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26.好き。
しおりを挟む「大丈夫ですよ。実際結婚したってスピード離婚する人達も居ますし。三年続くなら、疑われたりもしないだろうし、言わなければいいだけですし。それに、思うんですけど……」
「ん?」
「結婚って、一緒にいたいからっていうだけじゃなくて――色んな理由があってするじゃないですか。家同士の見合いとか、お金の為とか、αやΩと結婚したいだけ、とか。色々」
「――ん」
「色んな理由がある中で、瑛士さんとオレは、自分が頑張りたいものの為に協力するって感じなので、前向きな理由だと思うし――それに、オレ、瑛士さんとは会ったばかりですけど、瑛士さんのこと、好きです」
「――――」
自然と漏れた言葉に、前の二人が、お、と言う顔で眉をあげて。瑛士さんは、え、と目を大きくしたので、急に焦って、言いなおす。
「あ、なんか、あの……変な意味じゃなくて、家族? みたいな。ほっとするし……知らないことの方が断然多いと思いますけど、知ってる部分は、ちゃんと好きもあるってこと、なんですけど……別にそんな、罪悪感とか感じるような気持ちではないので、そこは心配しないでほしいなって……」
言い終えた瞬間。
隣に居た瑛士さんが急に近づいたと思ったら、ぎゅうっと抱き締められてしまった。
「え」
「――――何なのかなあ。君」
「……?」
「ほんと、可愛い」
頬に触れられてつままれながら、目の前で、瑛士さんが、微笑む。
瞬きが増えて、硬直していると。
「お前、それはやめろ」
冷たい声で有村さんが鋭く言った。
「――だって、何なの、この子。マジで可愛いんだけど」
「可愛いのは分かったが、やめろ。触んな、トリプルS」
「――」
む、と眉を寄せて、瑛士さんが、オレから手を離す。離すまぎわ、ぽんぽん、と頭を撫でて離れていった。
「――凛太くん」
ため息をつきながら、有村さんがオレを見つめた。もう一枚、新たに紙を渡される。
「契約結婚に関する書類の原案。こっちはもちろん極秘で。こいつが口約束で色々言ったのは聞いてここまでは作ったんだけど……あとで読んでおいて? 凛太くんから、入れといてほしいってことがあったら、言ってほしい。一番ん下に、メアドと電話番号、書いてあるから」
「分かりました」
頷くと、有村さんは、チラッと瑛士さんを見て、またオレに視線を戻した。
「接触禁止っていうのも、入れておこうか?」
「――」
オレは、ふ、と隣の瑛士さんを見上げた。面白く無さそうな顔をして、有村さんを見てた瑛士さんが、ふと、オレを見て「ごめん、嫌だった?」と首を傾げた。
「いえ……びっくりしましたけど」
「ごめんね、なんか、すっごい可愛く思えて。弟とか居たら、こんな感じだったのかなあって」
「お前は弟のつもりでも、意図しないお前のαのフェロモンがΩにはきつかったりするだろ」
有村さんがそう言うので、オレは、すぐに。
「でも、瑛士さんのフェロモンは、オレ、感じないので……大丈夫ですよ?」
そう言うと、有村さんは「――そうは言っても……」と言いながら、口を閉ざした。楠さんが笑い出して「仲良しなのは良いけど、契約、ちゃんとしておきましょうね」と言ったので、はい、と頷いた。
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