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第二章
16.「バスルームで」*真奈 ※
しおりを挟む……うう。助かった、というのか、西条さんにばっちり見られたと嘆くところなのか。なんだかすごく微妙……。
悩みながらとりあえず部屋に戻り、バスタブにお湯を張りながら、服を脱ぐ。
そうしながら、ふと、思い出して動きが止まった。
何か――――……気のせいだった、かなあ……。
さっき俊輔、ちゃんと笑った……???
見間違い、かなぁ……。うーん……。
更に散々悩みながら、シャワーを浴びる。
もしさっきのが見間違いだとしても。あんな風に、たまには、笑ってくれれば良いのにな。そしたら、オレ、少しは普通に話できるかもしんないのに。
そんなことを思いながら、全部洗い終えたところで、不意にドアが開いた。
びっくりして振り返ると、全裸の俊輔が中に入ってくる。
まあ……これで他の奴だったら勿論もっと驚く、けど……。どっちにしたって心臓に、あんまり良くない。
ぐい、と腕を掴まれて、壁に背を押しつけられた。
一瞬冷たくて、ぞく、と体を震わせるけれど、出しっぱなしだったシャワーがすぐにこっちを向いて掛けられた。
「――――……部屋なら、いんだろ?」
さっきの脱出の為の言葉を逆手に取られてそう言われて、言葉に詰まっていると、頬に掛かった手に顔を上げさせられた。
すぐに重なる唇。
「……ん……ッ ……」
自分のくぐもった声がバスルームの中で響くと、かなり恥ずかしくなる。少しして、キスが解かれて、俊輔に言われたのは「反対向いて」という言葉。
戸惑ってると、くるりと体を反転させられて、否応なしに壁に押しつけられる。
「ちょ……っん……!」
後ろから抱き竦められて、当然のように下半身に回ってきた手に、びくん、と震える。ボディシャンプーがついてるらしい俊輔の手は、つるつるしていて、いつもと違う感覚に、あっという間に反応していく自分。
「――――……反応良すぎ……」
笑いを含んだ俊輔の声に、唇を更に噛みしめる。
すると、片方の手がつる、と下から体をなぞって、胸で止まった。
何度も行き来しては、乳首を掠める。勝手に体が跳ねるけれど、俊輔の手は刺激を止めない。捏ねる様に触れられて、ん、と声が漏れた。
壁についた手をぎゅ、と握りしめる。
止めようもなく熱が集まっていくそこを、俊輔の手がやんわりと包む。
……どうせなら。
もっと、ただそれだけが目的みたいに乱暴にやってくれれば。
こんなに色々考えなくて、済むのに。
「……っ……ゥん……っ」
イく、と思ったその時、不意にきつく握り込まれて、無理やり止められる。
「あ、……や……だ……、痛……」
「少し待てよ……」
泡のついた俊輔の指が抵抗もなく、後ろに入り込んできて。
壁についた手をぎゅ、と握りしめた
「……んっ、……ぁ……ッや……」
少しずつ指を増やされて、中を擦られる。
ゾクゾクした感覚はどうにもしようがなくて、響くと分かっていても、声が抑えられない。
「……真奈……」
名を呼ばれたと思ったら、首筋に唇が押し当てられて、きつく吸われた。
「……ぁっ……」
自然と上がった声に、俊輔が少し笑うのが分かる。
前も後ろも、これ以上の刺激に耐えられる気がしなくて、ぶるっ、と首を振ると。
「――――……力、抜いてろ」
少し上擦った、声。
……指が抜かれて、ぞくんとした感覚に体を竦めていると、すぐにそこに、俊輔のが押し当てられる。
「っ……あ……!」
圧迫感がすごくて。思わず息も言葉も飲み込む。
奥まで深く突き入れられた瞬間、止められていた指も解かれて、達してしまう。
「……ん…… っ……ンぁ ……!!」
息を付く間も与えられずに、イッたばかりの、目眩がするみたいな快感の中、後ろから突き上げられる。
唇を噛み締めてもすぐに喘ぎで解かれる。
俊輔の動きがどんどん早くなっていって。
自然とそれにつられて動いてしまっている自分は、そうと認識していても止める事も出来ない。
「――――……あ…… ん、ん……っ」
もう、何だか本当にどうしようもなくて。
浮かんだ涙が、揺すられるたびにぽたぽたと零れ落ちていく。
薬が無くても。
むしろ無い方が、快感が強い。 もう、それは分かってしまった。
「……っ、ん……っ……」
出しっぱなしのシャワーの湯気と熱気に当てられて、クラクラする。ゾクゾクするものすごい快感が、全身を突き上げてくるみたいで壁にすり寄る。腰を掴んでいる俊輔の力が強くなって、終わりが近いのもなんとなく、感じる。
喘ぎすぎて声が掠れる。
「――――……っ……ァあ……!」
快感が強すぎて、本当に、目眩が、する。
ギリギリまで抜かれて――――……一気に奥まで突き上げられた瞬間。
中で俊輔がイッたのが分かって。 その感覚で、再び達した。
「……っう……ンッ……ぁ……」
はぁ、と荒い息が収まらない。
中から俊輔が抜かれて、ぞくりと体が震える。
体を反転させられて、真正面から俊輔と目が合う。
霞む視線の先で、俊輔はオレをじっと見つめていて。
すぐに重なる深い口づけに、オレは瞳を伏せた。
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