【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

文字の大きさ
74 / 864
◇気持ち

「イライラ」*玲央

しおりを挟む


 優月と別れて、3限に遅れて出る気もしなくて、部室に来た。
 ソファに腰かけて。そのまま後ろにもたれて埋もれていたら、3限を終えた甲斐が現れた。

 入ってきて、一目オレを見てすぐに、うわー……と、顔をしかめた。


「……おーす。玲央……」
「……おう」

「えーと……聞くべき、なのか……聞くか……」

 ぶつぶつ言って、はー、とため息をついてる。

「……何でそんなに機嫌悪いンだ?」

 甲斐が、思いっきり眉を寄せてそう聞いてくる。

「……別に……」
「別にじゃねーだろーが…… 練習までに、どーにかしろよ?」

「……無理。……大丈夫、ちゃんと歌うし」
「絶対無理だって。何だよ、ほんと、何」

「――――……口に出したくねえ」


 そのまま、また背をソファに預けて上を向いた。


「はー……昨日も今日もなんな訳……あ、優月、の 事?」

 甲斐の言葉に、咄嗟に起き上がって、甲斐の顔を見る。

「あ、起きた」
 甲斐がめちゃくちゃ苦笑いしている。

「――――……何でその名前が、お前から急に出てくる訳」

 思わず出てしまう低い声に、甲斐は苦笑い。

「……昨日お前が昼消えた後、勇紀が優月の友達と話してて……勇紀が、優月が玲央の言ってた子なのかなーって。そうなんだろ?」

「――――……」

 ――――……昨日の昼の時点で、確証はないまでも、相手が優月ってバレてた訳、な。……別にそれは良いけど。 今はその名前、聞きたくなかった。


 大きなため息を吐いた時。
 甲斐もまた、はーー、と息をついた。


 ガチャっとドアが開いて、入ってくると同時に。
 勇紀の明るい声が部屋の空気を割った。

「おーす、玲央ー! 昼のカフェって、誰と行ってたの?」
「……由香」

 その低い一声で、おや?という顔になって、勇紀がぴた、と止まって、オレをまっすぐ見つめた。一緒に入ってきた颯也も、荷物を置きながら、オレに視線を向ける。


「……玲央がすっげえ機嫌悪い……何、甲斐、何か聞いた?」

「たぶん、昨日の優月?とかの事だと思う……」
「えっ優月? 今来る時会ったよ? 4限行くとこだって」

 ぴく。と手が震える。

 くそ。……どうしてたか聞きたいけど、聞きたくない。

「なんかちょっと困った顔してたなあ……とは思った。 何? 喧嘩したの? 玲央。えーでも、優月が人と喧嘩すると思えないんだけど……」

 あれやこれやと続けて捲し立てる勇紀に、甲斐は嫌そうな顔をしている。

「……勇紀お前、ただでさえ玲央、あんななのに、刺激すんなよ」
「えーだってー……」

 こそこそ言い合ってる2人に何も言う気もなく、またソファにもたれかかった。そこに真顔の颯也が近づく。


「つーか、玲央、17時までに、どーにかして」
「……歌えるって」

「……そんな見るからに機嫌悪いの、オレ、正直初めて見るんだけど。歌えんの? ちゃんと。 練習できんのかよ?」
「――――……歌える」

「……話して落ち着くなら、話したら?」

 颯也の言葉に、眉を寄せる。

「……玲央って、何言われても飄々としててさ。何でも流すし、切り替えも早いし、 良い意味でも悪い意味でも執着しないし……ていう奴なのにさ」
「――――……」

「そんな、ピリピリしてんの、ほんとオレ初めてかも――――……2人は見たことあんの?」

 颯也が、甲斐と勇紀に聞くと。2人そろって、「無い」と答えた。

「……なんなの。 誰と何があって、そーなってんの?」
「――――……」

 しばしの沈黙。


「まあ話さなくてもいいけど、 17時までに、復活はしろよ?」

 はー、とため息をついてる颯也。
 

 …………確かにこんなに、表に出るほどなのは、あんまりねえかも。 
 ……むしろ、色々表に出さねえようにしてるからな……。


「――――……」


 嫌いじゃない。

 さっきの言葉が、またよぎる。

 ――――……なんな訳。
 ……嫌いじゃないって。

 一緒に居たいけど――――……。
 好きとは言わずに、嫌いじゃないって。


 ……嫌いじゃないけど、好きでもない。
 ――――……そうとしか、思えないし。

 あんなに、とろとろになって、しがみついてくるのに。
 可愛い顔して笑いかけてきて、嫌な訳ないとか、そばに居たいとか、言うくせに。……何、嫌いじゃないって。


 あー……すっっっげえ……イライラする。


  ダメだ、これ。



 くそ。
 ――――…… 意味わかんねえ。






しおりを挟む
感想 843

あなたにおすすめの小説

そんなの聞いていませんが

みけねこ
BL
お二人の門出を祝う気満々だったのに、婚約破棄とはどういうことですか?

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

第2王子は断罪役を放棄します!

木月月
BL
ある日前世の記憶が蘇った主人公。 前世で読んだ、悪役令嬢が主人公の、冤罪断罪からの巻き返し痛快ライフ漫画(アニメ化もされた)。 それの冒頭で主人公の悪役令嬢を断罪する第2王子、それが俺。内容はよくある設定で貴族の子供が通う学園の卒業式後のパーティーにて悪役令嬢を断罪して追放した第2王子と男爵令嬢は身勝手な行いで身分剥奪ののち追放、そのあとは物語に一切現れない、と言うキャラ。 記憶が蘇った今は、物語の主人公の令嬢をはじめ、自分の臣下や婚約者を選定するためのお茶会が始まる前日!5歳児万歳!まだ何も起こらない!フラグはバキバキに折りまくって折りまくって!なんなら5つ上の兄王子の臣下とかも!面倒いから!王弟として大公になるのはいい!だがしかし自由になる! ここは剣と魔法となんならダンジョンもあって冒険者にもなれる! スローライフもいい!なんでも選べる!だから俺は!物語の第2王子の役割を放棄します! この話は小説家になろうにも投稿しています。

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

処理中です...