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◇「周知」
「恥ずかしい?」*玲央
しおりを挟む学校が見えてきた。もうすぐ優月と別れる。
こんだけずっと居るのに、そんな事思うとか。何だかなと、思ってしまう。
「あー……今日優月、クラス会だよな?」
「うん。さっき連絡来てて、お店予約したって」
「どこ?」
「今回も駅前の料理屋さん。2階が全部座敷で貸切に出来るの」
ふーん、と頷いていると。
「玲央は、夕飯どうするの?」
「あー……誰かと食べるかも」
ニコニコしながら、優月は、分かった、と言う。
「――――……何、そんな笑ってんの?」
オレが不思議に思って、優月に聞くと。
「……なんかさ」
「ん」
「普通は、人の夕飯なんて聞かないでしょ?」
「……ん?」
「ずっと一緒に居るから、夕飯どーする?とか。聞くようになってるんだなーと思うと。なんか、嬉しいなーと思って」
「――――……」
多分、まあ、それはそうなんだろうと思う。
一緒っていう前提があるから、別になって、どうするか、自然と聞いてる。
――――……事実としてそうなんだけど。
それを敢えて、言葉にされると。
しかも、嬉しい、とか。そんなニコニコされると。
「――――……押し倒したい」
思わず漏れた、言葉に。
自分でも言ってから、少し驚いたけれど。
「えっ?」
と、めちゃくちゃびっくりした顔で、見上げられる。
聞き違いかな??とばかりの、でっかい瞳。
「あーごめん。本音が……」
「…………」
聞き違いじゃなかったのかなと、不思議そうに、さらにでっかくなる瞳。
あーもー……。なんか考えること、全部伝わってくる気がする。
吹き出してしまった。
可愛すぎて。
「……ごめん、優月がすげー可愛くて、もーキスして、そのまま押し倒したくなった。今日は夜まで会えないし。長いなーと思って」
クッと笑いながら、優月の肩に手をかけて、引き寄せながらそう言うと。優月がかあっと赤くなって、瞬きを繰り返しながらオレを見つめている。
「あの……オレ、お昼にクロのところに行くよ……?」
「ん、ならオレも行く」
即答しながら、肩を組まれて至近距離で恥ずかしそうな優月を離す。
……今さら近い位でこんなに真っ赤とか。ほんとに可愛い……。
「お昼食べて、コンビニ行ってから行くね?」
「ん? オレも行くよ。コンビニ。食べ終わりそうな所で連絡して」
「分かった」
嬉しそうに、頷く優月。
「――――……」
「……?」
頬に触れて、すり、と撫でながら手を離すと、優月が不思議そうに見つめてくる。
「……なるべく早く、行く」
「――――……」
自然と漏れた言葉に、またまたオレも自分で驚いたけど、優月もきょとんした。
「……わーもう、なんか」
「……」
「……そんなにいっぱい、一緒に居たい、みたいなこと、言われると……」
「――――……」
「離れたくなくなっちゃうんだけどー……」
また、ぷーー、と膨れてる。
この顔、朝もしてたな。はは。かわい。
キスしたいが。
さすがに、もうすぐ大学の正門前。
「オレこのまま部室行く。優月向こうだろ?」
「うん。じゃあまたあとでね」
優月は笑顔でそう言って、一歩、進んでから。
くる、と振り返る。
「……玲央?」
「ん?」
「ありがと」
「……何が?」
そう聞くと。優月は、ふわ、と微笑んで。
「一緒に居たいって、いっぱい、言ってくれて」
「――――……」
咄嗟に、返事が出来ないでいるオレに、じゃあねー!とニコニコ笑顔で手を振ると、足早に離れて行った。
何となく、その姿が見えなくなるまで、見送る。
……ありがと、だって。
一緒に居たいって、いっぱい、言ってくれて、ありがと。って。
ダメだ。
もー、連れ戻して、そのまま家に帰りたい。とか。
ダメだな、これ。
重症。
ていうか。
――――……恥ずかしくねーのかな。ああいうの、言うのって。
エロイ事言うより、よっぽど恥ずかしい気がするんだけど。
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