【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

星井 悠里

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第1章

「嫌いなとこ」

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「――――……」

 ふ、と目が覚めて。
 抱き締められてた啓介と目が合った。


「……平気?」

 くす、と笑って、頬に触れられる。


「……水……飲みたい」
「ん」

 啓介が反対を向いて。ベッドの下に置いてあったらしい水のペットボトルを取ってくれた。
 少し起き上がって、水を飲む。

「……オレ、どんくらい、寝てた?」
「1時間くらい、やな」

 もう一度水を飲んでからペットボトルの蓋をしめた。手を出した啓介に渡すと、また下に置いてくれた。

「――――……」

 そのまま、ベッドに仰向けに寝転んだ。
 両腕で、顔を隠すようにして、うー……と唸ってしまう。

「雅己?」

 笑う気配と、名を呼ぶ優しい声。
 でも、そっちは、見ない。 というか、見れない。


「――――……啓介」
「うん?」

「……お前さ」
「うん」

「オレがどんなふうになっても、やじゃない?」
「――――……どーいう意味やねん」

 苦笑いの、声。
 オレは、ゆっくり起き上がって、かかってた薄い布団ごと膝を抱えた。

「……なんか……」
「うん」

「……さっきやばかった……っていうか」
「――――……」

「……なんか……嫌がらないで、受け入れようって思ったら……なんかほんとやばくて」

 膝の上に顔を埋めて、ああ、オレ何言ってんだろ、ほんとに、と、思った瞬間だった。

 腕を取られて、引き寄せられて。
 目の前に、啓介のまっすぐな瞳。

「――――……そういうのは、顔見て言うて」
「……っ……」

 それができねーから、顔隠してんじゃんか!

「――――……何がやばいの?」
「……っ……気持ちよすぎて、やばくて」

 俯くのに、啓介が顔を上げさせてくる。

「――――……やばくて、何?……」

「……なんか……変になって」
「――――……うん」

 くす、と笑う啓介。ちゅ、と頬にキスされる。

「……真っ赤やな……」
「……っ」

「……どんな風になってもって、そういう意味? 変になるとか?」
「……」

 うん。そう。頷くと。
 啓介は、ふ、と笑う。

「――――……めちゃ変になってくれてええよ」
「……」
「どんななっても、可愛えから」
「――――……」

 まっすぐオレを見つめて、そんな事を言う啓介。
 ――――……ほんと何なの、こいつ。

 ちょっと眉が寄ってしまう。


 可愛い可愛い可愛いって。
 オレの何がそんなに可愛いんだ。


「……オレの嫌いなとこ、どこ?」
「え?」

「好きとか可愛いとかばっか言うけどさ。嫌いなとこだってあるだろ?」
「……嫌いなとこ?……――――……嫌いなとこ……」


 啓介はそう呟いて。口元に手を当ててる。
 しばらく待ってたら。 ぷ、と啓介が笑い出した。

「無いな……」
「は?」

「オレ、雅己の嫌いなとこ、無いみたい」
「――――……」

「……考えた事なかったから、何かあるかなーと考えてみたけど」
「――――……」

「……嫌いやと思うた事、1回もない」
「――――……」

 なんて言ったら良いんだろう。
 もう、ほんと。こいつって……。


「ははっ すごいな、オレ」

 可笑しそうに啓介が笑って。
 ぎゅ、と抱き締めてきた。

「――――……あれはムカつくで。人に触らせるとこ」
「――――……」

「……でも……それも、嫌いとかやない」

 よしよし、と撫でられて。 
 少し離れた啓介が、キスしてくる。


「――――……大好きやで……」
「――――……っ……」

 囁く啓介に抱き締められる。

 ……っバカ啓介……ほんと――――……バカ、啓介。

 そう思うのだけれど。



 なんか。
 無性に、キスしたくなって。

 啓介の唇に、自分の唇を、重ねてしまった。


 


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