【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇2人の関係

「惹かれる」*優月

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 どんどん、快感が高まって。
 気持ちよすぎて、おかしくなりそうで。
 溢れて落ちてくる涙を止める事も出来なかった。

 玲央のしてくれる事は全部、気持ちよくて。
 最後、一緒に握らされて――――……。

 ……何回目、だったろう、イったの。
 もう、瞼が、重すぎて。
 体、力、入らなくて。

 そしたら、ゆっくり、キスされて――――……。
 眠って、しまった。


 
 翌朝、ふ、と目を開けたら。裸の胸が目の前で。びっくりして退いたら、何かが肩の後ろにあって動けなくて。精一杯動ける範囲で見上げたら、目の前に、玲央が居た。

 一瞬で胸がドキン、と弾んで。昨夜の事、全部一気に思い出した。
 と、同時に。

 裸の胸が、玲央だった事に、何だかすごくホッとして。

「あ……れお……おはよ」

 とりあえず、挨拶したら。目の前の超イケメンが。ふ、と笑んだ。


「…なんで、ホッとすんの」

「……一瞬何だか分かんなくてびっくりして……玲央だったから、良かった、と思って」

 言ったら、何を思ってるんだか、じっと、見つめられる。

 わー……。
 朝いちでも……ほんと、カッコいい人だなあ。

 オレ、この人と昨日……なんて事してたんだろう……。
 
 
「6時だけど……起きるか?」
「……ん」

 朝の6時から……全部、声までほんと全部、イケメンな……。
 こんな人、現実にいるんだなあ……なんて思って、起き上がって。

 ほとんどはだけた全裸みたいな状態で寝てしまったから、焦って自分に触れたら。ちゃんとバスローブ、着せられてて。

 あ。着せてくれたんだ……。
 思った瞬間、玲央が少し笑った気がした。


「……優月、昨日の事、覚えてる?」
「え」
「寝る前の事も全部、覚えてる?」
「……うん」

 聞かれてしまうと余計に思い出してしまい、かあっと赤くなってしまう。


「あの……玲央?」
「ん?」
「――――……あれって……途中、だよね?」
「まあ……最後まではしてねえけど」

 そう言われて。
 絶対そうだとは、思っていたんだけど。
 やっぱりそうだったんだよね……どうしよう。

 玲央にばかり色々させて、気持良い事だけしてもらっちゃって、結局、オレは何もしないで、しかも最後まで、しないで……ぐーぐー寝ちゃって、バスローブとか着せてもらって、泊めてもらって……。

 何やってんだろ、オレ―――……。

 泣きながら脱走してしまいたい位。恥ずかしい。


「どした?」

 なんて、玲央は聞いてくるけれど。
 どしたなんて……どしたなんて…………どしたも何も……。

「オレ、寝ちゃった、てことだよね?」

 ほんとどうしたら……そう思って、言ったら。


「……そーだなぁ……。これからって時になぁ……?」

 玲央のゆっくりした口調が、余計に罪悪感をいっぱいにしてくる。


 ……ほんとにほんとに、ごめんなさい。
 一体どーしたらいいのかな、何したら許して……。 
 

 ……あ。


「ご、ごめんなさい。……あの、今からでも――――……」
「――――……今から?」

 咄嗟に言ったけど、聞き返されると、朝からオレは何言ってるんだと、恥ずかしさの極致。 真っ赤になったまま、でも、頷いて。でも恥ずかし過ぎて、俯いていたら、玲央が笑った気配。

「嘘だよ」

 優しい声がして、髪をくしゃくしゃに撫でられる。
 見上げると。玲央が楽しそうに笑ってる。

「玲央……?」

 なんでそんな笑顔……?

