【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇「恋人」

「幼馴染と」*優月 2

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「蒼くんに今更ヤキモチやくのはちょっと違う、とは言ってたような気がするけど」
「てことは、ちょっと違うけど、やっぱり妬くのかもな」

 智也までなんだか面白そうな口調でそう言う。

「なんで2人とも、そんなに楽しそうにそれ聞くの?」

 そう聞いたら、2人は顔を見合わせた。

「だってなかなか神月に妬かせるとか、できなくねえ?」
「そうよね、ハイスペックの奴妬かせるってなると、それ以上を持ってこないと…… 蒼さんならできそう。優月が懐いてるのも分かるだろうし」

「妬かせなくていいんだけど……」

 言うと、まあまあいいの、たまには妬かせなよ、と美咲は笑う。


「――――……にしても、蒼さんが認めたのかー」

 くす、と智也が笑う。


「なんかオレ、蒼さんが認めたとか聞くと、またちょっとホッとするんだけど」
「分かる。なんだろうね、この安心感」

 智也と美咲のそんなやりとりが、すこしおかしくもあるんだけど。
 でも、分かる気がする。

「むこうはどうなの? 神月玲央の――――……」
「美咲、どうしてずっと、玲央の事フルネームなの?」

 なんだかずーっと気になってた事を、思わず美咲の言葉を遮って、聞いてみたら。

「……何となく最初に言ったから? おかしい?」
「……うん、ちょっと面白い」

「んーじゃあ、神月って呼ぶね」」
「ん」

「だから神月の周りの人達は、優月とのことどう思ってるの? ほら、バンドのメンバーとか」
「あー。うん、多分、大丈夫……」
「大丈夫なの?」
「うん。オレとも仲良くしてくれてる、気がする」

 そうなんだ、と安心したように笑う美咲に、智也が横から笑いながら言うのは。

「さっき神月の幼馴染とかとも一緒に喋ってたけど。なんか超好意的だったよ。神月が多分、すごく良い方に変わってる、からみたい。まあ、そいつは、玲央キモ!とか言ってたけどな?」
「ふ。言ってたね。でもさ。オレ思うんだけど――――…… 玲央、冷めてたとかさ、遊んでた、とか皆言うけど…… 結構友達と、仲いいんだよね。なんか玲央をよろしく、とか。玲央が気持ち悪いけど、仲良くしてやってね、とか。……皆、そんな感じでさ」

 一度言葉を切って、色々思い起こす。

「……うん、なんか――――…… 皆が、なんだかんだ言いながら、玲央の事を好きな気がして。なんか友達とは、結構冷めた感じの口調で話したりもするけど、それはそれで相手と楽しそうに成り立ってるし。玲央、基本的に優しいんだよね。だからさ」

 智也と美咲を順番に見つめてから。

「だから、大丈夫。もし、いつかさ、やむを得ず別れるとか……だめになっちゃうとかあったとしてもさ。 オレ後悔しないから。 だから、ほんとに、心配しないで?――――……って言っても、いっつも心配かけちゃうんだけどさ」

 あは、と苦笑いすると。
 2人は顔を見合わせると、ふー、と息を付いて笑いあう。

「もう心配しないでよさそうだよ、美咲」
「そうね。……優月の心配は神月に任せようかな」

「うん。多分、あいつ、オレらより過保護だと思うし」

 智也がクッと笑いながら、オレに、な?と聞いてくる。

「うーん……過保護っていうか……優しいかなあ」

 そう言うと、美咲が肩を竦める。

「神月みたいなタイプが、過保護で優しいとか、見た目じゃ全然想像できないけどね」
「……今度、話してみてほしいなあ、 玲央と。優しいの分かると思うから。紹介したい」

 そうオレが言うと。智也が、笑った。

「あれだよ、優月が居る所でしゃべった方がいいよ。 優月以外には別に普通の奴だから。――――……優月に対しては、すげー優しいっつーか、オレ的には、超過保護に見えるけど」

「超過保護かなー?」
「うん、そう見えるよ。オレも、美咲にも見てほしいなー、美咲はなんていうかなー。ちょっと楽しみ」

「そこまで言われると、あたしも楽しみ」

 ふふ、と笑う美咲。


「2人が、玲央たちと、仲良くなってくれたら嬉しい」


 そう言うと、智也と美咲が、ぷ、と笑う。


「優月またそれ」
「ん?」

「小さい頃から、自分の友達と、あたし達が仲良くなったらいいなーって。おかげで優月の友達何人も知ってるもんね。逆も結構知ってるし」
「だって、仲いい人同士が、仲良いと、嬉しいし」

「普通はしないんじゃない?」
「普通より、楽しい方がいいなぁ……それに皆すぐ仲良くなってくれるし」

「まあおかげでたまに集まったりするの、楽しいけどね」


 ふ、と笑う2人。
 その時。予鈴のチャイムが鳴った。


「行こっか。安心できたし」
「あ、そうだ、あのね、美咲、智也」

「ん?」

 立ち上がった2人を呼びよせて、ものすごく、こっそりと囁いた。


「最後までした、よ」


「「え゛」」


 頑張って手短に言ったのに、2人があんまりマジマジと見るから、一気に赤面。



「あ、あんま見ないで。こ、こないだ不思議がられてたから、言っただけ……」


「そういうのもう少し早く言ってくれたら色々聞いたのに」

 クスクス美咲が笑って、隣で、智也が美咲を見て苦笑してる。



「――――……この話は、これだけでおしまいね」



 早く授業いこ。
 逃げよ……。


 食事のトレイと荷物を持って、立ち上がった。
 





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