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◇同居までのetc
「大好き」*優月
しおりを挟む食器を片付け終えて、ほっと一息。
玲央は食事を終えたら、曲作り再開。今度は行く前にコーヒーも渡したし、飲んでてくれてるかな。
とりあえず、シャワーだけ浴びて、髪を乾かした。歯も磨いたし、寝る準備は万端。お水を飲みながら、時計をぼんやり眺める。
二十時半かあ……。
まだまだ寝るには早いし。
――――……玲央のところ、いこっかな。まだ本も途中だし。
お水のペットボトルを持って、玲央の部屋に向かう。
やっぱり気づかない。
……なんかなー。
玲央のことをチャラい、とか言ってる人に、この姿を見せてあげたいな。
そんなことを思いながら、またソファに座る。
このソファ、この部屋での俺の定位置みたいになってるなと、ちょっと可笑しく思いながら、クッションを膝に乗せて顎を沈めさせたまま、玲央を眺める。
――――……チャラい、とか、かけらもない。
むしろこんなに何かを真剣にやってる人、そんなに居ないんじゃないかなと思ってしまう位。
カッコいいなー……。
そういえば。さっき、顔だけが好きなわけじゃないとか、言ったけど。
……結局考えてみると、顔以外も好きって話で……。
玲央の言葉も、声の出し方も、笑い方も、仕草とかも。
……立ってるだけでカッコいいしな。
……玲央は、オレに、可愛いとか、色々言ってくれるけど。
そういうのを言ってくれるとこも、優しくて、好き。
顔が違っても好きだったと思うけど。
……でも、やっぱり、この、めちゃくちゃカッコいい綺麗な顔も好きだなあ。創作意欲が湧きすぎて困る。
……てことは、もう、結局全部全部が好きなんだな。
ていうか。
……これ以上カッコいい人、この世に居るのかな。
そう思うと、やっぱりなぜオレと、ていうのが不思議なところ。
……って、またこれ、思っちゃった。自分に苦笑い。
……玲央がオレと居たいって言ってくれて。
――――……好きって思ってくれてるのは、だいぶ分かってきてるのだけれど。
それでも、なんでオレ? って、咄嗟に思っちゃうのは。
……カッコよすぎるからだな。うん。
よくわからない言い訳を自分でしつつ。
視線を玲央から脇に置いておいた本に向けると、手に取って、さっきの続きのページを開く。
そのまま、文字を追い始めた。
◇ ◇ ◇ ◇
「――――……づき……?」
優しい声がして。あったかい手が、肩に触れてる。
「……ん……」
あ。寝ちゃった……のかな。
瞳を開けると、玲央の笑顔。
――――……とくん、と胸が弾む。
「ベッドで寝てていいよ……」
くす、と笑ってる優しい顔、見上げていたら、たまらなくなって。
する、と腕を伸ばして、玲央の首に巻き付けて、くい、と引いた。
「――――……」
玲央の唇に、そっとキス、する。
大好き。
玲央。
すると。
ふ、と笑う気配がして。
項に滑ってきた手に、ぐい、と押し付けられて。
深く、重なる。
「……ん っ……」
舌が、熱くて。
一瞬で、ぞくん、と震える。
「……れ お……」
「――――……」
唇の間で呼ぶと。
また深く重なって、舌を絡め捕られて。声が、漏れる。
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