【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇進展?

「好き」*玲央

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 本気になったら終わりと言ってあるから。
 好きと言えなかった……?


 もう、さっきの優月の頑なな「嫌いじゃない」の理由は、もうそれしかないと、思えてしまって。


 ――――……マジで。オレ、最悪。


 固まってるオレを見つめて、3人は顔を見合わせる。


「……分かりにくいけど、あれは落ち込んでる?」
「とりあえず、固まったな……」
「……絶対、練習無理だろ、あれ……」

 ぼそぼそ。勇紀、甲斐、颯也の声。


「……あのさ、玲央。優月さ、一番でかい教室って言ってたから……3号館の1階の教室だと思うんだよね」

 勇紀の言葉に、続いて。

「練習、歌無しでやってるから、謝ってきたら?」
「……ここに居たって、練習ちゃんと出来ねえだろ」

 甲斐と、颯也の声も続く。
 聞き終えると同時に、立ち上がった。

「悪い。行ってくる」

 そう言ったら、3人とも、何とも言えない顔をした。

「……んだよ?」

「いや。……いつも、そういうの面倒くさがるのに」
「今日は行くんだなー、と思って」

 甲斐と勇紀が面白そうに言って、颯也も、ふ、と笑ってる。


「仲直り出来たら、連れておいでよ。いってらっしゃーい」

 勇紀に言われながら、部室を出る。


 ――――……嫌いじゃない。


 言われて、腹が立った。
 好きだと、言わない優月に。

 ……本気になったら終わり、と言ってあるから――――……。
 本当に好きだから、好きだと言えなかった、て、事なら――――……。


 もし、優月に確認して、オレの事が、好きだと分かったら。


 ――――……好きだと分かったら、どうするんだ?



 セフレが何人も居て。
 ――――……恋人は、欲しくなくて。

 男同士で。


 セフレ位なら良いけど、感情込で男と付き合うって――――……。

 まだ全然、整理できない。

 正直まだ会ったばかりで、知らない事ばかりだし。


 でも。
 ――――……ただ、思うのは。

 優月の事が――――……可愛くて、しょうがない、て事で。


 教室の出入り口の前で待ってると、授業が終わった学生たちが次々に出てくる。何だか、すごく、ソワソワして落ち着かない。

 出てきて――――……オレを見つけたら。
 どんな顔をするんだろう。

 ――――……離れていくかも……?
 気付かないふりして――――……素通りするか?

 それも仕方ないけど――――……そうだったら、追いかけるか? 

 普段なら、そんなの絶対、追いかけない。
 別にそれまでの関係だと思う。というかそもそも、ここに来てない。

 全然考えがまとまらないまま、ずっと優月を探しながら待っていたけれど。
 出てくる列が途切れても、出てこない。

 ――――……見逃した? はずは、ねえんだけど。
 オレが買った服、ちょっと目立つ青だし……。

 思いながら、中を覗くと、1人、机に突っ伏していて。
 洋服からも、形からも、優月――――……。


 ――――……何だか……ドキドキする。
 
 話しかけた時、あいつは、何て言うだろう。どんな顔、するだろ。

 ――――……でも、授業が終わっても、一人立ち上がらずに、伏せているのは、きっと、オレのせいで。

 ――――……きっと、オレの事を考えてくれているのだと。思って。



「……お前、何、してンの……?」


 自分で、少し、緊張気味な声だと、思ってしまう。
 ば、と顔を上げた優月は、ただただ驚いた顔。

「ドアんとこで待ってたのに出てこねえから、見逃したかと思った……」
「……何で?」

「勇紀が、お前が一番でかい教室に居るって言うから、待ってた」

 まっすぐに、見つめてくる瞳。
 良かった。まだ、ちゃんと、オレを見つめてくれて。


「――――……さっき、置いてって、ごめんな」

 後悔してる事を、まず口した。
 優月は、何も言わず、ただ、見上げてくる。


 まっすぐな瞳。
 さっきは、視線を外して、置き去りにした。


「さっきの、嫌いじゃないってやつさ……本気になったら終わりって、オレが言ったのが、関係ある?」

 そう聞いたら。
 優月は何も答えなくて。

 ふっと一瞬眉を寄せた後。俯いてしまった。


「優月?」

 ――――…泣いてる?


