【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「何をしてても」*玲央

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「なんか、優月、どんどん赤くなる……」

 つい、手が伸びて、頬に触れてしまう。

「熱すぎ……」
「……うぅー」

 ふ、と顔をそらして、優月が両頬を自分の手で、挟み込んだ。

「もっと赤くなるから、触んないで」

 そんなことを言って離れていくけれど、なんにしても、言い方が可愛い。とか思っていたら。

「もー、二人はメニューの前で、何してんの?」

 呆れながら近づいてきたのは、もう食事をのせたトレイを持ってる、勇紀だった。

「わー、優月が真っ赤なんだけど。もー何してんの、玲央」

 呆れたように勇紀が言うと、「オレが自分で言って、勝手に恥ずかしくなってるだけだから」と、優月が返事をしている。

「んー? 優月、何言ったの?」
「……い、言えない……」
「あ」

 余計に赤くなった優月に、勇紀は、しまった、みたいな顔をしてる。

「とりあえず、ご飯、買っておいでー? もー玲央、優月からかってばっかりいないでさぁ。可愛いのは分かるけど」

 勇紀の言葉に、優月は、玲央のせいじゃないからと言いながら、とことこ食券売り場に進んでいく。勇紀の視線を感じて、なんだよ? と言うと、勇紀は、やれやれと言った風に苦笑い。

「オレ、玲央って、恋してもクールなままなんだろうなーって思ってたんだけど」
「……知ってんじゃんか、中学の頃とか」
「いや、覚えてないし、あの頃は、なんか玲央、喧嘩してたりで大変そうだったような記憶しかないし」
「あー……」
 なるほど。と頷きながら、トレイを持って並び始めた優月を目で追う。

「こんな、ずっと近くに居たい人だったんだということに、ほんとびっくりする。……てか、ごめん、いいよ、優月んとこ行って。先に席に行ってるー」

 最後の方はクスクス笑いながら言って、勇紀は離れていった。

 食券を買って、トレイを持つ。優月の隣にはまた別の奴が並んでいるので、その後ろに並んだ。
 顔赤いの、収まったみたいだな、なんて思いながら。

 別に、からかいたいって訳じゃないんだけど。
 ……なんか可愛いから、つい。だよな。

 なんか、オレ、小学生とか。そんな風な、ガキっぽいか?
 ……とか、考える日が、オレに来るとは思わなかったな。

 苦笑してしまいそうで、口元引き締める。
 食事をトレーに乗せて歩き出したところで、優月が端っこで待っているのに気づいて、近づくと、ちょっと困った顔。

「どした?」
「んー……玲央、ごめんねー?」
「ん?」
「オレが勝手に赤くなったのに、なんか、玲央のせいみたいな感じに」
「まあ半分オレのせいでもありそうだからな」

 笑いながら答えると、ぷるぷる首を振ってる。

「自分で恥ずかしくなっただけだから」

 並んで歩き出しながら、そんな風に言ってる優月を見ていると。
 ……やっぱり、可愛くて、頭撫でてやりたいなーとか、思ってしまう。

「優月?」
「うん?」

「オレ、お前が何しても可愛く見えるみたい」
「……」

 は? と口が開いて。でも音が出ず。
 次の瞬間、優月はカッとまた赤くなった。

「ずっと可愛いって思ってるし、だから言うと思うし、可愛すぎて、ちょっとからかうこともあるかもしれないけど」
「…………っ」

「許せよな?」

 クスクス笑ってしまいながら、隣の優月を、ん?と覗き込むと。
 許すも許さないも、ないし……とぶつぶつ。何やらもごもご言ってるのが可愛くて。ふ、と笑ってると。

「……この赤いのは、玲央のせいだよぅ……」

 とか言ってから。ふ、とオレを見上げて目が合うと。
 照れたみたいにちょっと俯いて。

 でも、またオレに視線を向けて、ふ、と嬉しそうに笑う。

 可愛いから、もう全部オレのせいでいいけどな、と、思った。

  


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