【Stay with me】 -義理の弟と恋愛なんて、無理なのに-

星井 悠里

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◆Stay with me◆本編「大学生編」

「寛人ってば」



 …………。
 ………………。


 なんで、オレが出されて、あの二人が、話をしてる訳。
 全然、意味が分からない。

 ――――さっきの最後の会話だって、二年前の事だろ。
 あれを最後にして、オレに出てけって、ほんと、一体何で……。

 ――――今、何、話してるんだろう。
 ほんとに、何なんだ。

 ああ、でも――――とりあえず落ち着こう。

 ファミレスから少し離れた所に看板が見えたコーヒー店で、カフェオレを買って、その前に置いてあるベンチに腰かけた。


「……――――」

 美味しい。はずなんだけど。
 ……もう、二人が気になって、味がまた分からない。


 ベンチに座って、カフェオレを啜りながら。
 ぼーーーー、と、流れてく人波を目に映す。


 ――――仁と寛人って……。
 今あんまり仲良くなさそうなんだけど……。
 一度、どこかで噛み合ったら、超仲良くなったりすんのかな……。

 あの時も、寛人は仁の事もよく分かってたよな……。
 オレの方が全然、分かってなかった、気もするし……。

 ――――はあ。
 何なんだろ。ほんと。

 もやもや考えたまま、気づけば二十分が経っていた。

 ……まだ、かなあ。

 もうすっかり飲み終わった紙コップを捨てるために立ち上がり、そのまま店に行ってみようか、でもだめかなと思ったり。

 仕方なくもう一度ベンチに座った瞬間。
 電話が鳴った。ディスプレイの名前は――――。

「もしもし、寛人?」
『お、彰。 仁は先に帰ったぞ。彰はどこに居る?』
「え。仁、帰ったの?」

『普通に話して普通に帰っただけだから心配すんな』
「――――今店の前に行くから」

 仁が先に出てくるなら、店の前に居ればよかった。 
 そんな風に思いながら店の前に戻って、寛人を待つと、少しして寛人が店から出てきた。

「寛人、お金払うよ。仁は払った?」
「今日はいいや。……それよりどっか人気ないとこある? 話そうぜ」

 そう言われて。少し道を外れた所にある広い公園に寛人と向かい、端のベンチに座った。
 
「――――なあ、寛人、ほんとにさ、何で……」

 周りに人が居ないのを確認してから、隣の寛人にそう言いかけたら。

「分かってるって。悪かったよ、彰」

 そんな風に、謝られて、勢いをそがれる。

「あいつ多分お前の前じゃ何も話さないと思ってたからさ。仁から彰に、席外せとか言いだしたから、ちょうどいいと思って」
「――――何にも話さないって、何を話させたかったんだよ……」
「うーん……」

 寛人は、ふー、と、ため息を吐いた。

「オレ的には――――お前が仁と暮らしてて良いのか、確かめたかったんだけどさ」
「……なにそれ。大丈夫って言ってるじゃん……」

 オレが言うと、寛人はちら、とオレを見て。
 呆れたようにまた息をつき、頭をガシガシと掻いた。

「……あのなぁ。彰。……これ言おうかずっと迷ってたんだけど、やっぱり気になるから、言っとく」
「――――なにを?」

 寛人が言い淀んでる事なんか、正直怖くて、全然聞きたくない。
 思わず、気持ち、すごく退きながら、そう聞いたら。

「仁がお前を好きだったのって、あの高校の、あの短期間だけじゃねーぞ? 分かってるか?」
「――――」

 ……いったい何を言い出すんだ。何が言いたいんだ。
 眉を寄せながら、寛人の顔をただ見つめる。

「昔からずっと、お前をどういう意味で好きなんだろうとオレは思ってたし。でもって結局あれだったから、きっともう、仁は何年もお前の事が好きだったんだろうってオレは思ってる。お前はさ、仁が思春期でちょっとおかしくなって、あんな事したとか言ってたけど―――― 絶対そうじゃないと思う」
「………」

「だから本当に大丈夫なのかって事を、確認しようと思った訳。もとはお前と飯食いに来ただけだったけど。仁も一緒に会えたから、ちょうどいいやと思ってな。それで、誘ったんだけど……」

 ため息を、ついてしまう。

 オレと一緒に居る、今の仁を少し見てれば分かると思うのに。

 あの頃みたいに、熱っぽく見つめてくる訳でもない、触れてもこない。
 こないだオレがおかしくなって泣いた時は、あやすように触れたけど、それ以上は一切ないし、オレについたキスマーク見たって注意される位だし。

 ――――もう今、仁からは一切そんなの、感じないのに。

 寛人は、ずっと、気にしてたんだと思うと。ため息しか出ない。



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