【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「優月んち」*玲央

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◇ ◇ ◇ ◇


「あ、優月、こっち来たの?」

 食堂、席の方に行くと、勇紀が優月を見つけて、嬉しそうに笑った。

「オレも居ますけど」
 稔が言うと、勇紀は苦笑い。

「え、だってお前はよく居るから。優月はご飯一緒にはあんま食べないじゃん」

 ははは、と笑って、稔に弁明してる勇紀を見ながら、優月はふふ、と笑った。

「ほんとは玲央と、猫のとこに行こうと思ってたんだけど、雨が降ってきちゃったから、行けなくなっちゃって」
「あ、そうなんだ。いつも言ってるクロちゃんだよね」
「うん。あ、言うならクロくん、なんだよ」
「ぁ、オスなのか?」
「うん、そうなの」

 言いながら優月は勇紀の隣に腰かけた。
 席の配置的に隣に座るのもさすがに変なので、優月の正面の席にオレは座った。

「オスじゃ、玲央、ライバルじゃん」

 ぷぷーと勇紀が笑ってる。
 何言ってんの、と優月に突っ込まれてるけど。
 そこに甲斐と颯也と、なんとなくいつも一緒の他の奴らも現れて、適当に座っていく。

「よ、優月。昨日はお疲れ」
 颯也が言って、優月は、うん、と頷く。「皆もお疲れさま」とか答えてる優月を見ながら、オレは立ち上がった。

「買いにいこーぜ」
 そう言うと、皆もそろって、立ち上がる。

「優月、あのさ」
「ん?」

 皆が前を歩いていくのを後ろから二人で並んで歩きながら、優月を見下ろすと、にこ、と笑いながら見上げてくる。

「今日夕飯、どこで食べる?」
「あー……オレんち、行くんだもんね。行ってからだと、遅くなっちゃうね」

 んー、と考えてから、優月は、あ、と嬉しそうに何だか目をキラキラさせてオレを見つめた。

「オレの家、泊ってみたりする?」
「ん?」
「引っ越しちゃうんだったら、記念に」
「記念? ……そうだな、泊ってみたいな。優月の部屋」
「うんうん、じゃあそうしよ。玲央のお家にくくらべたら、めちゃくゃち狭いけどね」

 そんなことを言いながら、めちゃくちゃ嬉しそうにニコニコ笑って頷いている。

「なんでそんなニコニコ?」
「えー、だって、なんか、玲央がオレの家に泊まってくれるとか……」

 そこまで言って、オレの顔に視線を戻して、ふ、と瞳を細めてまた微笑む。

「嬉しいしか、ないよね」

 言い切って笑う、優月。
 ……可愛いしか、ないよな、これ。


「あ、でも……」

 と言いかけて、はっと気づいたように、すぐ口を閉ざした。

「ん? でも?」
「あ、あとでいい。ごめんね」
「何? 気になるから、言ってみ?」
「……あの……ほんと、どうでもいいことなんだけどね」
「ん、何?」

 聞くと、あの……とちょっと恥ずかしそうな顔をして、周りをきょろきょろする。近くに話を聞いてそうな人が居ないことを確認してから。
 片手で口元を隠しながら、オレに口を寄せた。

「お風呂は狭いから、一緒は無理かも……って、思って」

 言ってから、かぁぁ、と赤くなる。

「ごめん、こんなとこでこんなの、言いかけて……ごめんね」

 赤くなってる優月に、もう、キスしたい衝動が浮かぶのだけれど。
 ……食堂の、メニューの前。超目立つとこだな。……まあ、さすがに無理だな。


「……狭いなら、くっつけていいんじゃねえの?」

 こそ、と囁き返すと。ますますかぁぁ、と赤くなる。
 優月が言ったことなんだけど。……まあ、とっさに浮かんだってだけで、言わないで終わらせようとしてたからな。


「楽しみだな、行くの」
「……えと……えっと……」


 うわーん……って顔してる。
 はは。可愛いな、ほんとに。




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