【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

文字の大きさ
79 / 876
◇進展?

「好き」*玲央




 本気になったら終わりと言ってあるから。
 好きと言えなかった……?


 もう、さっきの優月の頑なな「嫌いじゃない」の理由は、もうそれしかないと、思えてしまって。


 ――――……マジで。オレ、最悪。


 固まってるオレを見つめて、3人は顔を見合わせる。


「……分かりにくいけど、あれは落ち込んでる?」
「とりあえず、固まったな……」
「……絶対、練習無理だろ、あれ……」

 ぼそぼそ。勇紀、甲斐、颯也の声。


「……あのさ、玲央。優月さ、一番でかい教室って言ってたから……3号館の1階の教室だと思うんだよね」

 勇紀の言葉に、続いて。

「練習、歌無しでやってるから、謝ってきたら?」
「……ここに居たって、練習ちゃんと出来ねえだろ」

 甲斐と、颯也の声も続く。
 聞き終えると同時に、立ち上がった。

「悪い。行ってくる」

 そう言ったら、3人とも、何とも言えない顔をした。

「……んだよ?」

「いや。……いつも、そういうの面倒くさがるのに」
「今日は行くんだなー、と思って」

 甲斐と勇紀が面白そうに言って、颯也も、ふ、と笑ってる。


「仲直り出来たら、連れておいでよ。いってらっしゃーい」

 勇紀に言われながら、部室を出る。


 ――――……嫌いじゃない。


 言われて、腹が立った。
 好きだと、言わない優月に。

 ……本気になったら終わり、と言ってあるから――――……。
 本当に好きだから、好きだと言えなかった、て、事なら――――……。


 もし、優月に確認して、オレの事が、好きだと分かったら。


 ――――……好きだと分かったら、どうするんだ?



 セフレが何人も居て。
 ――――……恋人は、欲しくなくて。

 男同士で。


 セフレ位なら良いけど、感情込で男と付き合うって――――……。

 まだ全然、整理できない。

 正直まだ会ったばかりで、知らない事ばかりだし。


 でも。
 ――――……ただ、思うのは。

 優月の事が――――……可愛くて、しょうがない、て事で。


 教室の出入り口の前で待ってると、授業が終わった学生たちが次々に出てくる。何だか、すごく、ソワソワして落ち着かない。

 出てきて――――……オレを見つけたら。
 どんな顔をするんだろう。

 ――――……離れていくかも……?
 気付かないふりして――――……素通りするか?

 それも仕方ないけど――――……そうだったら、追いかけるか? 

 普段なら、そんなの絶対、追いかけない。
 別にそれまでの関係だと思う。というかそもそも、ここに来てない。

 全然考えがまとまらないまま、ずっと優月を探しながら待っていたけれど。
 出てくる列が途切れても、出てこない。

 ――――……見逃した? はずは、ねえんだけど。
 オレが買った服、ちょっと目立つ青だし……。

 思いながら、中を覗くと、1人、机に突っ伏していて。
 洋服からも、形からも、優月――――……。


 ――――……何だか……ドキドキする。
 
 話しかけた時、あいつは、何て言うだろう。どんな顔、するだろ。

 ――――……でも、授業が終わっても、一人立ち上がらずに、伏せているのは、きっと、オレのせいで。

 ――――……きっと、オレの事を考えてくれているのだと。思って。



「……お前、何、してンの……?」


 自分で、少し、緊張気味な声だと、思ってしまう。
 ば、と顔を上げた優月は、ただただ驚いた顔。

「ドアんとこで待ってたのに出てこねえから、見逃したかと思った……」
「……何で?」

「勇紀が、お前が一番でかい教室に居るって言うから、待ってた」

 まっすぐに、見つめてくる瞳。
 良かった。まだ、ちゃんと、オレを見つめてくれて。


「――――……さっき、置いてって、ごめんな」

 後悔してる事を、まず口した。
 優月は、何も言わず、ただ、見上げてくる。


 まっすぐな瞳。
 さっきは、視線を外して、置き去りにした。


「さっきの、嫌いじゃないってやつさ……本気になったら終わりって、オレが言ったのが、関係ある?」

 そう聞いたら。
 優月は何も答えなくて。

 ふっと一瞬眉を寄せた後。俯いてしまった。


「優月?」

 ――――…泣いてる?


