「トリプルSの極上アルファと契約結婚、なぜか猫可愛がりされる話」

星井 悠里

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22.朝以来

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 みそ汁だけとりあえず作って、なんかもう、これだけでもいいかなあ……とお椀によそった。テーブルに腰掛けて、少し冷めるのを待ちながら、スマホを開いて、SNSをチェックする。

 表と裏、ふたつ、持ってる。どっちも、びっくりするほどフォロワーが多い。

  中学生でΩと診断されて間もなく、オレは「Ωだった、βが良かったのに」と呟いた。そしたらすごい、反応があった。分かるっていうΩの人たちからの反応が多かった。まあ、誇りをもって生きろ的なのも当時は色々きたけど。

 それでΩの人達がたくさんフォローしてくれた。最初の頃は、Ωあるあるみたいな、そんな話を持ち寄るアカウントだったような気がする。と言っても、オレが判定不能とかそういうのは言ってないし、そこまでオレは色々酷くはないので、オレが悩んでいることを話すというよりは、楽しく話しながらたまに愚痴を言う人が居て、慰め合うような、そんな感じだった。

 高校生で進路を決めた時。医者になってΩの良い薬を安く作りたいって呟いたら、すごく応援してくれる人が多かった。その時も、フォロワーが一気に増えた。
 さらに、医大に決まって、本気で頑張るって投稿したら、ものすごい応援が届いた。Ωが医者になるってやっぱり少ないので、応援が圧倒的だったけど、無理だって意見も届きはした。

 厳しいのは分かってるけど、頑張るって通してたらフォロワーがどんどん増えていき、無理だっていう奴は消えていった。皆、大勢には弱いんだよな。圧倒的にプラスコメントのところで、マイナスコメントは伸びない。

 フォロワー数が増えて、Ω同士のやりとりが、増えてくると、もっと、Ωだけで話したい、ということが次第に増えてきた。だから、鍵垢を作った。表はバース性に関係なくフォローも自由だし、コメントとかも自由。鍵垢の方は、Ωだけにした。繋がってから、Ωの診断書を見せてもらう。ただ、写真とか本名までは見ないから、他人の診断書で入れないことはないけど……まあ、Ωが嘘だったり、荒らすような人は即追放。でも、表で繋がっててより深く、の人が多いから、あんまり変な人は来ない。Ωが困った時に、相談して優しく話し合えるような場所にした。

 フォロワーがフォロワーを勝手に呼ぶ。困ってるΩが多いだろうとは思っていたけれど、本当に多いんだなと実感した。表の垢から繋がってる、頼れる人達が何人も居てくれる。オレが答えられなくても、誰かが答えてくれたりする。もちろん医者レベルの相談は医者をすすめる。

 今のところは、オレは素性は一切明かしてないけど。それでも、SNS上だとしても、結構長く関わっていると。ある種の信用っていうのは蓄積されて行く、と思う。何年も、同じトーンで同じものを目指してるのが、良いのかも。まあ、あとは流れにうまく乗るかってこともあるのかもしれない。オレが呟くタイミングが、その時、皆が求めてるものに合ったのかも。もう一回新しいアカウントを作っても、こんな風には、ならなかったかもしれないけど。

 Ωでショックを受けて始めたアカウントだったけど、Ωたちの実際の悩みや色々を聞けるので、この話をいつかきっと役に立てられる場所に立つ。のが、オレの夢。

 医者になって、目の前の人を助けることもしたいけど、でも、Ωに関しては、通院してくる一日わずかな人よりも、良い薬があるほうが、絶対に、助けられる人が多い。


 やりとりに目を通して、少しだけコメント――……と思った時。


 ぽん、とスマホが音を立てた。『起きてる?』と瑛士さんだった。

「起きてますよ」
『ちょっとだけ、そっちに行ってもいい? 京也さんと拓真と一緒に』

 ――何だろ。「どうぞ」と入れたら『すぐ行く』と入ってきた。

 みそ汁をキッチンの方に戻して、玄関の方に向かうと、もう鍵が開いてドアが開き、「凛太―」と瑛士さんの声。玄関に歩きながら、三人の姿。

「こんばんは」

 今日はもう会えないかなと思っていたので、なんだか笑顔になってる自分に気づく。
 楠さんはいつも迎えに来るから会うけど、有村さんはあの日お店で会った以来。

 スリッパを出したところで、一足先に靴を脱いだ瑛士さんに、肩を抱かれる。

「凛太、元気?」
「元気ですよ」

 朝は会ったけど。と思いながら、ふふ、と笑って頷いた。





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