【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇希生さんちへ

「土曜日」*優月

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【side*優月】


 昨日はお風呂の後は、玲央が言ったとおり、早く寝た。

 ぐっすり眠って、なんだかぱっと目が覚めると、そっと起き上がった。

 今日は希生さんちだ。なんかワクワクしてきた。

「……おはよ」
 玲央がクスクス笑ってオレの右頬に触れた。
 
「おはよ、玲央」
 ちゅとオレの左の頬にキスして、玲央も起き上がった。

「やっぱり、早めに行きたい?」
「うん。わくわくして起きちゃったし」
「了解。じゃご飯食べて準備しよ」
「うん」

 二人でベッドから出て、着替えと朝食を済ませた。

「何持ってけばいい?」
「パジャマみたいなのはあると思うから。下着だけでいいよ」
「分かった。そしたらほぼ手ぶらだね」

 なんだかとっても、気持ちが逸る。
 その時、振動音。

「優月、電話」
 玲央に、ほい、とスマホを手渡される。

「あ、もしもし、蒼くん?」
『優月? あのさ、希生さんちに何か手土産持ってくか?』
「あ、うん。なんか玲央が、希生さんが好きな和菓子とか買ってくって」
『ああ、和菓子ね。じゃあこっちはうまい酒でも買ってこうかな』
「うん」
『お前らにも、ノンアルのジュース買ってってやるよ』
「ん、ありがと。久先生の好きそうなのも買ってくね。蒼くん、何かスイーツとか食べたい?」
『オレはいいや』
「分かった。じゃあとでね」

 通話を切ると、玲央がクスクス笑う。

「蒼さん、食べるって?」
「ううん。いらないって。蒼くんはおいしいお酒とノンアルのジュース買ってきてくれるって」
「そっか。じゃあとりあえず買い物行くか」
「うん」

 荷物を持って、靴を履いて出ようとしたところで、「優月」と呼ばれた。振り返ると、ぎゅと抱き締められる。すっぽり埋まった腕の中で、玲央を見上げると、玲央は、ふ、と苦笑い。

「しばらくこうできなそうだから、最後」

 よしよし撫でられて、そうだね、と頷く。
 むぎゅ、と抱き締め返すと、ふ、と玲央が笑いながら、ちゅ、とキスしてくる。

「……あんま触ってるとツッコまれそうだもんな」
「うん」
「しょーがねーか」

 すり、と頬を撫でられて、そのまま玲央を見上げる。

 いつも二人でいると、頭とか頬にすぐ玲央触るもんね。
 あれはちょっと、無理だよね。ちょっと寂しいけど、仕方ない……。すりすり触れてる玲央を見上げていると、玲央はクスッと笑った。

「まあ、でも、夜寝る時は二人だろうし。それくらいなら我慢するか」
「どんな感じで寝るの? オレの家とかに友達泊りにくると、結構リビングに布団敷き詰めて寝たりしてたけど」
「空いてる部屋が結構あるし、ベッドルームもあると思う。じいちゃん、人呼ぶの好きだから、泊める用に」
「なるほど……」

 ん? あれ?
 玲央たちのお家の敷地内に、別で離れとか言ってなかったけ。
 むむ。なんか、離れってわりと小さ目な、感じを思ってたんだけど。ああなんか、すごそうな気がしてきたような。

 あ、そうだ、離れっていったら、蒼くんちのお絵描き教室も元はただの離れで、使ってなかったからとかなんとか。
 あの教室の敷地、普通の一軒家とかよりめちゃくちゃ広いし。

 えっと……ちょっと覚悟していこうかな。びっくり、しないように。
 そうだったー。今日あつまる中で、一般のお家の人はオレだけなような。カルチャーショックの日かな、もしかして。なんか、そんな風に考えていたら、なんだかすごく楽しみ。


「――――行くか」
「うん」

 最後にちゅ、と頬にキスされて、ぽふぽふと頭を撫でられる。


 部屋を出て、下の駐車場。玲央の車に乗って出発。
 楽しい土曜日になるといいなあ、なんて、ほんとワクワクしてきた。







(2023/11/3)




 

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