「――――……優月?」

 たまらなくなって、顎に触れて、顔を上げさせる。
 一瞬見つめあった瞳は、涙で潤んでて。


 見た瞬間、色んな感情が湧いてきて。
 何もまとまらないまま。

 勝手に、体が、動いて。

「……っ……」

 ゆっくり。キス、してた。
 触れるだけの。それ以上は、今はできなくて。


「……っ……?」


 見上げてくる瞳を見て、強く思うのは。
 優月を、泣かせたくない、という想いで。


「……れお……」
「――――……ごめん、泣かせて……」


 頬をなぞる。触れてると、余計に、思う。


 ――――……こんなに可愛いって思ってんのに。
 ……オレ、何してんだ。



「――――……あー……なんか……」


 思わず呟いて、抱き締めてしまう。


「……ごめん――――……何かオレ、まだ、分かんねえ事ばっかで」
「――――……」

「……お前と会ったばっかりだし――――……今思う事しか、言えねーんだけど……」
「――――……」


 腕の中にある、優月の存在が。 
 ――――……すごく大事だと、思う。


「……オレ、お前のこと―――……可愛くて、たまんねえ」
「――――……」


「――――……お前と一緒に居たいって、すげえ思うし……お前の事、好きだと思う」
「――――……っ……」


 優月が下から、見上げてくる。


 お前を、好きだと思うのに――――……セフレとかって……。


 じ、と見つめ返す。


「……お前にセフレになりたいとか言われると――――……なんか、ムカつくのも、初めてだし」
「……え?……ムカつく……の?」

「――――……セックスだけしてえの?って、思うし」
「え――――……っ……ちが……うん、だけど……」


「違うのは分かってるけど――――……なんかむかつく」
「――――……」

 そんな風に言っていると、困った顔してる優月が、なんか、可愛い。


「オレ、お前と、終わりにする気なんかねえから。……セフレとか言ったのも……もう1回、考えさせて」

 まだ、分からない。
 今のこの気持ちが、この先どうなってくとか。この関係がどこに落ち着くとか。全然、はっきりは言えない。

 でも――――……お前の事は、ずっと好きな気がする。

 何か本気でそう思う位――――……気に入ってる。

 そんな風に思ってる自分が、少し不思議で。
 黙って優月と見つめあってると。

「……玲央、あの……オレも……まだ会ったばっかりで――――……」
「……ん」

 優月が、そんな風に、話し出した。


「……多分、オレの方が、全部、色々わかんないんだけど……」
「――――……」



「あの――――…… とりあえず、なんだけど……」


 しばらく待つけれど、言葉が続かない。
 
 
「とりあえず、なに?」
「――――……」

 聞くけれど、続きが出てこない。


「……黙んなくて良いよ。つか、何でも言えよ。多分、オレ、お前の言葉、何も嫌じゃねえと思うから」


 …何だか、ほんとに、そう思う。
 優月が素直に向けてくる言葉なら、何でも、受けれそうな気がする。


「とりあえず、何? 優月」


 もう一度促すと。
 心を決めたように、顔を、上げてきた。

 こんな必死な顔をして、何て言うつもりなんだろう。



「あの――――……玲央のこと、好きって」
「――――……」



「……言っても良い?」


 優月はそう聞いて、少し不安そうな、一生懸命な顔をして、見上げてくる。


 好きって言っても良いかって。
 何だそれ――――……。


 ……やばい。
 ――――……可愛すぎる。


「はー…… お前、ほんと可愛い」
 

 優月に触れて、まっすぐ自分の方を向かせて。
 その瞳を見つめる。



 ……ごめんな、好きって言って良いか、なんて聞かせて。

 ――――……言って良いに、決まってるし。


 ていうか――――……むしろ……。



「ずっと、言ってて良いよ」


 自然と、そんな言葉が出ていた。
