【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇週末の色々

◇王子様?*優月

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 軽い夕食を食べてから電車に乗って、やっと自分の家の駅に帰ってきた。
 昨日の朝、玲央と一緒にオレの家に行って、スーツを着てから2日間。


 なんか、土日、ものすごく、長かった気がする。


「なんか2日間、めちゃくちゃ充実、してたね?」
「してたなー。なんか、色んな事あった気がする」

 オレの言葉に、玲央もそんな風に言って、笑ってる。


 改札を出て、エスカレーターで降りて、車道を歩き始めた時。
 肩に手が置かれて、そのまま、立ち位置、変えられる。

 ――――……車側じゃない方に、自然に、動かされた感じ。


「――――……なんか……」
「ん?」

「――――……玲央ってさ」
「うん?」

 じっと見上げると、優しい瞳が見つめ返してくる。

 なんか。好き過ぎるんだけど。どうしよう。
 なんて思いながら。


「玲央って、王子様みたい」
「――――……ん?」


 玲央が、しばらく固まって。それから、ふっと笑って、オレを見ながら首を傾げた。

「王子様? 何だそれ」

 クスクス笑われるけど。
 だってそう思っちゃったんだよね……。

「なんかさ。ドアとか絶対開けてくれて先通してくれるしさ。道路歩いてても車道側自然と歩くしさ。 何してても、なんかさっと、色んな事してくれるし。……なんか……スマートすぎて、カッコいいから王子様って言っちゃっただけだけど」

 思う事を連ねていくと、玲央が、可笑しそうにクスクス笑い出した。

「オレ、そんなに、してる?」
「うん。いつもだよ。無意識なのかな。――――……だって、今も、オレのこと、こっちに歩かせたでしょ?」
「――――……んー……言われてみれば、したかな」
「無意識なの?」

「……優月はこっちって思ってやってるかもしれないけど……あんまり考えずにやってるな……」
「だから王子様って言っちゃったんだよね。エスコート、みたいなこと、超スムーズで」

「今たまたまやったとかじゃなくて?」

 オレの言葉に、玲央は、くす、と笑った。


「ううん、たまたまじゃないよ。いつもだよ。なんかいつも、奥に入れられるなーって、違和感だったんだけどさ。だって普段、そんな事されないから」

 玲央の面白そうな顔を見上げながら、続ける。

「奥に入れられてるとかじゃなくて、車側じゃない方にしてくれてるんだなーって、後から気づいたんだけどさ。女の子だったら、すごいときめくと思う」

 そう言ったら、ぷ、と笑いながら。


「――――……優月はときめく?」
「え」

 オレは一瞬止まって、それからふ、と笑ってしまった。


「なんか玲央が優しくて、嬉しいなーと思う」
 

 玲央は、ぷ、と笑って。
 不意に肩を抱いてきた。

 もうオレのマンションまであと少し。
 人気もあんまり無いから良いかなと思って、近くの玲央を見つめる。


「オレは優月が可愛くて、嬉しいと思うけど」


 クスクス笑いながら、超至近距離で見つめられる。
 ドキと心臓が、弾む。



 ……うーん。
 ……ほんとに、玲央って。


 キラキラ感が半端ないな。
 オレだけが見てるのもったいないと思ってしまう位で。

 そんな事を思っていたら、ふ、と思い出した。


「――――……あ。そうだ」
「ん?」

「蒼くんがね、玲央たちがもう少しおっきくなったら、写真撮ってやる、って」
「おっきくなったら?」
「バンドがもっと成長したら? ……今は蒼くん忙しくて、写真集とかは撮れないみたいなんだけど。ただ、SNSとかに載せるような写真だったら、時間とかが合えば、すぐ撮ってもいいって言ってたよ?」
「――――……そっか」

 大きくなったら、か。
 玲央がそんな風に言って、くす、と笑う。


「蒼さんに撮ってもらえるように頑張れって事だよな」
「……ん」

「――――……頑張るよ」


 ふ、と笑った玲央の瞳は、何だか楽し気で。
 なんだかすごくカッコよくて、ただ、見つめてしまう。






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