【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇2人の関係

「笑い方」*優月

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「かゆいとこある?」
「……お店みたい」

 ふ、と笑うと、玲央も笑ってる気配。

「ないよ。気持ちいい」

 言うと、またしばらく優しい手つきで洗われて、シャワーで泡が流される。
 目を開けると、ふ、と笑う玲央。

「今度、玲央、そっちむいて座って?」
「ん? 何で?」
「オレが玲央の頭洗うから」
「じゃなくて、なんでむこう向くんだよ? こっちで良いじゃんか」
「…………」

 だって、玲央がこっち向いて座ってて、オレが立って玲央の頭洗ってたら、玲央の目の前にちょうど腰の位置……。

「……それは無理」

 言うと、ぷ、と笑って。玲央が体を動かして、バスタブ側に足を向けてくれた。


「これでいい?」
「うん」

 立ち上がって、玲央の頭にシャワーを掛ける。シャンプーを付けて、玲央がやってくれたみたいに、優しく頭、洗っていると。
 玲央が、ふ、と笑った。


「ん?」
「――――……お前と会ってからまだ、5日目か……」
「……うん?」

 そうだ。金曜に会って、土日月火。


 ――――……なんか。不思議。

 なんで男と、バスルームで、色んな事して、
 髪、洗いあったりしてるんだろ。

 先週の木曜までのオレに、今の状況を話す事が出来たら。
 ……絶対、信じないだろうなー……。

 玲央の言った5日目っていう言葉に、どんな意味が有るのかは良く分からないまま、玲央の髪を洗い続ける。

「――――……かゆい所ありますかー?」
「はは。無いよ」
「はーい。じゃあ流しまーす」


 少し頭を下げてもらって、泡を流す。
 流し終えると、玲央が濡れた髪を掻き上げた。

 うわー……。――――……カッコいいな。ほんとに。
 もう、作りとして、本当に、綺麗。
 思わず見惚れていると。


 ふ、と顔を上げた玲央と、目が合った。
 ドキン。と、胸が弾む。

 と思ったら、ぐい、と引き寄せられて。
 抱き込まれて、唇が重なった。


「……っ……ん……っ……?」


 超至近距離で、見つめられたままの、キス。


「……ふ……っ……ン……」

 ――――……カッコいい、なぁ……ほんと。

 何でオレ、この人と、キス、してるんだろ……。
 ……何回――――……キスしたかなあ。


 その内見つめる余裕が無くなって、瞳を伏せてキスを受けながら、そんな風に思う。


「……優月」

 長いキスが離れて。
 名を呼ばれて、瞳を開くと。

 ふ、と笑まれる。


「ほんと――――……すぐトロンとすんのな……」

 クスクス笑いながら、頬を指でなぞられる。

 むぎゅ、と抱き締められて。
 
 なんかもう…… 。
 胸の中のどよめきが、おさまらない。


「――――……出る?」
「……ん」
 
 ざっとシャワーをかけられる。先に出た玲央に、バスタオルで包まれる。


 ……なんか――――……。
 ……ぽーとしちゃう、なー……。


 ……キス――――……。

 ……玲央、ほんと、キス、好きだなあ……。


 オレも、玲央のキス、大好き。


 バスローブを肩にかけられて。 腕を通した。
 ドライヤーのコンセントをさして、玲央がまた、ドライヤーをかけてくれる。


 至れり尽くせり。
 ……何だか、そんな言葉が頭に浮かんでくる。


 ふふ、と笑ってしまうと、玲央が、ん?と見つめてくる。


「優しすぎ、玲央……」
「――――……」


 ふ、と笑って。
 玲央が、ちゅ、と頬にキスしてくる。


「――――……つーかさ……」
「……うん?」



「……お前が、可愛いからだし」


 乾いた髪を、くしゃくしゃに撫でられながら。
 真正面から、見つめられて言われると、ぼっと、顔に熱が走る。


 ぷ、と笑う玲央に。


「っ……か、らかって……っ」
「からかってないし」

「うそだ、また笑ってるし……っっ」
「だから、可愛いからだって」

 クスクス笑う玲央が自分の髪にドライヤーを当て始める。

 むー、と、息をついてから。
 玲央の手から、ドライヤーを奪い取る。


「オレがやる」
「――――……ああ」


 クスクス笑う玲央。
 
 綺麗な、髪の毛。
 背、高くて――――……。 
 ドライヤーが自然と上向きになる。


 バスローブ一枚でも、
 着飾ってなくても、
 こんなにカッコいいって。
 ――――……すごいなあ……。

 どーなってんだろ。


 玲央が少し俯いて目を伏せてくれているのをいいことに、その顔の作りをじっと観察しながら、髪を乾かす。


 うん。瞳つむってても。ほんと、カッコいい。バランスが完璧なんだなあ。んー……玲央の絵、描きたいなあ。

 でも、別にオレ、カッコいいから玲央を好きになった訳じゃ無いよな……。
 好きだから、カッコ良すぎてドキドキするだけだし。
 ……カッコいいってだけなら、蒼くんがずっと近くにいたしな……。
 そもそもオレの恋愛対象は女の子だったはずだし……。


 ちょうど髪が乾いた頃、ぱち、と玲央が瞳を開けた。
 真正面で、見つめあって。

 ふ、と緩む瞳と、優しく頬にかかる手に、ドキ、と胸が痛い。


「見過ぎ…」


 あ。

 この、笑い方。
 
 優しく緩む、この笑い方、
 すごく、好きなのかも。



 重なってくる、キスも、優しくて。
 される度に、好きになってく、のかも。


 



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