【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「左胸が」*優月

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 優しいキスが触れて、すぐ離れる。

「髪、乾かすから座んな」
「うん」
 言われるまま、座ると、玲央がドライヤーのスイッチを入れる。

 こっちに来ても、やってくれるんだなあとホクホクしつつ。
 この部屋に玲央がいることを、やっぱり、不思議に思ってしまう。

 この部屋の一人暮らしも一年。すごく楽しかった。
 初めて実家を離れて、寂しさも感じたけど、一人ってワクワクもしたり。
 家事とかも、全部自分でやらなきゃいけなくて、今までやってなかったようなことも、自分でやるようになって、一年。結構成長したかなあ、とか、思ってた。
 隣に春さんも居て、ちょこちょこ会話もできたから、すごく孤独な感じも無かったし、友達も泊りに来たりしてたし。

 乾かしながら、優しく触れてくれる玲央の手を気持ちいいなと思いながら。
 あと三年は、ここに居ると思ってたから。
 ここを出るのかぁ、と思うと、感慨深いというか……。
 玲央のところに行くのは嬉しいんだけど、ここがなくなるのは少し寂しいような気もして、なんだか、すごく色々な気持ちが浮かぶ。

 玲央と一緒に居たいから。玲央のところに、住む。

 もう色々起きる、全部の変化が、ただ、「玲央が好き」というそれだけのためなんだなあって、思うと、すごいことな気がする。


 オレ達って、会ってすぐ、こんな感じで、そのままずっとこんな感じで。
 なんか勢いのまま、ここまで来てるけど。

「はい、おわり」
 玲央がドライヤーを止めて、よしよし、と頭を撫でた。振り返って、玲央を見上げる。

「ありがと」

 笑顔で言うと、玲央は、ん、と笑って。
 優しい手が頬に触れて、そのまま、オレにちゅ、とキスをした。

「ドライヤーしたての優月、可愛い」
「……ふふ」

 その言葉、いつも言うので、ふ、と微笑んでしまう。
 可愛いかな?って最初は疑問だったんだけど、なんとなく、玲央がそう思ってくれているってことは、ちょっと受け止めてきたような。
 ドライヤーのコードをまとめてる玲央を見上げながら、「あ」と声が出る。
「ん?」
「玲央もね、可愛いよ?」
「ん?」
「ドライヤーしたての時」

 手を伸ばして、玲央の髪にふわ、と触れる。

「玲央も、すごく可愛い」

 そう言って笑うと、玲央はしばらくオレを見てたけど、そのうち、クスッと笑って、頬に触れてくる。ドライヤーをテーブルに置くと、両方の手で、頬を挟まれた。

「オレは可愛くないけど、そう言ってる優月が可愛い」

 すりすりされてると、とっても幸せで。

「玲央、可愛いよ」
「……なんかオレは、可愛いって言われるの、複雑なんだけど」

 クスクス笑って、玲央がオレにキスしてくる。

「でも可愛いって言ってる優月が可愛いから、まあいっかって感じ」
「ん、ん」

 何回も、ちゅうちゅうキスされて、舌が口内に触れて、びく、と震えると、深く重なってきた。

「……ん」

 柔らかい、キス。
 ゆっくりで。熱くて。優しい。


「……れお」

 少し唇が離れた時に、名前を呼ぶと、玲央がふわ、と笑う。

「ん」
 と返事をしながら、また唇が触れてくる。

 キス魔の玲央さん。
 ……ほんとにほんとに。キス、好きなんだろうなーと思う。

 オレも。
 好き、だけど。

「――――……ゆづき」

 うわ。……もう。

 キスとおんなじ感じの、めちゃくちゃ、ゆっくり、名を呼ばれて。
 愛しそうに、見つめられると。

 心臓が、痛すぎて。
 全然慣れない、この感覚。

「……」

 不意に、玲央の手が服の裾から入ってきて、左胸に直に触れた。

「ひゃ」
 びっくりして、固まって、胸に触れたままの玲央と見つめ合っていると。

「心臓、すごいな」

 くす、と笑って。
 また瞳を細める。

 そういう顔するから。そんな顔で、キスばっかりするから。
 そうなっちゃうんだよう……。

 顔まで熱くなってきて、その頬に、クスクス笑う玲央がキスしてくるし。

「かわい……」

 めちゃくちゃ笑いを含んだ声で言われると、もうなんかどうしてたらいいのかも分からなくなる。

「優月の心臓、はやすぎ」
 言われなくても、玲央に触れられてて、余計自分の心臓がどきどきしてるの、実感してるし。

「……玲央のせいだもん」

 思わずそう言ってしまうと。

「……知ってるけど」
 ぷ、と笑われて。

「知ってるなら、もうちょっと加減してください……」
「……無理。可愛いから」

 クッと笑い出しながら、ようやく胸から手を離して、オレをすぽ、とまた抱き締める。


「……んー。なんかいちいち触りたくなるの、どーしてかな。色々しなきゃいけないのにな?」


 そんなことを言いながら、玲央は、クスクス笑っている。
 

 



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