【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇2人の関係

「幼馴染」1/2*優月

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 食事を買ってきて、席に座ると同時に美咲が話し始めた。

「ていうかね、優月」
「うん」

「……あたしは反対だからね。昨日は行った方が納得すると思ったし、優月が決める事だとも思ったけど……そんな関係は、反対」
「……うん」

「あ、オレはちょっと保留。考え中な?」
「ん」

 智也はご飯を食べながら、美咲の言う事を聞く事にしたらしい。

「優月は、それでも良いって言ってるけど、そんなの良いなんてほんとに思えるの? 自分の好きな人が、他の人と会ってるとか、良いの?」

「……んーー……嫌かもしれないけど……んー……でも、それをやだって言ったら、玲央とは居られないから……オレは、玲央と居たいな……」

 ……うーん……。

 食べてはいるけど、美味しさが分からない位、考える。
 何ていったら、美咲が分かってくれるのか、分からない……。


「……玲央に会う前のオレなら、美咲と同じ事言ったと思うから、すっごく言いたい事、分かるんだけど……」

 ……分かるんだけどさ。

 でも、だって。
 今のオレは。

 ――――……玲央が良いなら。
 玲央に会いたいし、側に居たいし……。


 そっちの方が、優先で……。

 そこまで聞いてた智也が、ふ、とオレを見て。

「なー優月。……神月はさ」
「うん……」

「優月に、優しいの?」
「……うん。めちゃくちゃ、優しい」
「……恋人になれなくても良いの?」

「う、ん……良いっていうか……なれるなら、なりたいけど――――……でもなんか、オレが玲央の恋人って……現実的じゃない気がして……」

「ん?どういう意味?」

「……あんなカッコよくて、モテそうな、なんでも持ってそうな人と、オレが恋人になるとかって、おかしくない??」

 言った瞬間。あ、しまったと、思う位。

 2人が、目に見えて、落ち込んだ。
 漫画に描くなら、2人の上に、「ちーん」て文字をあてはめたい位の、目に見えて沈んだ感じに、なんだか、少しおかしくなってしまった。

「ごめん……だってさ……」

 ほんとにそう思っちゃうんだから、しょうがない。

「なんかさ、ほんとにそう思ってて。オレが玲央の恋人なんて、おかしいと思うし。……でも、オレ、今は、玲央に会えるなら会いたいし……」

 ……キスしたり、触れたり――――……したいし、してほしい。

 玲央を思うだけで、 胸が、ドキドキして、弾む。

 ――――……恋人じゃないと嫌だ、なんて言って、
 玲央と会えなくなるなんて。

 その方が、本当に、嫌だし。


「――――……オレさ。別に、なげやりになってる訳じゃないよ?」

 2人はふ、とまっすぐオレを見つめた。


「――――…何か、こんなに一緒に居たいなと思ったの初めて、でさ。でも、オレも玲央も男だし……玲央はそういう相手がいっぱい居る人、なんだろうけど……。オレにとっての玲央を、オレが好きなら……それで良いかなと思えちゃう位……なんか……今、好きなのかも……」

 最後の方、すごくちっちゃくなっていく声の理由は。
 美咲の眉が寄っていくから。

 ……うわーん、美咲、ごめんなさいー……。
 心の中で謝りながら、一応最後まで伝えると。

 美咲は、むぅ、と口を閉ざしてから。
 ため息交じりに。

「……あたし達さ、高校はそんなにべったりじゃなかったじゃない。たまに会ったり遊んだりする位で。だから優月がどーして誰とも付き合ってきてないのかとか、よく分かんないけど……どうせ中学ん時みたいに、仲良くなり過ぎちゃって、良い人で終わっちゃったのなーとも、思ってる訳」

 うん。まあ……理由がそれだけじゃないかもしれないけど、まあ、そういうとこも、多分にあるとは思う……。見てきたみたいに、美咲、言うなぁ……。


「――――…でも、優月を好きになる子は、絶対居ると思う。正直、あいつに優月がふさわしくないんじゃなくて、あいつに優月はもったいない、からね」
「――――…」

 美咲って。
 ……幼馴染バカ、だよなー。ほんと。
 ――――……嬉しいけど。でも。

 客観的に見て、玲央がオレを選ぶ理由なんて、無い気がするんだよね……。


「……優月を、あいつの毒牙にかけるなんて……」

 ――――……ど。毒牙、って……。

 男のオレが、その言葉を使われる日が来るなんて思わなかった。


「っもう、なんで優月、笑ってんのよ」 
「え、だって……美咲……」

「それは笑っちゃうかも……」

 智也もちょっと笑っちゃってる。


「……はー。もう、優月、ほんとにほんとにほんとに、いいの?」


「ん……ありがと、心配、してくれて」


 ふ、と笑って、美咲と智也を順番に、目を合わせた。


「……でもオレ、そうなって、それで……どこかで玲央がもう終わりにしようって言っても…会えてた時の事、後悔しない気がするんだよね……」


 言うと。
 智也は、苦笑いとともに、オレの頭をぐり、と撫でた。

「――――……オレはもう優月に任せる。まあ昨日行きたがってた時点で、優月の意志はほぼ決まってたし」

 それを聞いた美咲は、深いため息。

「――――……優月って、決めたらもう、迷わないよね……はー、厄介」

 ぱくぱくぱくぱくと、めっちゃ続けて食べて、ごちそうさま、と言ってから。美咲は。

「悩んだら言うのよ? あと泣かされたら絶対言って、乗り込むから」

 美咲の言葉に、オレはぷ、と笑って。 
 同じく苦笑いの智也と、顔を見合わせた。

「……ありがと」
「ていうか、あたしは絶対反対だからね、覚えといてね、賛成はしてないからね」

「うん。分かった」

 頷くと。やっと、美咲も、少し、笑ってくれた。



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