【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇そばに居る意味

「どうして聞くんだろう」*優月

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 待ち合わせ場所に急ぐと、もう玲央が待っててくれていた。
 急いで走って近づく。

 こんなに短期間、すごく濃密に一緒に居るのに。
 距離が近付くにつれて、胸がドキドキして嬉しくなってしまう。

 どれだけ玲央の側に居られるのが嬉しいんだろうと、不思議に思ってしまう位だった。


 玲央とカフェに居る時、蒼くんから電話が来た。

 蒼くんは、打ち上げの話をしただけですぐ、色々ピンとくるあたり、もうなんか、オレとは考えつくポイントが違いすぎて、敵わないなと思う。

 過去、何か悩んでるとすぐ気づかれて、白状させられて、容易く解決されてきた記憶がよみがえる……。

 その蒼くんが、とりあえず一人で打ち上げには参加するなというのだから、それは守った方が良い気がする。

 にしても。

 ……玲央は、どうして、オレに、何度も聞くんだろう。

 セフレが嫌じゃないのかって。

 こういう話、もう何回か、したような。
 どうしてそんなに、まるで嫌と言わせたいかのような聞き方で、聞いてくるんだろ。嫌だって言ったらどうするのかな。

 嫌って言ったらどうするの?て、一回聞いたけど、答えが出る前にオレがすぐ質問を撤回しちゃったんだったっけ……だって、玲央が、あの時、黙ったから。

 玲央が、他の誰かとそういう事をするのが、全然嫌じゃないなんて、ある訳ないんだけど。……こんなに、大好きなのに。

 オレに、優しく触ってくれるのと同じように、誰かに触って、キスして、オレがまだ……最後まではしてない事を、普通にするんだって、思ったら。

 想像しちゃったら、切ないし、なんだか苦しいし。

 だけど。
 もともとそういう事してる人だって分かって、誘いを受けたのはオレだし。

 玲央が他の人としてても、それは元々の話で。
 ――――……仕方ないと思うしかない。

 それでも、オレ、玲央と居れる時間があるなら、玲央と居たい。そう思ってるのに。

 どうしてわざわざ、嫌じゃないのか、なんて聞くんだろう。
 むしろ、考えたくないのに、考えちゃうじゃん……。

 玲央の言う事の中で、これが、本当に意味が分からなくて、困る。

 なんて答えればいいのかな。……何て答えてほしいのかな?


 嫌だって、言ったら?
 ……それって、玲央の嫌いな「束縛」になっちゃうじゃん。

 オレ、嫌われたくないし。

 ――――……嫌われる位ならそんな事絶対言わないし、玲央が誰かとする所想像したりしなければ、元々そうだったんだって、思えるし。


「オレ、玲央と居るの好きだから……そんな考えてくれなくて大丈夫だよ?」
 

 この言葉は、本心でもあるんだけど。
 一番奥の気持ちだけは、隠してる事になっちゃうのかな。

 玲央に嘘ついてるみたいで嫌だけど。

 でも、まだ会って僅かのオレが、今までずっと玲央が付き合ってた人達と、もう会わないで、なんて。 オレが言っていい訳ないと思うから。

 ……これは、言わないのが、絶対に正解だと思う。

 別に、オレ、まだ全然我慢できる。

 今日もし、玲央が他の人と会って、他の人としても、別に、オレは、耐えられるし。……ていうか、「我慢」とか、「耐えられる」って言葉だと、合わない気さえする。

 ……もともと知ってた事だから、大丈夫。
 そう、思える。ていうのが、正しいかな。


 その後、何か言いかけた玲央は、後で言う、と黙ってしまった。

 何を言うつもりなんだろ。

 ……多分、玲央は、優しいから。オレが嫌なんじゃないかなと思って聞いてくれてるんだろうけど。


 逆に、聞きたいな。玲央に。

 オレに嫌だって、言われたら。

 玲央、困る、よね?
 ……重いって、オレの事、思うんだよね……?



 ………ってやっぱりそんな事、聞きたくないや。
 こんな話自体が、面倒だと思うし。






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