【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇希生さんちへ

「オレにできること」*優月

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 それから玲央と一緒に、端から見回ることにした。玲央が開けてくれた部屋をちょっとずつ見ながら進んでいく。

「奥からここまでの部屋は全部泊まる人用」と言われて見た部屋は、シャワーやトイレとかがそれぞれついてて、まるでホテルみたいで、これまたびっくり。「色んな友達がいるんだけどさ、あの代って割と時間が空いてる人が多いらしくて、昔からよく人が来てた」と玲央。

 色んな友達。
 うんうん、なんか分かるー。ほんとに色んな友達、居そう。

 それにしても、家の中の、それぞれの部屋にお家があるみたいな……。
 世の中には想像もつかない場所があるんだなぁとただただ、びっくり。

「オレ、昔じいちゃんちに泊る時は、じいちゃんと一緒にここのどっかに泊まることが多かった。ベッドが二個あるからさ」
「そうなんだ」

 子供の頃の玲央がここのどこかに泊ってたってことかぁ。……楽しそう。
 希生さん、絶対玲央のこと、可愛がってたんだろうなあ。学校にまで顔見せてるんだから、もう絶対だよね。

 ……あれ、そう考えると、蒼くんも。うちの母さん、蒼くんに学校の行事で遭遇すると、また来てくれたのって、すっごい笑ってたっけ。
 そういえば蒼くんのこと、なんてカッコいい子なのーて言ってたな……。

 そんなことを考えながら、玲央の後をついていくと、カラオケルームやビリヤードとかダーツができる部屋なんかもあって、なんかもうお店みたいな……。

「あれだね、なんか、このお屋敷がすごく豪華な旅館みたいな感じがする。わくわくするねー」
「今日オレら、今の部屋のどっかに泊まるから。好きなとこでいいよ」
「楽しみ……」

「遊びたいとこあれば、あとで行こ」
「……ビリヤードなんて、やったこと無いよ?」
「じゃあやってみる?」
「んんんー? 玲央は? やったことある?」
「あると思う?」

 逆に聞かれて、ん、と考えて。

「分かんないけど、とっても似合うなーとは思う」
「似合う?」
「……すごくカッコよくできちゃいそうな感じ」

 そう言うと、玲央はオレを見つめて、クスクス笑う。

「なんかあれだよなーさっき、じいちゃんにも言ってたけど……」
「ん?」
「優月の中のオレって、ほんとなんでもできることになってる?」
「んー。今のとこ、玲央はなんでもできるように見えてるかも……」
「できないことがあったら?」
「?」
 どういう意味の質問? と玲央を見つめると。

「幻滅するとかある?」

 そんな言葉に、あは、と笑ってしまった。

「するわけないじゃん」
 即答したオレを、玲央は楽しそうに笑って、見つめてくる。

「あ、出来なくてもいいのか?」
「そんなの、もちろん」

 ふふ、と笑って、玲央を見上げる。

「玲央ができないことがあって、それ、オレができるなら嬉しいなぁ」
「たとえば?」
「え、たとえば…………えーと……」
「ん」

 そんな楽しそうにみられても、えーと、例えば……。

「たとえば蜘蛛とか嫌いで」
「ん??」
「……虫嫌いとかで倒せないとかなら、オレが倒してあげたり?」
「……ぷ。何だそれ。優月倒せるの?」
「ううん、倒せないけど。例えばの話が思いつかなかっただけ」

「倒せないのか」
「……うん、つぶすのとか、無理……」
「ああ……」

 無理そう、とか笑われて、その後、何の話だっけ、と玲央が笑う。

「玲央ができないことで、オレができること……あったら嬉しいなーって話」

 そう言うと、玲央はクスクス笑いながら、オレをすぽ、と抱き締めた。

「……ほんとにさぁ……」
「……?? 玲央?」

 すり、と頬に髪を撫でられて。

「……和む」
「え。そうなの?」

 笑いながら言われた言葉に、オレもクスクス笑っていると。

「オレをこんなに和ませるの、優月にしかできないよ」
「…………それって、すごい?」

「ん。すごい」


 頷きながら、額にキスしてる玲央に、そっか、と頷きながら、嬉しくて微笑む。















(2023/12/3)


読者さまたちも↓こんな顔で和んでくれたらいいなあ…と思いつつ。
( ´∀` ) 


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