【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇週末の色々

◇不思議*優月

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 20時になって、入り口を閉じて、閉館の案内を出してから中に戻った。
 明日の受付の準備を整えてると、蒼くんが近づいてきた。

「もう他の売り場のスタッフも帰るから、優月も良いよ、帰って」
「あ、うん。蒼くんは?」

「オレはちょっと電話したりしないといけないから、少し残る」
「そっか。分かった。明日、早く来れるなら来た方がいい?」
「授業あるだろ?」
「ん。でも、いつもちゃんと出てるから。1コマ休んで来れたら来るね」
「いいよ、無理しなくて」
「うん」

 受付の机の下から、鞄を出して、スーツの紙袋も出す。

「スーツ、ありがとうね、持ってきてくれて」
「ああ。玲央は? 待ってんだろ?」
「うん、多分」

「ここに迎え来てもらえば?」
「どこにいるか分かんないから……電話してみて良い?」
「いいよ」

 頷いてくれるので、玲央に電話をかけてみる。

『優月? 終わったか?』
「うん、終わった。今、どこにいるの?」
『そこから5分位の店。今会計して出るから。そっち行けばいいか?』
「待ってて良い?」
『ん、待ってて』

 優しい声で玲央が言って、電話が切れる。


「――――……ほんと、お前、玲央が好きなんだな」

 蒼くんが急にそんな事を言うので、目が点。


「え、何で?」
「そんな用件だけの電話だけで、そんなしあわせそーな顔して」
「……してた?」

 してたかなあ? と首をかしげると、蒼くんは、くっ、と笑って、頷く。


「してた。 で? すぐ来るって?」
「うん。5分位のお店だって」
「じゃそれまで一緒に待ってる」
「うん」

 頷いて、ふ、と息をつく。

「忙しかったね、蒼くん。疲れたでしょ」
「立ちっぱなしがなー? 足痛ぇし。今日はもう帰って寝る」
「うんうん。明日もあるもんね」

 ふふ、と笑って蒼くんを見上げていると。
 あ、と蒼くんがオレを見つめてきた。

「さっきのバンドの写真だけどさ。SNSとかに載せる写真くらいなら、すぐ撮ってもいーぞ」
「えっほんと?」
「時間と場所が合えばな? ライブしてるとことか? 練習してるとことか。行ってすぐ撮るくらいなら」
「それは言ってなかったから、聞いてみるね」
「ああ」
「ありがと、蒼くん」

 見上げて、ふふ、と笑ってしまう。

「なんかさっきも、思ったんだけど」
「ん?」

「玲央と蒼くんが、話してたり、蒼くんの作品を玲央が見てたりさ。その、蒼くんに玲央の写真、撮ってもらいたいな、とか思うのもさ」
「ん」

「なんか、すごく、不思議。――――……オレ、玲央に会ったの先週の金曜なんだよ。ちゃんと一緒に居たのは、月曜からだしさ。なのに、その玲央と蒼くんがなんか喋ってるのとか」

 なんだか急におかしくなって、蒼くんを見上げた。

「――――……なんかさ?」
「ん?」

「……ちょっとしか会ってないのにさ。蒼くんは玲央の気持ちを想像して話すしさ。 玲央も、なんか、蒼くんの絵や写真を見て、蒼さんぽい、とか言うし」
「――――……」


「玲央と蒼くん、ちょっとしか喋ってないのに、なんか不思議」
「――――……まあ確かに。ちょっとしか会ってねえけど」

「けど?」


 しばらく、んー、と考えてた蒼くんは、クッと笑い出した。


「……何となく、何言いそうか、分かる気がする」

 そんな風に言う蒼くんは、何だか不思議ではあるのだけど。
 ……でもなんか、ほんとにそんな気もして。


 
 ほんと不思議。
 似てる……という訳でもないんだけど。


 でも、大好きな2人が、関わってるのは。
 ――――……なんか、楽しいし、なんか嬉しい。
 




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