【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇週末の色々

◇笑うしか*玲央

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 ――――……マジで、疲れた、な。
 しょーがねーけど。

 スマホをテーブルに置いて、ため息。
 連絡、取り終えて、やり取りも終えた。

 肘をついて、顎をのせて、メッセージ欄をスクロールしてく。

 向こうも遊びで割り切ってると思ってて。
 ――――……まあそういう感じがほとんどだったけれど。

 いくら割り切ってと最初に言ってても、そうじゃないんだなと思い知ったというか。――――…… 自分が悪いんだけれど。 ……疲れた。

 と、その時、優月から電話。
 終わったというから迎えに行く事にして、電話を切って立ち上がる。


 優月の声を聞くと、ほっとする。

 こんな感覚は、初めてで不思議。
 何でとか、理由を考えてもよく分からないけれど、そう感じる。

 ずっと一緒にいて、ずっと、声、聞いていたい。
 そう思う、から。もう、感覚的なものだと思う。

 蒼さんの個展のビルに近付くと、優月と蒼さんが外で待っていた。


「お疲れ様です」
「ん、玲央もお疲れ」

「玲央、ごめんね、待たせて」
「大丈夫。待ってる間にオレもしなきゃいけない事、終わったよ」

「あ、ほんと? 良かったね」

 笑顔で言う優月に、ふ、と笑みが浮かぶ。

「じゃあな。気を付けて帰れよ」
「うん。蒼くんも。また明日ね」

「玲央も、またな」

 蒼さんに挨拶して別れを告げて、優月と2人で歩き出した。


「優月、疲れてるか?」
「結構忙しかったから、疲れたけど」

 優月は、オレを見上げて、にっこり笑う。


「玲央が居ると元気になるかも」
「――――……」


 …………可愛いんだけど。お前。
 とっさに答えられず。

 ……つか、こんなのに返事できない位可愛いとか思うって。
 抱き締めたいけど、外だから無理だし。なんて思っていると、優月は、返事が無いのは気にしてないみたいで、続けて言う。

「あ、そうだ、明日も受付することになったんだ。なんかバイトの子が熱だしちゃったんだって」
「……夕方から?」
「うん、そう」
「そっか。分かった」

 じゃあどうすっかな。
 最近ジムサボってたから、ジム行っといて、終わったら迎えに……。
 とか一瞬で色々考えていると。

 下から優月がじっと見つめてくる。


「ん?」
「明日は1人で帰るからね?」
「――――……」

 先に言われて、ぷ、と笑ってしまう。

「ジム行って、そこから来ようかなーって思ってたけど。先に断られた」
「だって、大変だもん。オレ、1人で帰れるからさ」

 クスクス笑う優月。

「大変ではないけど――――……」
「玲央ジム行くの?」

「マンションにあるんだよ、会員と住人が使えるジム」
「へえ……そうなんだ」

「今度優月も行く?」
「え、行ってもいいの?」
「住人の知り合いもいけるから」
「行ってみようかなーできるかなあ。運動、あんまりちゃんとしたことない」
「――――……体育位?」
「うん、しかも体育も微妙な感じでやってたというか……」

 苦笑いを浮かべてる優月に、ふ、と笑ってしまう。


「優月は美術部だった?」
「うん。ずーっと」

「そっか。――――……いいじゃんか。ずっと好きな事、やってんの、すごいと思う」

 優月っぽい、そういうの。
 きっと中学ん時も、高校ん時も、楽しそうに絵を描いてたんだろうなあと思うだけで、なんか、微笑ましいというか。
 可愛かったろうな、優月。


「――――……ん、ありがと。玲央」

 嬉しそうに笑う優月の事が、やっぱり可愛く思う。


「でも運動は少しはした方がいいから、一緒にやろうぜ」

 オレが言うと、うんうん、と優月が頷いてる。


「オレにも、玲央みたいに綺麗に筋肉、つくのかなあ??」

 なんて言いながら、んー、と考えてから。

「なんか、想像できないけど」

 あはは、と笑い出す優月。
 優月に筋肉、か。少し想像してから。

「優月、綺麗だけどな、ウエスト」
「うーん。あんまり肉がついてないだけだよね。筋肉ついてない」

 そう言って、何か考えた顔をした優月が少し眉を顰める。

「んー、このまま運動しないで年取ってったら、まずいかなー。運動しようかなあ……」
「どうだろうな? 優月太りそうにないけど。全体的に細いし。あー、でもちょっと筋肉つくのもいいなーエロくて」
「――――……っ」


 何言ってるんですか、この人は。
 という赤い顔で、声無く見上げられて、クッと笑ってしまう。


「っもう、なんですぐそうやってからかうの」
「からかってないよ、本気で言ってる」

「っ……余計だよっもうっ」


 玲央はいつも恥ずかしいよね、なんて言われても。
 もう、赤くなってんのが可愛くて、笑うしかできない。








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