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第2章
「懐かしの」
しおりを挟む十分くらい歩いたところに、体育館があった。
体育館迄の間に、サッカーのグランドや、テニスコートなんかもあって、人も割といた。
「結構いるんだね、人」
「色んな宿の人がここらへん使うてるらしいから」
「集まってくるんだ、ここに。へー」
「明日は、違うバスケの人達も居るんやて。双方が試合したい感じなら、セッティングしてくれる言うから、とりあえず、もし向こうがしたいて言うたらって、さっき返事しといた」
「あ、そうなの?」
「こっちの皆は聞かんでも試合したいやろ?」
「うんうん、したい」
話しながら、啓介が、借りてきた体育館の鍵で、扉を開けた。
しん、とした体育館。
バスケのコートが小さく二面。縦に大きく一面とれるようになってて、なんだかちょっと懐かしい。
「……オレ、体育館、好き」
「ああ、分かる」
くす、と啓介が笑う。
「オレも、なんとなく、好き」
靴を脱いで、中に入る。
「ボール、出していい?」
「ええよ。体育倉庫に入ってるて言うとった」
「あそこかな」
奥に進んで、また扉を開いた。
ボールのカゴがすぐに目に入る。
「バスケのボール見ると、わくわくするよなー?」
「それも分かる」
クスクス笑いながら啓介も近づいてきて、ボールを手に取る。
「なんか、オレにとってバスケって、お前とやるもんやから。ずっと、高校時代も、一緒やったし」
「――――……オレとやるから、好きなの?」
「まあ。……バスケも好きやし、セットで雅己がついてる感じ。好きなもんが一緒に頭んなかに居るからなぁ……」
「セットって……」
啓介の言い方に、ちょっと笑ってしまう。
「でも分かるかも。……啓介とバスケすんの、好きだった」
「……ふーん」
ちら、と見られて、何? と聞くと。
「あの頃は、別にオレのこと、意識しとらんやろ?」
「……大好きだったけどね? 仲間だったかなあ」
くるくると、手の中でボールを回転させていると。
啓介が、すぐ隣に立った。
「――――……」
触れるだけの、キスをされる。
自然と伏せた瞳を開くと、啓介が笑う。
「ちょっと高校ん時、してみたかったなーと思うて」
「このシチュエーションでってこと?」
「そ。ちょっとええなー、場所」
「これ以上はダメだかんね」
「分かっとるよ」
ふ、と笑い合って、ボールを持ってコートに戻る。
「入るかなあ……」
スリーポイントシュートのラインに立って、少し集中してから、ボールを投げてみる。うまく、しゅっと音を立てて、ボールがゴールに吸い込まれた。
「やったー」
「おー、すごいやん」
「めちゃくちゃ、練習したもんなぁ……」
「せやな。それ、見とったなぁ……懐かしい」
「見とった、の?」と振り返ると、啓介は「見とったよ」と、クスクス笑った。
(2023/1/24)
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