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◇「恋人」
◇すきなもの*玲央
しおりを挟む髪を乾かしてあげていると。優月がキスしてきた。
「――」
乾かされてる時の、優月が気持ちよさそうにしてるのが可愛すぎて。
鏡越しじゃなくて直で見たいから、よく、真正面で向かい合って、ドライヤーを当ててるのだけれど。
なんか、今日は、背伸びして、キスしてきた。
つか、マジで可愛い。
優月が学校じゃなかったら。襲うのに。……とか、朝から不埒すぎる事を考えながら。
「ドライヤー途中になるよ?」
そう言ったら、優月はふふ、と笑って、また少し俯いた。
可愛い。
優月の髪の毛が、段々フワフワ柔らかくなっていくのが、愛しくて。
こんな風に思うの、本当に初めてだよな。
……というか、人にドライヤーかけるとか。
あんま考えた事もないし。しかもこんなに丁寧に、自分にもかけないかも。
「ん、終わり」
柔らかくなった髪をふわふわと撫でて。
それから、優月の頬を挟んで引き寄せて、唇にキスした。
触れるだけ。ゆっくりと。
少し長く触れて、ゆっくり離すと、それに合わせて、優月の瞳がゆっくりと開く。
「――玲央……」
ふわふわと、にっこり笑う優月に。
他人にたまに「尊い」とか言われて、意味が分からなかったけど。
――あぁ、なんかこういう感覚のことなのかな、なんて思いながら、また頬にキスする。
大事で、愛しくて、このまま、大切にしたい。
――とか、そういうことか?
「食べようぜ。――あ、ちょっと待って」
「うん」
バスタオルとか全部、洗濯機に突っ込んで回してから、優月の手を引きながら振り返る。
「おいで」
「うん」
素直に、笑顔でオレを見上げて、ついてくる。
優月がシャワーを出てる間に用意しておいたので、そのまま座らせて、水だけコップに入れて渡した。
「ありがと」
「ん」
優月の向かいに座って、いただきます、と合わせる。
「優月、朝って、ごはん? パン?」
「どっちも。日によって違うよ」
「ずっとカフェだったから、パンだったよな。明日ご飯にする?」
「うん、いーよ」
サンドイッチを食べながら、優月がクスクス笑う。
「玲央、料理習ったって言ってたもんね」
「習わされた」
そう言うと、優月はぷ、と笑う。
「教えてもらいたいなー」
「何を教わりたい?」
「だし巻き卵」
「あぁ。好き?」
「うん、好き」
「優月卵好きだよな」
「大好き」
「オムライスに卵サンドに、出し巻き卵って」
クスクス笑ってしまうと、優月も、そういえば卵の話ばっかりしてるね、と笑う。
「意識してなかった」
あはは、と笑いながら、優月がオレを見つめる。
「玲央は? 何が好きなの??」
「――んー。なんだろうな」
「うんうん」
ワクワクした顔してる。
優月みたいに、これが好き、とか。 そういえば、あんま、ないな。
別になんでも食えるし。こだわりがねえのかも。
「オムライス」
「ん?」
「卵サンド」
「??」
「出し巻きも」
「オレの好きな物でしょ?」
「優月と食べれば、なんでも好きだと思う」
「――」
「正直、そこまでこれってもの、今まで無かったかも。食べれればなんでも別に」
「……」
「――でもなんか、お前が嬉しそうに食べてたオムライス美味かったし。金曜卵サンド食べたのに、土曜もなんかついつい食べちゃったしなー。そう思うと、優月経由で好きになるかも」
何だか、良くわかんねえこと言ってんな、オレ。
と思いながら、でも、思いつくまま言ってたら。
なんとも言えない顔でオレを見てた優月が。
急に、「ちょっとごめんね」と言って、立ち上がると。
とことこオレの側にやって来て。
じーと、見下ろされて、ん?と微笑んで見せると。
「――玲央」
むぎゅ、と抱き締められた。
「――なんか、もう、大好きなんだけど……どうしたら……」
どうしたらって、何だ。
クスクス笑ってしまう。
優月を好きになって。
何も思わず普通にしか見てなかったものとかを。
――好きになってくとか。
そういうのも、なんか、いいかも。
なんて思いながら、優月の顔を見たら。
なんでか涙目で。
「え。……何で泣いてンの?」
「分かんない。 ……すっごい好き、て思ってたら」
うー、とか言いながら、抱き付いてくる。
くすくす笑ってしまいながら、抱き締め返して。
ちゅ、とキスした。
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