「もう昨日はあそこまでにしようと思っただけ。最後、オレも一緒にイっただろ?優月が寝ちゃったってよりは、オレが寝かせてやったんだし」
「……ほんとに?」
「ほんと。だから、今からとか言わなくて良いって」

 優しい笑顔と、言葉に、少しだけ、ほっとする。


 ……でも。
 でも。最後までしないでくれたのは、きっとオレが、もういっぱいいっぱいになっちゃってたから、だよね。

 正直、あの時点でもうオレ、頭も体も、全部、限界だった気がする。
 玲央がそれ、気付いてくれて、仕方なく寝かせてくれた、んだよね……。


「……でも最後までしなかったの、オレのせいでしょ?」

 そう聞いたら。
 玲央は少し考えたあと。

「――――……せい、とかじゃねーよ」

 そうは言ってくれるけど。でも……。

 そう思って、応えられないでいると。


「……もっとゆっくり慣らしたかっただけ」
「――――……」


 玲央がニヤ、と笑って言った言葉の意味を少し考えただけで。
 一気に顔に熱が集まった。


「……っゆっくりって、何……?」


 恥ずかしいのに、思わず、聞いてしまったら。


「昨日、キスとか乳首が気持ちいいのは、分かったろ? オレにイかされるのも、少しは慣れたろ?」
「……っ……」

 もっと恥ずかしくなるような答えが返ってきてしまった。

 うう。聞くんじゃなかった……。
 すごく後悔してるのに。


「オレ、もっと、お前の気持ち良いとこ、ゆっくり探したいし」

 そんな事言う玲央に、耳に息を吹きかけられて。

「っっ!」


 自分が大げさなほどに震えたことに驚いて、まだゾクゾクが残る耳を押さえて後ずさった。


「――――……耳も、すげー弱いよな……」

 何でそんなに楽しそうに笑っちゃうんだろう。


 笑ってる玲央はカッコいいし。
 ……そんなカッコいい人の前で、何オレ、超笑われるような反応ばっかりしてるんだろう。 うぅ。もうだめだ。


 笑いを収めた玲央が不意に立ち上がった。ズボンしかはいて無くて、上半身裸。昨日も見たけど――――……朝日の中で見ると、なんか余計に綺麗に見えて、まっすぐ見ていられなくて、視線を外した。

 その後も、服を貸してくれるし。朝食を取ってくれる間に、シャワーを浴びておいでと言われて。何だかもう、いたたまれなくなる位、優しくて。


 なんだか本当に、申し訳なくなってきて。


「ごめんね、オレ、寝ちゃった上に、泊めてもらって……」

 そう言ったら。


「……だから違うって。寝かせてやったし、泊まらせたんだよ」

 玲央は、すぐにそんな風に否定してくれた。


「する気ならできたし、寝かせないで帰らせる事だって、出来たっての」
「――――……」

 ――――……なんか。
 本当に。優しくて優しくて――――……。


 しばらく、玲央を、見つめてしまう。
 すごく心の中、暖かくなってしまって。
 ふ、と笑ってしまった。


「やっぱり、玲央、優しいね。……ありがと」

 会ってから、ずっと。本当に、優しくて。
 優しすぎて――――……何だか困る位なんだけど……。


 そんな事を思った時に、ふと気づく。
 玲央、何もしゃべらない。


「――――……玲央?」


 玲央を見上げると、優しい仕草で頭を撫でられて。そのまま背中を軽く押された。

「……シャワー浴びてきな」
「うん」

「バスタオル、脱衣所の鏡の上に入ってるし、お前のズボンは乾燥機で乾いてるから」
「ん。ありがと」

 玲央から離れて、バスルームに向かう。

 熱いシャワーを浴びて。
 頭がすっきりするにつれて。


 昨日から今までの事、全部、思い起こしてしまう。


 ――――……なんか……オレ。
 ほんとに、玲央の事、好きになっちゃいそうで、ヤバい。

 ……ていうか、ほとんど好きかな、これ。
 …………ていうか、最初から、だ、オレ。


 玲央と一緒に居たいって。
 そばに居れるなら、寝てもいい、とか。

 ……好きじゃなきゃ、オレは、そんな事、思わないし……。

 玲央に会うまで、男となんて、想像すらした事無かったのに。
 変わり果ててしまった、自分の思考に、我ながら驚く。


 驚くけど、でも。
 オレに触れてくれる、玲央は。

 もうあんなの、惹かれるしかないって気がしてしまう。




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