【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「玲央と家族」*優月

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「大学で仲良くしてる人で……」

 オレが言って、玲央を見ると、玲央は、それはそれは綺麗に微笑んだ。


「神月玲央です」

 母さんの方を向いて。
 興味津々で母さん側に立った双子にも向けて、そう名乗る。

 しゃべったらますます皆が呆ける。

「初めまして」

 惚けてる三人に向けて、玲央がふ、と笑うと。

「あ、っと…… とりあえず、どうぞどうぞ、中に……」

 やっとのことで気を取り直して、母さんと樹里が、笑顔になる。

「……イケメンすぎ。……何者???」

 ぼそ、と一樹が言うので、思わず笑ってしまう。


「何者って……こんにちは、でしょ?」

 一樹の頭に触れて、一緒に玲央の方を向く。


「……こんにちは」

 照れたみたいに、ぼそっと一樹が言うと、玲央はちょっとかがんで一樹と目線を合わせると。

「一樹?」

 と笑った。名を呼ばれた一樹は、ちょっと驚いた顔をしたけれど。
 すぐに、ほわっとした笑顔で、うん、と頷いた。

「よろしく」

 そういった玲央に、うんうん頷いてる。

 ……ん。落ちた? と、可笑しくてしょうがない。


「樹里、だよね?」

 樹里はもっと分かりやすい。
 呼ばれた瞬間、ほわわー--、とめちゃくちゃ嬉しそうに笑う。

「うん! お兄ちゃんの名前は?」

 さっき名乗ってたけど、全然聞こえてなかったのかなと思うと、可笑しい。

「玲央、だよ」
「玲央くん、でいいの?」

「良いよ」
「うんっ」

 めちゃくちゃ嬉しそう。
 あ、もう樹里も落ちたな……。なんて思ってしまう。

 母さんはさっき一瞬呆けてたけど、もう気を取り直して大丈夫みたい。

「どうぞ、入って」

 言いながら、玄関への階段を先に上がっていく。

「入ろ、玲央」
「ん」

 オレと玲央が母さんに続いて家に入ると、後から一樹と樹里が一緒に階段を登ってくる。ふ、と二人、視線が絡む。むっとした顔を、してはいるんだけど。

 ――――……多分、ほんとは。一緒に玲央のこと、叫びたいんだろうなぁ、なんて思ってしまって。
 素直になればいいのになんて思うと、意地を張って視線を外してる二人が、何か、可愛い。



 中に入って、テーブルにプリンの紙袋を置く。
 洗面所で手を洗って戻ると、二人が紙袋を覗いていた。

 お。二人、近い。

「ゆづ兄、プリン?」

 樹里が嬉しそうに笑う。

「うん。玲央が買ってくれて。ね」

 玲央を振り返って言うと、ん、と玲央が頷く。
 ありがとうね、と母さんがお礼を言ってる。

 母さんと玲央が話しているのを聞いていたら、唐突に。

 ――――……なんか、玲央がここに居るのが、不思議すぎる。 
 ていうか、嬉しすぎる……。
 そんな風に思って、じっと見つめてしまう。

「優月、紅茶入れる?」

 母さんの言葉に、はっと気づく。

「あ、うん。ありがと。玲央、そこ、座ってて?」
「ん」

 玲央が立っていたところの椅子を引いて腰掛けると。
 双子たちがとことこ、玲央の隣に行く。

 オレは食器棚の引き出しからスプーンを四つ取り出した。

「ゆづ兄と仲良しなの?」
「うん。そうだね」

 樹里の質問に、玲央が笑って答えてる。
 オレは、紙袋からプリンを取り出して、スプーンと一緒に並べていく。

「めっちゃうまそう……」

 一樹がじーと、プリンを見つめている。

「食べていいよ?」

 オレがそう言うと、一樹は、玲央の方を見て、「良い?」と聞いてる。

「もちろん」

 クスクス笑って頷く玲央。

 ――――……めちゃくちゃ、カッコいい人だよなあ……。
 少し離れて、いつもと違うところで見ると、余計に感じる。

 笑顔を向けられた一樹と、隣に居る樹里が、嬉しそうに笑う。

 ああもう、あと少し、な気がするんだけどなあ。
 ……仲直り。


 ふ、と微笑んでしまう。

 六人がけのテーブルの、真ん中に玲央、その隣に樹里、玲央の正面に一樹が座る。
 二人は、プリンの蓋をとって、スプーンを持って。
 一口、ぱくっ。

「「うっま」」

 二人の声が重なる。
 瞬間、二人、視線を合わせた。

 玲央がすっごく面白そうな顔で、二人を見比べている。


「……うまい?」

 クスッと笑いながら、玲央が二人に聞くと。
 二人は、同時に、「うんっ」と頷く。

 頷いた二人が、ふと視線を合わせて。それからまだちょっと気まずそうに、すぐ視線を逸らすけど。


 ――――……多分、もう、あと少し。

 ぱくぱくプリンを食べてる二人に、ふふ、と笑ってしまっていると、オレを見上げる玲央と視線が合う。


 玲央がちょっと笑って、ほんの少しだけ、頷いてくれる。


 双子に優しく接してくれてる玲央も、なんだかとっても大好きで。

 うん、と頷き返した。

 



 

 

 
 
 
 
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