「――――……優月?」

 たまらなくなって、顎に触れて、顔を上げさせる。
 一瞬見つめあった瞳は、涙で潤んでて。


 見た瞬間、色んな感情が湧いてきて。
 何もまとまらないまま。

 勝手に、体が、動いて。

「……っ……」

 ゆっくり。キス、してた。
 触れるだけの。それ以上は、今はできなくて。


「……っ……?」


 見上げてくる瞳を見て、強く思うのは。
 優月を、泣かせたくない、という想いで。


「……れお……」
「――――……ごめん、泣かせて……」


 頬をなぞる。触れてると、余計に、思う。


 ――――……こんなに可愛いって思ってんのに。
 ……オレ、何してんだ。



「――――……あー……なんか……」


 思わず呟いて、抱き締めてしまう。


「……ごめん――――……何かオレ、まだ、分かんねえ事ばっかで」
「――――……」

「……お前と会ったばっかりだし――――……今思う事しか、言えねーんだけど……」
「――――……」


 腕の中にある、優月の存在が。 
 ――――……すごく大事だと、思う。


「……オレ、お前のこと―――……可愛くて、たまんねえ」
「――――……」


「――――……お前と一緒に居たいって、すげえ思うし……お前の事、好きだと思う」
「――――……っ……」


 優月が下から、見上げてくる。


 お前を、好きだと思うのに――――……セフレとかって……。


 じ、と見つめ返す。


「……お前にセフレになりたいとか言われると――――……なんか、ムカつくのも、初めてだし」
「……え?……ムカつく……の?」

「――――……セックスだけしてえの?って、思うし」
「え――――……っ……ちが……うん、だけど……」


「違うのは分かってるけど――――……なんかむかつく」
「――――……」

 そんな風に言っていると、困った顔してる優月が、なんか、可愛い。


「オレ、お前と、終わりにする気なんかねえから。……セフレとか言ったのも……もう1回、考えさせて」

 まだ、分からない。
 今のこの気持ちが、この先どうなってくとか。この関係がどこに落ち着くとか。全然、はっきりは言えない。

 でも――――……お前の事は、ずっと好きな気がする。

 何か本気でそう思う位――――……気に入ってる。

 そんな風に思ってる自分が、少し不思議で。
 黙って優月と見つめあってると。

「……玲央、あの……オレも……まだ会ったばっかりで――――……」
「……ん」

 優月が、そんな風に、話し出した。


「……多分、オレの方が、全部、色々わかんないんだけど……」
「――――……」



「あの――――…… とりあえず、なんだけど……」


 しばらく待つけれど、言葉が続かない。
 
 
「とりあえず、なに?」
「――――……」

 聞くけれど、続きが出てこない。


「……黙んなくて良いよ。つか、何でも言えよ。多分、オレ、お前の言葉、何も嫌じゃねえと思うから」


 …何だか、ほんとに、そう思う。
 優月が素直に向けてくる言葉なら、何でも、受けれそうな気がする。


「とりあえず、何? 優月」


 もう一度促すと。
 心を決めたように、顔を、上げてきた。

 こんな必死な顔をして、何て言うつもりなんだろう。



「あの――――……玲央のこと、好きって」
「――――……」



「……言っても良い?」


 優月はそう聞いて、少し不安そうな、一生懸命な顔をして、見上げてくる。


 好きって言っても良いかって。
 何だそれ――――……。


 ……やばい。
 ――――……可愛すぎる。


「はー…… お前、ほんと可愛い」
 

 優月に触れて、まっすぐ自分の方を向かせて。
 その瞳を見つめる。



 ……ごめんな、好きって言って良いか、なんて聞かせて。

 ――――……言って良いに、決まってるし。


 ていうか――――……むしろ……。



「ずっと、言ってて良いよ」


 自然と、そんな言葉が出ていた。
 キスしたくてたまらなくて、唇を重ねさせる。


 ――――……可愛い。



「――――……ん……ふ……っ」


 ふ、と感じた視線に目を開けると、優月の瞳に涙が潤んでて。


「……泣くなよ」

 拭いながら言うと。

「……なんか……嬉しくて、だよ……」

 とは言うのだけれど。


「……それでも、泣くな」


 言いながら、ちゅ、と頬にキスする。と。


「――――……玲央」
「……ん?」


「……玲央のこと、好き」


 一生懸命な顔で、そんな風に言われる。


「……ん」


 ダメだな。 
 ――――……可愛すぎ。


 キスして、抱き締める。



「優月」
「…ん?」

「……オレ色々あって、恋人は要らないって思ってて――――……。本気になられると困るから、好きだとか、可愛いとか、言わないようにしてた訳」
「……うん」

「……でもオレ、お前が、可愛くて。言わないようにしてたのに、つい、言っちゃうんだよな……」
「――――……」


「……好きって思われるのも、面倒で嫌だったんだけど……お前が、嫌いじゃないとか、言うのなんかイラついて。何で好きって言わないんだって、すげえ思って…」


    優月が、じっと見上げてくる。


「オレは、お前に、好きって言って欲しい」


 優月はしばらくオレを見つめていたけれど。
 少し泣きそうにも見える、でも、嬉しそうな笑顔で。

 オレの瞳を見つめたまま、頷いた。


「オレ、お前のこと可愛いって思ったら言うし、好きだってのも、お前には言う。だから――――……お前も、言って?」

「……うん」

    嬉しそうに笑った優月が愛しくて。

 もう、思うまま、抱き締めて。
 よしよし、と、頭を撫でた。



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