【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇気持ち

「嫌いじゃない?」*玲央

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 ベンチで隣に座って、ほわほわ笑ってる優月を見ていたら。
 触りたくてたまらなくなって、人が来なそうな校舎の奥のトイレに連れ込んでしまった。

 鍵を掛けて2人きりになって、すぐキスしていいか聞いた。赤くなって頷く優月に、1秒でも早くキスしたくてたまらなくて、抱き寄せる。

 感情の高ぶりが、半端なくて、やばい。


「――――……っ」

 深くキスするとすぐ、眉が下がって、涙目になって、頬が赤く染まる。
 しがみつくみたいに触れてくるのすら、何だか、余計、熱くなる。


 ――――……ほんと、可愛いな……優月。

 服の下に手を滑らせると、肌が気持ち良くて。
 撫でてると、胸の先端が、ぷちと立って、手の平に当たって、優月の体が震える。

 ……感じやすい――――……。 

 めちゃくちゃに触って、ドロドロにして、中に突っ込んで、揺さぶりたい。
 絶対、すげえ、気持ちいいと思う。


 不意に乱暴な衝動が、起こるけれど。
 

「声、出ちゃう、から――――……無理……っ」

 優月に、もっともっと早めの段階で、止められて。
 ――――……まあ。オレが今考えたような事、こんなとこで、優月にできる訳ないけど。

 涙目に見つめられて、少しだけ、落ち着くけれど。

 キスだけにする?なんて言いながら、めちゃくちゃ、快感煽るようにキスしてやると。思うまま、すぐ、反応する。

 ファーストキスだった優月に、めちゃくちゃ深いキス、教え込んで。
 一生懸命応えてくるのが、可愛い。


 ……なんでこんな、可愛いかな……。


 めちゃくちゃキスして、結局キスだけじゃ済まず色んな事をし終えて、後始末とばかりに、優月の手も拭き終える。

 恥ずかしそうにそれを見つめてる優月に、また、なんか少し気持ちが揺れる。

 ――――……もっと、乱したいけど……。


「……優月」

 呼んだら、なぜか、俯かれてしまった。


「優月?」

 頬に触れて、顔を上げさせる。
 潤んだままの瞳で見つめられて。 なんか、少し切なげに、眉が寄る。


 何でだか――――…… 心臓の奥が、痛い気がする。


「優月、オレ……」
「……玲央?」


「――――……お前が、可愛くてしょーがないんだけど……」
「――――……」

 気付いたら、そんな風に、口に出していた。
 優月は、オレを見上げて、何も言わない。

 ――――……何て返したらいいか、分かんねえんだろうな。
 つか、オレも、分からない。


「……なンだろな、これ――――……」

  
 自分で言っといて、ほんと、何言ってンだろうと思う。
 ――――…… でも、ほんとに。


 抱き寄せて、その髪に頬を寄せる。
 背中の服、握り締められて。しがみつかれる。


 ――――……ああ、もう。マジで、可愛いっつの。



「……お前さ」

「ん?」

「……オレと毎日会うの、嫌?」

「え――――……嫌じゃないよ」

「ほんとに?」
「……嫌な訳、無いじゃん……」


「――――……普通セフレって、そんなに会わねえぞ」

「……う、ん」


 自分で言って、何だかまたモヤモヤする。


「――――……優月、顔あげて」
「……?」

 抱き締めていた腕を少し解くと、腕の中で、優月が顔を上げた。


「――――……お前、オレのこと、好き?」

「――――……」


 オレの問いに、一瞬、ぽかん、と呆けた顔をして。

 その後。
 優月が、ぴし、と。音を立てて、固まった。――――ような気がした。


 ――――……なんだ?

 
「え……あの……どういう、意味?」
「……オレの事が好きかって、聞いた」

 すぐ、好き、と言うかと思った。

 けれど何だか――――……すごく、困ったように、優月が、俯いて。


「……嫌いじゃ、無いよ」


 そんな風に言った。

 ………嫌いじゃない?


「――――……一緒に居たいし……」

 ――――……?

 なんか。全然、はっきりしない。

 ――――……優月の答えを聞いていたら。
 オレは、「好き」と優月の口から聞きたかったんだと、そう気づいた。


「……好きじゃねえの?」
「……っ……そりゃ……嫌いじゃないけど……」


 絞り出すみたいに言う、優月の言葉に、なんだかすごく、ムカついてくる。


「――――……何、その、嫌いじゃない、って」
「――――………っ……」

 抱き締めていた手を、す、と離す。
 すぐに優月が、オレに回していた手を握り締めて下ろすのを、ただぼんやり、目に映す。


 自分が先に離したのだけれど――――……ぬくもりが、離れて。
 ――――……なんか、余計に、苛ついた。

 苛つきすぎて。
 この苛つきのままで、何か、優月に言ってしまう前に、離れようと、思った。

「――――……オレ、もう、行くけど」

 優月が、ぱっと、焦ったように見上げてきたけれど。
 それでも、優月は何も言わず。「……うん」とだけ言って、頷いた。


 ムカつきは頂点に達してたけど、それでも、連れ込んだこんな所に、優月を1人置いてく気はしなくて。


「……一緒に出るか?」

 そう聞いたけど、優月は一歩退いて、プルプル首を振った。


「……ううん。 オレ、後から行く」
「――――……分かった。じゃあな?」

「……うん」


 視線が合わない。
 そのまま、俯かれた。



 鍵を開けて、個室を出た。
 手を洗って――――……一瞬、鏡を見ると。自分がひどい顔をしてる気がする。



 優月は、個室から、出てこない。動く気配もしない。



 小さく息をついて。
 トイレを出て。 部室に、向かった。
 




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