 キスしたくてたまらなくて、唇を重ねさせる。


 ――――……可愛い。



「――――……ん……ふ……っ」


 ふ、と感じた視線に目を開けると、優月の瞳に涙が潤んでて。


「……泣くなよ」

 拭いながら言うと。

「……なんか……嬉しくて、だよ……」

 とは言うのだけれど。


「……それでも、泣くな」


 言いながら、ちゅ、と頬にキスする。と。


「――――……玲央」
「……ん?」


「……玲央のこと、好き」


 一生懸命な顔で、そんな風に言われる。


「……ん」


 ダメだな。 
 ――――……可愛すぎ。


 キスして、抱き締める。



「優月」
「…ん?」

「……オレ色々あって、恋人は要らないって思ってて――――……。本気になられると困るから、好きだとか、可愛いとか、言わないようにしてた訳」
「……うん」

「……でもオレ、お前が、可愛くて。言わないようにしてたのに、つい、言っちゃうんだよな……」
「――――……」


「……好きって思われるのも、面倒で嫌だったんだけど……お前が、嫌いじゃないとか、言うのなんかイラついて。何で好きって言わないんだって、すげえ思って…」


    優月が、じっと見上げてくる。


「オレは、お前に、好きって言って欲しい」


 優月はしばらくオレを見つめていたけれど。
 少し泣きそうにも見える、でも、嬉しそうな笑顔で。

 オレの瞳を見つめたまま、頷いた。


「オレ、お前のこと可愛いって思ったら言うし、好きだってのも、お前には言う。だから――――……お前も、言って?」

「……うん」

    嬉しそうに笑った優月が愛しくて。

 もう、思うまま、抱き締めて。
 よしよし、と、頭を撫でた。



感想 873

あなたにおすすめの小説

家に帰ったら、妻は冷たくなっていた。突然シングルファザーになった勇者パーティーの治癒師は家族を修復したい

八朔バニラ
ファンタジー
勇者パーティーに所属し、魔王討伐した治癒師(ヒーラー)のゼノスは街の人々の歓声に包まれながら、3年ぶりに家に帰った。家族が出迎えてくれると思ったが、誰も出迎えてくれない。ゼノスは不満に思いながら家に入ると、妻の身体は冷たくなっていた。15歳の長男ルミナスはゼノスの代わりに一家の柱として妹を守り抜き、父に深い拒絶のこもった瞳を向けていた。そして、8歳の長女ミリアは父の顔も忘れていた。 ゼノスは決意する。英雄の肩書きを捨て、一人の不器用な父親として、バラバラになった家族の心を繋ぎ合わせることを。 これは世界最強の治癒師が家族を修復する物語である。

もう殺されるのはゴメンなので婚約破棄します!

めがねあざらし
BL
婚約者に見向きもされないまま誘拐され、殺されたΩ・イライアス。 目覚めた彼は、侯爵家と婚約する“あの”直前に戻っていた。 二度と同じ運命はたどりたくない。 家族のために婚約は受け入れるが、なんとか相手に嫌われて破談を狙うことに決める。 だが目の前に現れた侯爵・アルバートは、前世とはまるで別人のように優しく、異様に距離が近くて――。

愛を感じないのに絶対に別れたくないイケメン俳優VS釣り合わないので絶対に別れたい平凡な俺

スノウマン(ユッキー)
BL
 平凡顔・ヒモ・家事能力無しの黒は、恋人であるイケメン俳優の九条迅と別れたがっている。それは周りから釣り合ってないと言われたり、お前の事を愛してない人間なんて止めておけと忠告されたからだ。だが何度黒が別れようとしても、迅は首を縦に振らない。  迅の弟である疾風は、兄は黒の事を特別扱いしてると言うが――。黒は果たして迅と別れることが出来るのか!?

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

愛などもう求めない

一寸光陰
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 ※本編のロアン編完結。  ヴィルヘルム編を連載中です。