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25.罪悪感?
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有村さんから出されたのは、婚姻届や住所変更届とか、諸々。
楠さんが並べたのは、これから結婚式までの色々な予定。順番にこれをしていく、みたいなリストだった。
「とりあえず、凛太くん」
「はい」
有村さんが書類をオレの目の前に滑らせる。
「これは、週末位までに、書いてくれる?」
「はい」
頷くと隣で瑛士さんが「オレと一緒に書こうね」と笑う。
「あ、はい」
「週末、いつが空いてる?」
「土日は学校がないので――今までは日雇いとか時間雇いのバイト入れてたんですけど、瑛士さんのおかげで家で勉強できるので、ちょっと散歩に出るくらいで、あとはずっと勉強してると思います。なので、」
「分かった。じゃあオレが空いた時、連絡するね」
「お願いします」
書類の書くところをざっと見ていると、今度は楠さんがオレを見つめた。
「結婚式とか披露宴は、普通にすることになります。瑛士さんの立場だとやらないとおかしいから。大丈夫?」
「――あ、はい」
「凛太くんが式に呼びたい人は、居ますか?」
「――……そう、ですね。普通結婚式って、家族とか親戚とか、ですよね?」
「そうだね、家族親戚、友達、上司同僚、ってとこかな。凛太くんは学生だから……お世話になってる教授とかかな」
「――母の方の親戚は居ないので……父は、呼びたくはないです。そもそも愛人の子の式には来ないかなと思うんですけど……」
「けど?」
瑛士さんがオレを見て、次の言葉を待ってる。
「けど……瑛士さんが相手だと……来るかもしれません」
「なるほど――じゃとりあえず、お父さん以外に、呼びたい人はいますか?」
「一番お世話になってる教授たち、二人いるんですけど、呼ぶものでしょうか? 変わってるので来なさそうな……あと、友達一人、来るかちょっと分かりません。こっちも変わってるので」
「変わってる人が仲良しなんですね」
クスクス笑う楠さんは、ふ、と瑛士さんを見る。
「何、京也さん」
「いや。なんでもないですよ」
ふふ、と笑った楠さんは、オレをまっすぐ見て、また微笑んだ。
「凛太くんがなんだか、フラットな子だからですかねぇ。変わった人に好かれるのは」
なんだか楽しそうにクスクス笑う楠さん。フラット? ――あんま感情が動かないってことかな。まあ確かに。なかなか表に出ないかも。楠さんは、瑛士さんをお迎えに来る時に話すくらいなのに、特徴はバレてるみたい……。そう思いながら、オレは「変わってるとか言ってると怒られるかも」と苦笑しながら続けた。
「すみません、その友達にはもう契約結婚っていうのは話してあるので、もしかしたら面白がって来たいっていうかもです。その友達以外には話しません。同学年の友達は呼ばないでいいです。教授たちには、もし本当に結婚するって考えると、聞くだろうと思うので……声だけ掛けてみますね」
うん。他は別に結婚式は誘わなくていいよな。ていうか、オレがΩってことも、今回初めて知る人達だし。
そう思うと、あんまり……というか、全然居ないのかも。
「凛太」
「はい?」
「んーと……なんというか」
「はい」
「――罪悪感みたいなのとか、ない? 大丈夫?」
そんな風に聞かれて瑛士さんに視線を向けると、瑛士さんはちょっと困ったような顔をしていた。
「罪悪感、ですか?」
「うん。――結婚式に呼びたいような人たちに、嘘つくみたいになるでしょ。……って、オレから頼んで、なんなんだけど」
「罪悪感……」
うーん。どうだろ。
オレは、手を口元にあてて、しばし、考えてみる。
「いえ。無いです。そもそも教授たちには、三年後、離婚しちゃいました、て報告すれば、あっ、そうなんだ、て軽く言いそうな感じの人たちですし。友達は知ってるし。それに、思うんですけど」
