、より欲望を煽る。何でこんなに、と、思う位に。

「……ん……ぁ、……っ……」
 追い上げて、けれど、イかせずに、直前で離されて震えてる真奈の中に、ローションとともに指を押し入れる。
 
「……ンんっ……ぅ……」 
 敏感な所ばかり狙ってする愛撫は、真奈から理性を奪う。次第に、素直に泣き声を上げる。

「……あ……もぉ……や……っ……」
 わざと音を立ててそこを弄っていると、真奈はぶる、と震えて、しがみついてくる。
 
「……も、早く……」
 声というよりは、吐息のような、力無い、言葉。

 中途半端よりは、いっそ貫かれて、めちゃくちゃにされた方が良い。
 多分、真奈はそう思っていて。 そして、それを求める。けれど。

「――――……まだ、早ぇよ……」

 慣らさないと、傷を付ける。
 最初は乱暴に抱いたのに。いまはもう痛い思いをさせる気にはなれなかった。

「……ッ……ぁ……」

 指を次第に増やして、異物を押し出そうとひどく絡みつくその力が段々弱まっていくのを確かめて。
 その唇を塞いだ。

「……んん……ぅ…… っ ……」

 キスに意識を集中させて。その隙に、中を慣らす。
 キスの間で悲鳴がこもるが、苦痛の悲鳴じゃないことは、分かっていた。

 指を引き抜いて、かわりにそこに、欲望を押しつけた。

「……んん……ッ……」

 少しずつ、何度か突き上げながら、その全てを中に収めて。
 また、首筋に歯を立てた。

「……ん、ん……っ……あ……!」

 一瞬力を抜いた真奈から引き抜いて、再度突き上げる。

「……あ、ん ……ッ!!」

 肩に触れてる真奈の爪が、突き刺さる。
 何度も抜き差しを繰り返していると、その指先からも力が抜けて。
 ただなすがままに、揺さぶられる。

「んん……っ……ん、ぁ……ッ……」

 突き上げるたびに零れる声と……涙。
 舌で舐め取って、そのまま唇を塞ぐ。
 
 こんなに、何故、抱きたいと思うのか。
 手放したくないと、思うのか。

 ……誰かと深く関わることも。同じ相手と何度も関係を持つことすら、鬱陶しいと、思っていた自分が、何故。

 
 その答えは――――……はっきりとき、出したくは、なくて。
 出したからと言って、何がどう変わるという事がないのも分かっていて。


 ただ真奈の体を抱き締めて、その行為に没頭した。

 

 

 

 
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