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第2章
「普通なら」
しおりを挟む今日、5限の授業は啓介と別だった。
オレだけ休講になって、先に帰ろうかなーと思ったけど、待っとって、と啓介に言われた。
まあいっか。でも1コマ暇だなあ……。
「近くにあるカフェで、美味いコーヒーでも飲んでたらどうや?」
そう言われて、ん、と頷いて、学校から歩いて5分の、このカフェに来た。
カフェオレにアイスが浮かんでる飲み物を頼んで。
すんごくうまーい、とごきげんになりつつ、
持っていた本に目を落とした。
◇ ◇ ◇ ◇
もーすぐかな……。
オレは、読んでいた本を閉じた。
ちょうどスマホを持った時に、啓介から。
「今終わった、ちょっと購買寄るから、10分位待ってて」
「うん」
返事をしておいて、残っていたカフェオレをストローで啜る。
何となく店内に目をやる。
良い店だなー。
多分大学の女子かなーて子達が何組か、仕事の休憩中っぽいサラリーマン、それから子連れのママ達。さっきまではそれ位しか客が居なかった。
でも今ふと気づくと、いつの間にか結構混んでる。
待ち合わせて、出会うカップルが、目に入る。
ちょっとカッコイイ男と、キレイな女の子の、いわゆる美男美女のカップル。そこでふっと、急に思った。
自分が見てるのは、どっちだろう、と。
……普通なら、女の子を見るべきなのだろうけど。
――――……実際に、自分は啓介と付き合ってる訳だし。
同性を、そういう意味で 好きで、体の関係まであるのは、確かな事実。
て、事は?
オレにとって、他の男もその対象になる……?
そこまで考えて、何となく、ブルブルと首を振ってしまった。
いや。無いな。
全然無い。
……やっぱり、基本的には、オレは、女の子の方が好き。
啓介以外の男とは、どうも、想像すら出来ない……。
つーか。 ……したくもねえ。
じゃー何でオレは あいつとつきあってんだろう?
――――……やっぱり、わかんないなぁ……。
啓介が聞いたら、何やそれ、まだわからんのって、てまた言うかなあ。
――――……よし。
品評会、開始。
ちょうど店の出入り口が見える位置に座っていた。
しかも、隣との目隠し用の緑がすぐ隣りに置かれていて、相手からは見えない。
批評される相手には迷惑な話だと思うけど、別に心の中だけの事。関係ないや……。
肘をついて、アゴを乗せ、ドアが開くのを待つ。
まず1人目。
営業マンかな。スーツを着た若いサラリーマン。
オレよりもいくつか年上に見える、男。
うん、まあ…… 悪くは、ない。
――――……けど……。無いなあ……。
2人目は、キレイに着飾った女の子。
ミニスカートから見える脚が、とてもキレイだな~と思いつつ。
……うーん……??
3人目。
髪の毛ぼさぼさの、身なりに無頓着過ぎる、男。
――――……悪いけど、却下。
4人目&5人目。
女の子同士。
可愛いけど。オシャレだし――――……うーん?
6人目。
お、こいつは 見た目は カッコイイ。そこまで合格。
けど。――――――――……。
やっぱり、キスしたりとか、そういう対象には、ならない。
……勝手に考えて、ほんとに悪いと思うけど、想像するのすら気持ち悪い。
うーん。
――――……啓介は、なんで良いんだろ。
思えば、最初にキスされた時から、気持ち悪いとかは無かった。
キスや触れられるのが気持ち良くて、どうしよう、どこまでされちゃうんだって思ったまま――――……。
……啓介は良い奴。
一緒に居ると、すごい心地良い。
優しい雰囲気で言葉が紡がれて、それが、すごく、好きだな~と思う。
思うけど、別にそれは恋愛感情じゃなくても、いいような気もする。
友達としてすごい好きな奴、で良かったような気も、する。
じゃあ、何で?
何で、オレは、あいつと抱き合う???
啓介に求められて、最初流されて。
――――……めちゃくちゃ色々考えた結果、今は覚悟をして、一緒に暮らし始めてしまったりしたけど。
やっぱ……うーん。どうして最初から平気だったのかは、わかんねえな。
「――――……」
ぐるぐるぐるぐる。
頭の中を巡る色んな気持ちに、対処しきれなくて、思わず俯いて密かに唸っていると。
また、入り口のカランコロンという聞き心地の良いチャイムの音。
あ、誰か来たな。7人目――――……。
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