オレは、瑛士さんの、心配そうな紫色の瞳を、まっすぐ見つめた。
楠さんが並べたのは、これから結婚式までの色々な予定。順番にこれをしていく、みたいなリストだった。
「とりあえず、凛太くん」
「はい」
有村さんが書類をオレの目の前に滑らせる。
「これは、週末位までに、書いてくれる?」
「はい」
頷くと隣で瑛士さんが「オレと一緒に書こうね」と笑う。
「あ、はい」
「週末、いつが空いてる?」
「土日は学校がないので――今までは日雇いとか時間雇いのバイト入れてたんですけど、瑛士さんのおかげで家で勉強できるので、ちょっと散歩に出るくらいで、あとはずっと勉強してると思います。なので、」
「分かった。じゃあオレが空いた時、連絡するね」
「お願いします」
書類の書くところをざっと見ていると、今度は楠さんがオレを見つめた。
「結婚式とか披露宴は、普通にすることになります。瑛士さんの立場だとやらないとおかしいから。大丈夫?」
「――あ、はい」
「凛太くんが式に呼びたい人は、居ますか?」
「――……そう、ですね。普通結婚式って、家族とか親戚とか、ですよね?」
「そうだね、家族親戚、友達、上司同僚、ってとこかな。凛太くんは学生だから……お世話になってる教授とかかな」
「――母の方の親戚は居ないので……父は、呼びたくはないです。そもそも愛人の子の式には来ないかなと思うんですけど……」
「けど?」
瑛士さんがオレを見て、次の言葉を待ってる。
「けど……瑛士さんが相手だと……来るかもしれません」
「なるほど――じゃとりあえず、お父さん以外に、呼びたい人はいますか?」
「一番お世話になってる教授たち、二人いるんですけど、呼ぶものでしょうか? 変わってるので来なさそうな……あと、友達一人、来るかちょっと分かりません。こっちも変わってるので」
「変わってる人が仲良しなんですね」
クスクス笑う楠さんは、ふ、と瑛士さんを見る。
「何、京也さん」
「いや。なんでもないですよ」
ふふ、と笑った楠さんは、オレをまっすぐ見て、また微笑んだ。
「凛太くんがなんだか、フラットな子だからですかねぇ。変わった人に好かれるのは」
なんだか楽しそうにクスクス笑う楠さん。フラット? ――あんま感情が動かないってことかな。まあ確かに。なかなか表に出ないかも。楠さんは、瑛士さんをお迎えに来る時に話すくらいなのに、特徴はバレてるみたい……。そう思いながら、オレは「変わってるとか言ってると怒られるかも」と苦笑しながら続けた。
「すみません、その友達にはもう契約結婚っていうのは話してあるので、もしかしたら面白がって来たいっていうかもです。その友達以外には話しません。同学年の友達は呼ばないでいいです。教授たちには、もし本当に結婚するって考えると、聞くだろうと思うので……声だけ掛けてみますね」
うん。他は別に結婚式は誘わなくていいよな。ていうか、オレがΩってことも、今回初めて知る人達だし。
そう思うと、あんまり……というか、全然居ないのかも。
「凛太」
「はい?」
「んーと……なんというか」
「はい」
「――罪悪感みたいなのとか、ない? 大丈夫?」
そんな風に聞かれて瑛士さんに視線を向けると、瑛士さんはちょっと困ったような顔をしていた。
「罪悪感、ですか?」
「うん。――結婚式に呼びたいような人たちに、嘘つくみたいになるでしょ。……って、オレから頼んで、なんなんだけど」
「罪悪感……」
うーん。どうだろ。
オレは、手を口元にあてて、しばし、考えてみる。
「いえ。無いです。そもそも教授たちには、三年後、離婚しちゃいました、て報告すれば、あっ、そうなんだ、て軽く言いそうな感じの人たちですし。友達は知ってるし。それに、思うんですけど」
オレは、瑛士さんの、心配そうな紫色の瞳を、まっすぐ見つめた。
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