【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

文字の大きさ
332 / 863
◇「周知」

「変な気分?」*優月

しおりを挟む
 ほんとに5秒くらい抱き締められて。
 顔を上げさせられて、じっと至近距離から見つめられる。


「……何。寂しいの? ちょっと離れてるから?」
「…………」

 クスクス笑われて一瞬頷くのどうしようと思うのだけれど。
 ものすごく優しい瞳が目の前にあるので、自然と頷いてしまう。

 すると、笑んだ唇に、ちゅ、とキスされた。

 オレの頭を撫でてから、玲央は体を運転席に戻した。


「――――……」

 あーなんか。
 体も気持ちも、ホカホカしてしまった感覚が……。

 一瞬でふんわりとめちゃくちゃ満たされた自分に、現金すぎてちょっと呆れていると。
 ハンドブレーキを外してから、玲央が、オレの手を取った。


「しばらくまっすぐだから手、つなご」

 玲央はそう言って、オレの手を握る。

 わー……。
 こんなこと、普通にする人、ほんとに居るんだ……。

 ていうのが、ぱっと思った感想。

 こんな風にカッコよく出来る人は。
 そんなに居ないんじゃないかなと思ってしまうんだけど。


「いっつも触ってるもんな、オレ。――――……確かにこの距離に居て、触らないとかいつもは無いかもな」

 玲央、クスクス笑ってそう言って。
 信号が青になると、走りだす。

 つないでる親指で、オレの手をスリスリしてくれてて。

「――――……玲央」
「ん?」


「……すごく、大好き、玲央」
「――――……」

 感情極まって、ついつい漏れた言葉に。
 くす、と笑って、玲央がオレの手をぎゅと握る。


「……今、何も出来ないから、後で言って」

 なんて言って、玲央が笑う。

「……うん」

 何も出来ないから、とか。ちょっと恥ずかしいんだけど。
 意味は、分かったから、頷いて。

 オレは、隣の、普段はあまり見慣れない玲央の。
 ひたすらかっこいい、横顔を見つめた。
 
 直接まっすぐ見詰め続けるのはさすがにちょっとなーと思うので、
 何となく、運転席の前方を見るような感じにはしたけど。


 ……見てるの、絶対バレてるよなあ。
 なんて思いながら。 触れてる指が愛おしくて。すりすりと、触れていると。


「なんか、あんまり手に、サワサワ触られてるとさあ」
「うん。あ、くすぐったい?」

「なんか変な気分になる」

 しばらく、ぽかん、として。

「――――……え」

 変な気分?て?
 それってどういう……。
 
 固まっていると、玲央が信号で止まって、オレを見つめて。
 ぷ、と吹き出した。

「そういう気分に、なるなーって。さわさわさわさわ、ずーと撫でられてると」
「――――……っ」

 やっぱり、そう言う意味なんだ、と思った瞬間。顔が発火。

 もう、火が出そう。
 何なんだ、もう、玲央……。

 思わず、手を引いてしまおうとしたら。
 きゅ、と握られた。

「ああ、うそうそ。そのまま触ってて」

 クスクス笑われるけど。
 そんな風に言われて、同じように触ってられる訳、ない……。

 動けずいると、玲央の手が、絡んできた。


「――――……ほんと、かわいーな、優月」

 そんな風に笑み交じりに言ってる玲央を、ちら、と見つめる。


 手、触ってる位で、玲央がそんな気になったりするのかなって思うと。
 多分絶対、からかわれてるんだろうな、とは、思う。

 もう言われた時は、フルで慌ててしまうけど。
 ――――……玲央はいっつも余裕があって。いいなあ、なんて思うし。

 可愛いとか。
 よく、こんな風に、カッコよく、さらさらっと、言えるなあとも思う。

 オレもし、女の子と付き合ってたら、言えたかなあ……。
 無理かな。まず片手運転が出来る気がしない。

 運転に慣れたら出来る……?
 ……んー、無理だな、うん。
 ていうか、玲央だから、カッコいいんだよなー……。

 むー。
 ちょっとカッコ良すぎて、何でだろって思ってしまう。

 ――――……何でオレ、こんな、全然普通レベルを遥かに超えちゃってる人と、一緒に居るんだろうか。



 なんて、思いながら。
 ――――……でも繋いでる手が暖かすぎて。


 微笑んでしまう。







しおりを挟む
感想 840

あなたにおすすめの小説

そんなの聞いていませんが

みけねこ
BL
お二人の門出を祝う気満々だったのに、婚約破棄とはどういうことですか?

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

人生はままならない

野埜乃のの
BL
「おまえとは番にならない」 結婚して迎えた初夜。彼はそう僕にそう告げた。 異世界オメガバース ツイノベです

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する

子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき 「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。 そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。 背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。 結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。 「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」 誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。 叶わない恋だってわかってる。 それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。 君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

いい加減観念して結婚してください

彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話 元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。 2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。 作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。

処理中です...