【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇「周知」

「ずっと」*優月

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 玲央の脚の間に引き寄せられて、ぎゅーと抱き締められたまま。
 しばらく経過。


「……れお……?」

 特に何かされるわけでもなく。
 何か言われるわけでもなく。ただ、ぎゅー、と腕の中。

 どうしたんだろう、と思うのだけど。
 その内、こんな風にきつく抱きしめてくれている事が幸せに思えてきて。

 ふふ、と笑ってしまった。
 すると、玲央が、オレを抱き締めたままで。

「何、笑ってンの……?」

 と、聞いてくる。
 優しい、声で、すごくゆっくり。
 玲央が後頭部に触れてた手が、オレの頭を、そっと、撫でてくる。


「――――……」

 なんか。このまま時間が止まっちゃえばいいのに。
 そんな風に思ってしまう。

 手を、玲央の背に回して、ぴと、とくっついてみる。


「――――……なんかこうしてると、笑っちゃう」
「……何で?」

「……幸せ、すぎて。かなぁ……なんか笑っちゃう」
「――――……」

 そう言ったら、玲央は、またしばらく黙ったまま。
 でも、ぎゅ、と余計くっついたような。


 ふふ。

 ……あ。また笑っちゃった。
 ていうか、これ。笑っちゃうよね。

 玲央にぎゅー、て抱き締められてるとか。
 めちゃくちゃ幸せ過ぎて。暖かくて。



「……オレ」


 玲央が、一言、そう言った。

「ん……?」

 顔を見ようとしたけど。
 なんだか阻止されてるような。相変わらず、抱き込まれてて、ぎゅっとされてて、顔は、見れない。

「……うん?」

 顔は見るのは諦めて、玲央に、ぴと、とくっついて。
 玲央が続きを話してくれるのを待つ。


「――――……」


 ずーっと、黙ってる玲央。
 でも。髪の毛を撫でてくてる手は、すごく優しいから。ただ、瞳を閉じて、玲央の腕の中に収まっていると。


「――――……すっげー、好き」

 なんだか、すごく、ためこむようにしてから、そんな風に、囁かれて。
 そのまま、ぎゅー、とまた抱き締め直されて。

 言われた瞬間、ぱち、と開いた瞳は。
 なんだか瞬き、すごい繰り返して。

 一気に顔、熱くなる。


「――――……ヤバいなぁ、これ……」


 後頭部に触れてた手が、髪の毛の間にくしゃ、と入ってきて。
 そのまま、うなじに滑って。やさしい仕草で顔を上げるように、促される。

 オレ今、多分真っ赤、なんだけど。
 思って、一瞬、ちょっと力を入れて、下を向いていたけれど。
 

「……顔見せて」

 囁かれて、もう諦めて、その手に従って、上を向く。


「――――……」

 見下ろす玲央の顔は。
 ほんと綺麗で。なんかすごく真剣な顔してて。

 真っ赤って言って笑うかなと思ったのに。
 今は言わないみたい。


「――――……ずっと居ろよな」


 頬に触れた玲央が、まっすぐオレを見下ろして、そんな風に言う。
 何でか、涙が滲む。

 それを見た玲央が、ちょっとびっくりした顔をしてから。


 ふ、と笑んで。



「可愛すぎ」

 囁きながら唇が近づいてきて。触れるだけの優しいキスが、重なった。


「~~~~……っ」


 玲央の首に、手をかけて。
 ぎゅう、としがみつく。


「大好き、玲央」

 そう、言ったら。
 玲央はクスクス笑って。オレの背に置かれた大きな手が、オレをまた、ぎゅ、と抱き寄せてくれた。



 ――――……大好きすぎて。ほんと。

 どうしたらいいんだろう。なんて。 そんな事を、本気で思った。






(2022/5/10)
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